3章 見極められる覚悟 14話
「ねえ、貴方達、いつまでこそこそ話してるの。いい加減にしてくれないかしら」
我慢の限界を迎えていたパーラインは眉間に皺を寄せ詰め寄ってくる。
「ああ、そろそろ行こう。ジェイル、詳しい話は船でするぞ」
そんなパーラインに怯む事が無かったガーウェン。
しかし、その言葉にジェイルは驚いた。
「俺たち、船に乗るのか⁉」
ジェイルがそう言うとガーウェンは「そうだ」と言い再び先導して歩き出した。
途中、二人の快楽戦士達がガーウェンの元に走ってくる。どこか焦っているようにも思える面持ち。
「大変だ総督! 調査船でイルメン島に近づいた途端、見た事もない男が海に飛び込んで島まで泳いでいきやがった! 間違いなく密航者だ!」
「そうか、分かった。お前達は要塞に戻って酒でも飲んでろ」
慌てて説明する快楽戦士の言葉を冷静に聞くガーウェン。
快楽戦士の一人の肩を軽く叩き、船へと向かう。
ジェイルとパーラインは状況が理解できず、互いに顔を合わせ首を傾げる。
そして、十分後、着いた先は港湾だった。そこには巨大な船があった。まるでガレオン船だ。幾年もの月日を掛けて航海してきたかのような年季の入った船。
ジェイルは口をポカンと開け上まで眺めていた。
「さあセントオーシャン号に乗れ。今から向かうのはイルメン島だ」
ジェイルとパーラインは先導してセントオーシャン号に乗船するガーウェンの後に続いた。
甲板の上では総勢二十人の快楽戦士達が出航するための準備をしていた。
モップやブラシで甲板の上を掃除したり、砲弾などの武器の手入れをしていた。
「さあ、帆を張れ! 出航だー!」
準備が整った事を確認したガーウェンが大きく声を上げ快楽戦士達に指示を出すと、快楽戦士達は一斉に「おー!」と雄たけびを上げた
そして、一行はイルメン島に向けセントオーシャン号は全速前進する。
ジェイルは初めて海から漂う潮の匂いと、波に打ち付けられる船の感覚に好奇心を寄せていたが、同時に趨勢に思うと不安を感じてきていた。
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三章 見極められる覚悟はここで終わりです。
引き続き書いていきますので是非見てください。