JK真白ちゃん
実は昨日の登校は、光さんが持って来た、セーラー服風の服で実際の郡中女子学院高等部の指定の制服では無かった(実は墨亜の服であるが、本人の名誉の為、誰も教えていない)
何せ、突然決まった編入だ。制服だってデザインが決まっているとは言え、身体のサイズに合わせて特注する物だ。そんなすぐに出来上がる物でもない(真白の身体が小さ過ぎて、特注中の特注である事は、本人の名誉の為、誰も教えていない)
制服は、白を基調にした清楚なイメージのある、セーラーワンピースだ。襟はグレーの3本ラインに黄色のリボンタイが可愛らしい。
タイの色で学年を分けているらしく、俺たちの代は黄色。今の2年生が水色。今の3年生が赤色だ。
今は夏服で、羽織るものは無いけど、冬になるとグレーのセーラーワンピースに黒のボレロを着用する。ソックスや靴は自由で、派手で無いものなら何を着用しても良いらしい。
「変じゃ無いですか……?」
「大変可愛らしくて、似合っておりますよ」
「うーん、なんかそわそわする」
よもや女子として制服に袖を通すとは思っていなかったので、何とも奇妙な感覚だ。似合ってる自信が全く無いけど、美弥子さんは大丈夫だって言うし、大丈夫何だろうか。
「キュ!!キュッ!!」
「ふふっ、パッシオ君も早く見たいそうですよ」
「せっかちだなぁ、もう」
どうせしばらくは見ることになるし、そんなバタバタ暴れなくても良いだろうに、物好きめ。
一応、こっちは男なんだから、女装しているようなもんだぞ。
文句を頭に浮かべながら、ケージに被せた布を取り払って、ケージの鍵を開けると、そのままケージにかけた手を伝って俺の肩まで登って来る。
そのまま左右の肩を行ったり来たりしながら、服装を確認しているようで、忙しない。なんでそんなにテンション高いんだお前。
「キュイ!!」
「無駄にテンション高いなぁ」
「きっと褒めてらっしゃるんですよ。さて、準備も終わりましたので、食堂に向かいましょう。皆さまお起きになられている頃ですので」
やたらとテンションの高いパッシオを指で撫でて宥めながら、美弥子さんに先導されて、諸星家の食堂へと向かう。
食堂、ダイニングとリビングが完全に分かれているあたりも現代の貴族とまで言われている諸星家らしい部屋割りだと思う。
普通の家はリビングとダイニングが兼用か、繋がっているかのどちらかだと思うし。
「おはようございます。光様、千草様、墨亜様」
「おはようございます」
食堂に入ると、美弥子さんの言う通り、光さん、千草、墨亜ちゃんが既にそれぞれ席に着いて朝食を取っていた。
玄太郎さんの姿は無い。俺に配慮して、出来るだけお屋敷には近付かず、別邸で何名かの男性使用人。執事さんを連れて、そちらに一時的に生活の拠点を移しているらしい。
本当は家族の下にちゃんと帰りたいだろうに、俺のせいで本当に申し訳ない。
「おはよう。美弥子、真白ちゃん」
「おはよう」
「おはよー。美弥子さん、真白お姉ちゃん」
口々に挨拶を交わして、促されるままに引かれた椅子に座ると、他のメイドさん達が手早く朝食の用意をしてもらう。
今日の朝食は和食メインのメニューだ。む、ワカメがある。苦手なんだよなぁ、海藻。
「ワカメはしっかり食べてくださいね。牛乳よりもカルシウムの吸収が良いですから、身長を伸ばすには好き嫌いはダメですよ?」
「……むぅ」
ここにき来てからの食事で、俺の食べ物の好き嫌いは殆ど筒抜けになっている。海藻類が苦手な事も、既に周囲には知れ渡ってしまっている事実だ。
「真白お姉ちゃん、はい。あーん」
「……あむっ」
「くくくっ、墨亜に世話されて、どちらが妹か分からないな」
「うるさいよ、千草。ピーマン残すクセに」
「ぐっ……」
「墨亜好き嫌い無いでーす!!」
「あらあら、1番お姉ちゃんなのは墨亜かしら?」
食べ物の好き嫌いだけを考えれば、年長組2人は完全に立つ瀬が無かった。
だって海藻、ヌメヌメするじゃん……。
「……きゅい」
因みにパッシオの食事は味の薄い、お屋敷のシェフお手製のペットフードである。
味の薄さにしょんぼりとした顔をしているが、すまんな。その姿の以上、フォロー出来ないわ。
そう言えば気が付いたら100Pですね。
約3ヶ月半、そこまで休む事なく連載を続けて来られたのは、読者の皆様の沢山のコメントをほぼ毎日いただけたおかげです。
やはり、直接的な感想や評価はダイレクトにモチベに繋がります。
真白とパッシオ、2人の物語はまだまだ続きます。このペースで行けば、恐らく数年単位の連載になるでしょう。
可能な限り、毎日投稿して、皆様に楽しんでいただけるよう、努力していくと同時に、私自身も楽しんで書いて行きたいなと思います。
そして、何やら怪しい企画も密かに進んでおります。公開はまだまだ先でプロット段階ですが、ご期待下さい。
ではでは、これから先も末永く、お楽しみいただけます様に、よろしくお願いします。