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龍人ギルドで惰眠を貪る

@ 'ェ' @新しく書いちゃった

平和な街アスタロトのギルドの待ち合い場、そこの椅子に座り机に突っ伏し寝ている1人の男がいた。

そこに受付に座っていた女性が近寄り、男の後頭部に拳を振り下ろす。

ドゴッと言う鈍い音がし、男が無様な悲鳴をあげる。


「わひゃっ!」


男は後頭部をさすりながら女性を見る、彼女は微笑んでいたが背後には般若が佇んでいるようだった。


「レミーちゃんおはよう」


レミーと呼ばれた女性は金髪のロングでキリッとした目が特徴的な美人さんだった。


「はい、おはようございますニールさん」


ニールと呼ばれた男は灰色の髪で軽く髭を生やし、気だるそうな表情をしていた。


「ニールさん!此処はギルドなんです!仕事を探す所なんです!寝る場所じゃないんですよ!」


「すまんな、涼しくてつい」


ニールはレミーに頭を下げ立ち上がる。

レミーは立ち上がるニールを見て溜息を吐き受付へ戻った。

彼、ニールは最近この街にやって来た、もともと竜人達の国で暮らしていたが約束を果たしこの街にやって来た、彼は龍人族ドラゴニカその強さは人間族ヒュムニアを軽く凌駕するほどなのだが、受ける仕事は討伐系では無くお使いや運搬などの仕事しか受けず、暇な時はギルドの待ち合い場で突っ伏してねていた、彼は面倒くさがりだった。


「レミーちゃんに怒られてしまった、仕事を探すかぁ」


ニールは依頼を物色する、掲示に貼られている依頼書を舐めるように見ていた、そしてひとつの依頼書を持ってレミーのいる受付へと持って行く。


「レミーちゃん、この依頼を受けるよ」


「ちゃんと働いてくださいね、えーっと薬草集めですか、毎度思うのですが、なんで討伐系を受けないのですか?」


「レミーちゃん、決まってるじゃないか、面倒くさいからだよ、やっとドラスティアから解放されたからねこれからは自由に自堕落に過ごすのさ」


ニールは満面の笑みでレミーに応え道具袋から薬草を取り出し、依頼を完了させる。


「薬草4束ね」


「確かに受け取りました、この依頼は完了です報酬の800ゼルです」


レミーはカウンターに置かれている木で出来た受け皿に銀貨を8枚置くニールはその銀貨を胸ポケットにしまいこむ。


「ありがとう、仕事はしたしまた寝て良いかな?」


「はぁっ、まぁ良いでしょう」


「ありがとう、おじさん優しい女の子好きよー」


と冗談を言いながら先ほどの席に歩いていく、その後ろ姿を少しだけ頬を赤らめたレミーは、あんなのにときめくなんてと悔しがりながら、眺めていた。

ニール居眠りを始めて数時間が経った頃2人の冒険者が喧嘩をし始める。


「レミーちゃんがギルド一番だろう!」


「ちげーよ!ミアナちゃんが一番に決まってるだろうが!」


2人の喧嘩はヒートアップし1人がもう1人を投げ飛ばす、あろう事か投げ飛ばされた男は、ニールが寝ている方に向かい飛んでくる、そしてニールにぶつかる瞬間に、男は何かにはたき落され床に突き刺さる、そこにはうねうねとくねる黒と白が螺旋状になっている尻尾があり、そして寝ていたニールが顔を上げる、その表情は怒りが溢れ出しているようだった。


「喧嘩をするのは構わない、レミーちゃんもミアナちゃんも可愛いのは分かるだが、おじさんの惰眠を邪魔するのは許されないぞ!」


「なんだよ!竜人族ドラグナーが!関係ないだろ!」


「関係ないだと?惰眠を邪魔しておいて、それに俺は、ドラグナーじゃない!龍人族ドラゴニカだ!」


ニールはもう1人の投げ男に駆け寄り殴り飛ばす、男は壁突き刺さり前衛的なアートと成ってしまった。

そしてニールは元の席に戻り再び惰眠を貪るのだった。



@ 'ェ' @ニールは三十路なんです、レミーは二十歳なのです。

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