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報酬

今ちょっと忙しくて感想返しが滞っちゃってます!すみません!








「さて、捕まえて貰ったからには報酬は渡そう……そのガキでいいか?」


「要らん。それに、このガキの所有権は今誰にもないんじゃねぇのかよ」


 俺の言葉にソリコミくんがチッ、と舌打ちをする。


「そうだな……おい、ガキ。そういう事だ。今回の働きに免じて窃盗の件は水に流してやる」


「よっしゃ!」


「分かったらさっさと行け」


 ソリコミくんに手で追いやられ、ガキが部屋から出て行った。


「……犯人探しを口実に逃げるものとばかり思ってたが……はあ」


「逃がすつもりだったのか?」


 俺の言葉に、ソリコミくんがニヤリと笑う。


「……コレ・・をやらかした奴に罪がもう一個くっ付いたとしても同じだ。そうだろう?」


 コレ、と言いながら部屋の惨状をくるりと見渡すソリコミくん。


 罪をくっ付ける、ね。


「俺と初めて会ったときはそういう感じにゃ見えなかったぞ?」


「そりゃ、あの時はこんな大胆な窃盗事件が起きるたぁ、思ってねぇ……殺す気だったさ。面子の為に、な」


 よほど大事な物を盗られたのだろうか。

 正直、こんなガバガバな警備体制にしてたコイツらにも責任の一端はあると思うが……


「……こっちにも落ち度はある、みてぇな顔だな」


「いやぁ、滅相も無い」


「いや、分かってるよ。この国でキプロスに喧嘩を売ろう、なんて奴はいない。そう思って油断してたのは事実だ」


「……そうかい。じゃあ、俺の報酬の話に戻りたいんだが」


「ああ、そうだったな……どうする?この部屋のもんを幾つかくれてやってもいいが」


 そんな事をすぐに言ってのける辺り、ソリコミくんはこの組織の中でもかなり高い地位……というかナンバーツーである事が何となく察せられるが……


「あいにく、俺が欲しいのは繋がり、でね」


 俺の言葉に、ソリコミくんの目が細められる。


「……ほう」


「食料を大量に購入したい。そしてそれに伴う運び屋なんだが……お前らご用達で、いい奴いないか?」


「食料はこっちのコネで紹介してやれるが、運び屋……ねぇ」


 ソリコミくんが顎に手を当て暫く悩む様子を見せたが、やがてこちらに顔を近づけ、声を潜めて言った。


「あんた、その運び屋……種族は問わないな?」


 同じく俺も声を潜める。


「ああ、構わん。しっかりやってくれるなら……たとえ魔族だろうと」


 最後の方は少し冗談めかして言ったのだが、ソリコミくんがその言葉に目を見開く。


「……なら好都合だな。一人、絶対に情報を漏らさないし、確実に運んでくれる奴が居る」


「へえ……好都合、ってのは?」


「魔族なんだよ、ソイツ」


 なるほどね。

 そりゃ本当に……好都合だな。


「構わん。信用出来るなら」


 俺の言葉にソリコミくんがひゅう、と口を鳴らす。


「やっぱアンタ、カタギじゃねぇだろ?」


 いや俺は一般人……あー、でも、あっちから見れば俺は異世界人、か。


「……まあ、その辺は置いといて、俺の望む報酬はソレだ。受けてくれるか?」


「ああ、勿論」


 よし、よし。


「じゃあ次は――コイツの報酬の話に移ろう」


「え」


 俺が指で示した先には、お気に召した武器をキラキラした目で眺めるモータルが居た。


「“俺の”報酬の話が終わったんだ。次はコイツの報酬の話をする……おいおい、そんな顔すんなよ。最初っから俺は、俺の報酬としか言ってなかったぞ?」


 俺の言葉に、ソリコミくんは口の端をひくつかせた。











 数十分後。

 ほくほく顔のモータルを連れ、屋敷から出て行く。


 例の運び屋と顔を合わせられるのは三日後らしく、それまで適当に街で遊んでろ、と言われた。


