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JK真白ちゃん

寝起きでそれなりに寝癖が付いている髪の毛を美弥子さんに梳かれながら、俺は膝の上に乗るパッシオのブラッシングをする。

髪を梳かれる俺も心地いいけど、ブラッシングしているパッシオも気持ちよさそうに脱力している。この感覚は髪が長くなってから、感じるようになった心地よさだ。


それと前までなら、短くても爆発気味だった髪の毛が、それなり程度の寝癖で済んでいるのは美弥子さんに教えてもらった幾つかのポイントを実践しているため。


まず、大前提は髪を濡らしたまま寝ないこと。これが寝癖の付く最大の原因なので、タオルもドライヤーも最大限に利用して、しっかりと髪を乾かすことが大事なんだとか。


次に、寝る前に髪の毛をブラッシングしておくこと。見落とされがちなポイントで、簡単に言うと、髪を保護している油分を、髪の毛全体に行き渡らせたり、絡まっている髪を事前に解しておくことで、寝癖を予防するんだとか。髪の長い人ほど、ブラッシングの効果ははっきりと出るらしい。


そして、髪の長い人限定だけど、寝る時は緩くで良いので髪の毛を纏めて寝る事。これで、長い髪が寝相で絡まってしまうのを予防するんだとか。ショートカットやボブカットくらいの長さの人は、ナイトキャップを被るととても効果的、らしい。美弥子さんの受け売りだけどね。


俺も、今の肩程の髪の長さ、所謂えーと、ミディアムって言えば良いのかこれは?

ミディアムって言うのが大体肩くらいまでの長さの髪型で、俺はクセっ毛なので天然でウェーブが掛かっている。美弥子さんにはお手入れさえしていれば、そのままでおしゃれな髪だと褒められた。ふふん。


じゃなくて、俺も結って寝る程の髪の長さじゃないから、ナイトキャップを被るのだが、これがまた凄い。

生憎、元々が外出を想定していない、部屋で寝ている時用の帽子なのでデザインだけで言えばクソダサの部類に該当してしまうと思うのだけど、このナイトキャップ。寝癖が酷い人には抜群の効果を誇るアイテムである。めっちゃお勧めしたい。勧める友達いないけど。


髪を乾かし、ブラッシングをしてこれをかぶって寝れば、寝癖が殆どつかないのだ。俺からすればこんなの快挙である。俺の朝は大体爆発した頭に水をぶっかけるところから始まっていたのに、ブラッシングで全然直るのだ。こんな素敵なことは無い。


そしてこのナイトキャップ。当たり前のように材料はシルク。と言うか今着てるパジャマもシルクだ。つるつるすべすべのこの寝間着たちで一体いくらするんだろうか。


と言うか、ベッド本体もマットレスもシーツもどう考えても最高級品だ。俺が分かるだけでも、ムートンシーツとその上にかかっているリネンシーツはバカ高い筈である。俺の知ってるリネンシーツはこんなに肌触り良くないです……。


何度目かのこの高級品に囲まれているかの恐怖にうすら寒い物を感じていると、美弥子さんから終わりましたよ。との声がかかる。


「随分と考え事をなさっていたみたいですね」


「……そんなに表情に出てましたか?」


「それはもう、バッチリ」


ニッコリと笑う美弥子さんの表情から察するに、百面相を繰り広げる俺の一部始終を鑑越しに眺めていたに違いない。途中で声を掛けてくれたらいいのに、美弥子さんはこう言うところで意地悪だ。


「すぐにお顔に出てしまうのも、真白様の可愛らしい一面ですよ。さぁ、次はお召し物を。今日から、ちゃんと採寸の済んだ制服でのご登校ですよ」


「むぅ、意地悪」


話をささっと次に変えてしまった美弥子さんに、少しばかりの反撃をするが、全く聞いている様子は無く、むしろ微笑みが増すばかりだ。これでは完全に反抗期の子供扱いだ。どうにかならないものか。


とりあえず、着替える以上はパッシオはケージにハウスである。布まで被せて完全シャットアウトだ。お互い、気まずい雰囲気にならないための配慮だ、許せ。……仮に覗いてたら、ベランダに吊るし上げるけどな。


この間、真白ちゃんは鼻歌を歌ってご機嫌なご様子

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