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068 帰宅するまでが依頼です?


 次の日は朝から爽快な目覚めだった。色々すっきりしたからね。


 昨日はお風呂から上がったら即就寝と言う事になった。お腹も膨れてお風呂でさっぱりした二人が早々に睡魔に襲われたのだ。

 私?私はほら、あれですよ。約一ヶ月ぶりに日課に励みましたよ。お客さんも居るのでがっつりと堪能することは出来なかったけど、それなりにね?

 いやはや、部屋を全室防音にしておいて良かったね。扉には鍵もつけてあるし、私、完璧じゃない?


 とまあ、そういう訳で今の私は絶好調。今日も頑張りましょう! と言っても後は帰るだけなんだけど。


「レンさん凄いご機嫌ですね。なんだかお肌も艶々してるし」


「私達も変に力が漲ってる感じするけど、レンさんはなんだか種類が違う気がするねー?」


 二人が元気な理由は多分昨日のご飯だと思う。私? 私はそれ以外にも色々とね?


「昨日の晩御飯にコカトリスの肉と卵使ってますから、その所為じゃないでしょうか?」


 コカトリスの卵は滋養強壮に良いらしいよ?


「コカトリスの卵!?」


「高級食材じゃないですか! え、昨日のあれ? 私達食べちゃったんですか!? 普通は売りませんか!? いくらで売れると……」


 そんなこと言われてもなー


「流石にあのクラスの魔物をEランクの私が持ち込むのは問題がありそうですし、折角の高級食材なら食べてみたくなりませんか? 実際凄い美味しかったですし」


「いえ、気持ちはわかります、わかりますけど……」


「確かに凄く美味しかったけどー、昨日のご飯がどれだけの値段になるのか考えると、ちょっと怖いよー?」


 でももう消化しちゃってるだろうし、過ぎたことは仕方ないのです。


「と言うわけで、食べた分頑張ると言うことで!」


「もう帰るだけですけどね……」


「頑張って帰ろうかー」


 実は卵はまだ5個ほどあるんだけどね。溶き卵もほとんど残ってるし……卵のサイズも相応に大きいんだよ。溶き卵作るのに寸胴鍋使うとか……

 コカトリス? 番だったみたいで実はもう一羽分丸まる残ってる。と言うか昨日食べた分差し引いても一羽目もほとんど残ってるし、アレを使って何を作ろうかなー? ハーブチキンもいいな……じゅるり。コカトリスの骨で鶏がらスープも面白そう? 後は内臓も……

 あ、そうだ。食べ物じゃないけど羽で羽毛布団も作ろう。そうしよう。



 と言うわけで帰宅準備。装備を整え全員外に出て自宅を収納。


「驚きすぎて失念してましたけど、レンさんの収納スキルってかなりレベル高いですよね」


「かなりって言うか、このサイズの家が入って、他にも馬車や馬も入ってるんだよー? その上昨日のコカトリスとかも入ってるわけだし、収納量考えると下手するとレベル10行ってるんじゃないー?」


 この旅の道中で二人は私が収納スキルを持ってることがばれてる。と言うか馬車を出した時にバレバレだったわけだけど。


「……アリサ、これは絶対秘密にしよう」


「だねー……」


 一々口止めしなくても自発的に……! なんて良い子達だ! おいでおいで、ハグしてやろうじゃないか。


「ふへへ」


「うふふ」


「リリー、気持ち悪い顔してるー」


「アリサだってー」


 ……この反応は予想外だった。あれ、もしかしてこの子達二人ともそっちの気が合ったりするの? へー……そっかー。

 前々からリリーさんはそれっぽかったけど、アリサさんもかー……なるほどね!



 その後、何事も無かったかのように森から出るために出発した。途中でオーク三匹に遭遇したけど、リリーさんとアリサさんがあっさり倒してしまった。


「丁度三匹ですし、一人一匹ですね」


「私何もしてないんですけどいいんですか?」


「いいよー」


 ではありがたく頂戴しておこう。お肉補充だ。

 そう言えばアリサさんはオークの接近に気付いた風だったけど……?


「アリサさん、オークに気付いてたようですけど、もしかして【警戒】覚えました?」


「そうみたーい。今ステータス見たら覚えてたー」


「アリサやったね!」


「うん、しかも【探知】も覚えてたー」


「一気に二つも!? 凄いよアリサ!」


「ありがとー。でもリリーもなんだか魔法強くなってない?」


「そうかな? うーん……あれ?」


「どうかしたー?」


「なんだか……幾つかのスキルがレベル上がってる……」


「……」


「……」


 そんな目で私のほう見られても……いや、ホントに分からないので、止めてください。


「あの、そんな目で見られても、私何もしてませんからね?」


「……これは本当に何もしてないっぽい?」


「みたいだねー?」


 何でもかんでも私の所為にしないで頂きたい!



 その後は何事も無く王都まで帰ってこれた。真っ直ぐ第二区画にある冒険者ギルドに直行。時間は昼過ぎだったので人はそれなりに減ってるかなー、と思ったんだけど普通に沢山居た。流石に都会は違うなあ……あ、猫耳だ。獣人可愛いです。


「レンさん、現実逃避するのは止めてください」


「すっごい目立ってるねー」


 いやあ、採集した薬草をまとめて出しただけなんだけどね? あ、ちゃんと鞄から取り出す振りはしたよ? でもまあ量が量だからねえ……


「レンさん、自分が原因だって自覚してます?」


「申し訳ない……」


 ちなみにオークは出してない。オークの素材の売却益なんて高が知れてるので。三人とも家で食べることにしたからね。


「目立ちたくないならもう少し大人しくして下さい」


「激しく同意だよー」


「ごめんなさい」


 いや、でも割としょぼい仕事に付き合せちゃったわけだし? それでもそれなりに稼ぎは合ったほうがいいだろうし? そうするとどうしてもですね?


「反省してませんね?」


「すみません、反省してます」


 ごめんなさい。でも怒ったリリーさんはちょっと可愛いと思います。


「レンさん?」


 いや、ほんとごめんなさい。


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