「どうする?モータル」


「んー。つーかギルドの依頼、チェックすらしてなくない」


 確かにそうだが……


「俺らのランクだと受けられる依頼が限られすぎてて萎えるんだよ」


「なら俺とパーティー組もうぜ!」


 うわびっくりした。


 見れば、敷地を出る門の前にガキが立ちふさがっている。


「……えぇ……どう思うよ、モータル」


「あのチンピラ撒くくらいの脚力あるなら良いんじゃない?」


 そういやそうだったな。

 俺に運悪く捕まらなければコイツはあっさり逃げおおせていたはずだ。

 そう考えると意外に能力は高い……のか?


「まあ、いいか。とりあえず飯だ、飯」


「おー」


 モータルを連れ、キプロスの屋敷の敷地を出る。

 ある程度歩いたところで、ある事に気付いた俺は、振り向いた。


 振り向いた先には、ポツリと門の前に立ったガキの姿。


「何やってんだ、はやく来い」


「……!うん!」


 俺の言葉を聞くなり慌てて駆け寄ってきた。


「俺らが無視して置いてくとでも思ったのかよ。見損なうんじゃねぇ、俺は約束は守るんだ」


 その言葉の返答とばかりにガキが腕にしがみついてきたので、俺は無言で脇腹をつねった。








タカ:はい、無事にスラムのボス騙し通しましたよ、っと


ほっぴー:やるとは思ってたが……マジでやるとは


Mortal:色々貰った


タカ:おう。あと、食材大量購入とその運搬法も目途が立ったぞ


ほっぴー:ナイス


ほっぴー:運搬に関しちゃ砂漠の女王が何やら開発してたっぽいが


ほっぴー:どうする?


タカ:運び屋とまだコンタクトを取れてない。そっちはそっちで頼む。


ほっぴー:了解


ガッテン:色々貰った、の詳細が聞きたい


Mortal:剣


ガッテン:またモータルの戦闘力が強化されてしまったのか……


ジーク:強化× 狂化○


Mortal:あと子供一人


ガッテン:!?


ほっぴー:はあ!?


タカ:おい。人聞きが悪すぎるわ


ジーク:人聞き悪いもクソもただの犯罪では……?


タカ:いや違うっての


タカ:おい、モータル。お前からも言ってやれ


Mortal:食べ物で釣ってた


ガッテン:完全に誘拐じゃねぇか!


ジーク:おまわりさんこっちです


スペルマン:タカ氏がとうとう奴隷商売に手を出したって聞いたけど本当?


紅羽:タカ。もしかしてあたしのザントマン見て、ショタの商業的な価値に……


タカ:違うわ!


ジーク:廃材アートって例えた話すき


タカ:その話はやめろ


紅羽:ジークの部屋行くわ


ジーク:ねぇ最近俺いっつも説教くらってない


ガッテン:ジーク、それはな。自業自得って言うんだぞ?


ほっぴー:おい、しれっと話が脱線しつつあるけど、忘れちゃならんぞ


スペルマン:人身売買


ほっぴー:そう


タカ:違いますぅ!


タカ:いやいや、聞いてくれ


ジーク:タカの言い訳詠唱開始


タカ:ぶっ殺すぞてめぇ


ジーク:本性現したね。


タカ:いや違うんだって


ほっぴー:違うんだって→結局違わない定期


タカ:もおおおおおおおおおお


スペルマン:久々のガッテンだ


Mortal:そういえばキプロスのとこの人にガッテンって名乗ってたね


ガッテン:え


ジーク:草


ほっぴー:それは笑う


ガッテン:おい!そういうのやめろよ!!!


タカ:え?


ほっぴー:と、なると子供持ってたのはガッテンという事になるのか


ガッテン:なんで!?


タカ:俺のやった事はガッテンがやった事として異世界に刻まれる


ジーク:人の尊厳踏みにじるのが上手すぎる


ガッテン:もおおおおおおおお!!!


ほっぴー:  本  家 


タカ:久々に聞けて嬉しいわ




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