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掲示板魔法の真価

タイトル通り、掲示板の配分マシマシとなっております。







「あー、あの金髪野郎の片割れな。一応通達はしとくけど……今魔王軍バタついてるみたいだしなぁ」


 俺の嘆願たんがんを聞き届けたほっぴーが、少し険しい表情になりつつも書面にサラサラと何かを書いていく。


「……なんでお前魔王軍の内情知ってんの」


「カーリアちゃん脇が甘いのよ。機密事項とか言いつつ雑談の合間にぽろぽろと」


 カーリアちゃんもカーリアちゃんだけどさ。コイツもコイツで問題だよなぁ……


「まぁいい。お前が踏み込みすぎて始末されたとしても俺の知ったこっちゃねぇし」


「大丈夫、大丈夫。その辺のバランスは得意でな」


 マジな話、十傑の中で一番ヤバいのってほっぴーでは……?


「なんだその顔。ホラ、こっちはこっちで探してやるからお前はその脚で直接探してこい」


「そう、だな」


 現状、まるで情報がない。

 今すぐにでもひょっこり現れてもおかしくないし、逆にこのまま永遠に見つからなくてもおかしくはない。


「まずは情報収集、か」


 いつ、どこに居た所まで確認されているのか。

 調べる必要があるだろう。















タカ:人探し中。情報求む


タカ:中肉中背の金髪。名前はマサル


タカ:[ 画像データ(マサルとベガのツーショット)]


タカ:お前らが知ってるとは思えんが、一応な。


ガッテン:どっちだよ


タカ:あー、すまん。左に写ってる方だ


ガッテン:まあ流石にこっちにゃ居ないだろうけど


ガッテン:覚えとく。見かけたら報告もする


タカ:頼んだ


ジーク:こっちも一応覚えとくわ


タカ:助かる









「……掲示板魔法、使うか……?」


 画像を載せられない為、あまり意味は無いかもしれないが……


「やらないよりは断然良い」


 俺は久々に掲示板魔法を起動した。










□行方不明者情報総合板




「……これか」





[ 弟子のマサルを探しています ]


1.タカ 識別番号(詳細はここをタップ)


  金髪で中肉中背。

  名前は日野優。ジョブは盗賊。


  情報がある人は至急連絡を。






「……情報が無さすぎだよな。まあ仕方ないか」


 そう言って溜め息をついた後、すっと顔を上げもう一度掲示板を確認する。


「あれ?新規一件……?」



2.マサル 識別番号(詳細はこちらをタップ)


  師匠!良かった!スマホ使えないからずっとここで張ってたんだよ!

  マジでやばいから助けて欲しい!


3.タカ 識別番号(詳細はこちらをタップ)


  本物か?


4.マサル 識別番号(詳細はこちらをタップ)


  識別番号の詳細から相互登録で個チャが可能になるんで続きはそこで!


5.タカ 識別番号(詳細はこちらをタップ)


  そんな事できるのか。すげぇ





「詳細……うわ、なんだこの記号の羅列……」


 途端にずらずらと並べられた識別番号とやら。よく見れば、その下に登録する、と書かれた箇所がある。

 なんだこの設定。不親切すぎるだろ。


 そうぼやきつつもとりあえずマサルを登録し、個チャという場所に画面を切り替える。



タカ:ほー。まんまツイッターじゃん


マサル:だよな


タカ:とりあえず質問。お前の後輩の名前は?


マサル:星野


タカ:下の名前


マサル:ベガ……


タカ:そんなんじゃ駄目だ!もっと元気良い感じで!


マサル:ベガー!


タカ:よし、いいぞ。


マサル:何がいいんだ……?


タカ:何でもいいんだよ。で?どこに居るんだ今


マサル:……


マサル:信じて貰えるか分からない


タカ:ああ?こんなアホみたいな世界になっといて今更信じられない事なんかあるかよ


マサル:異世界にいる


タカ:馬鹿も休み休み言えやコラ


マサル:ほらー!!!!やっぱ信じないじゃん!!!!


タカ:……いや、待てよ。異世界からゴブリンが来てんだから逆もまた有り得るのか?


マサル:なんか災害開始直後に何人か迷い込んできてるらしくて。それをお代官さんって人がまとめあげて、今現地でこそこそ生活してるんだよ


マサル:ただ、俺だけ災害が起こって一定日数経ってからこっちに来たから、掲示板魔法使える唯一の人間でさ。


マサル:とりあえず信用のおける奴にだけ連絡を取れって言われて


タカ:俺の事信用してくれてるのか


マサル:いやなんかお代官さんに師匠の名前言ったら顔色変えて「そいつと連絡を取れ!」って


タカ:ああ。お代官さんは俺らの仲間だよ。ちょっと待ってろ。ツイッター開いて会議する


マサル:頼む、師匠


タカ:任せとけ




「一石二鳥ってやつか?こりゃ」


 まさかマサルだけでなくお代官さんまで発見するとは。


 ただ、まだ確信はしていない。あらゆる可能性が残ってる。


 クソ、弟子の識別番号の写しぐらい持っとけば良かった。






タカ:緊急事態だ。よく聞けお前ら


タカ:災害開始直後、異世界に迷い込んだらしい人間が居る。しかも複数。


ほっぴー:おい、もしかしてお前の弟子


ほっぴー:いや、開始直後、か。すまん忘れてくれ


タカ:いや俺の弟子だけは例外で、ある程度の日数経過後に迷い込んだらしい


タカ:向こうでは掲示板魔法が使える唯一の人間だそうだ。今回俺と連絡を取れたのもその為だな


ほっぴー:なるほどな。しかし異世界か。カーリアちゃん達が居る世界か?


ガッテン:は?大事件じゃねぇか


ジーク:異世界行きたさ


鳩貴族:もう少し詳しくお話は伺えないのですか?現地の様子はどうなんです?


タカ:まあ待て。話はここからだ


タカ:現地に迷い込んだ人間を指揮してる人、誰だと思うよ?


ほっぴー:おいまさかとは思うけど


ほっぴー:お代官さん?


鳩貴族:成る程。つまり現地ではスマホの類いが使えない、と。いやまあ当たり前ですが


鳩貴族:これで音信不通だった理由が分かりましたね


タカ:おい正解当てるのと考察がはやいわ


タカ:そう、お代官さんが異世界の連中のリーダーだよ。


スペルマン:カーリアちゃんに保護して貰う?


紅羽:待て。向こうの様子を探れる数少ない人材だぞ


鳩貴族:この事は掲示板でだいだい的に言ってしまったりしていませんよね?


タカ:してないってよ


鳩貴族:流石お代官さんだ。カーリアちゃんは色々なプレイヤーとコンタクトを取っていますからね。そこ経由で存在が漏れかねない


ほっぴー:じゃあ存在は隠す方向で?


タカ:だな


ジーク:これ俺らもツイッターじゃなくて掲示板で喋る必要出てきたな


ガッテン:掲示板魔法ってもしかしてこれの為に……?


Mortal:だから俺ずっと推してただろうが。掲示板


ジーク:パスが違うって出るぞ。


ほっぴー:タカのモノマネやめろ


タカ:ジークてめえ……






 

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