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058 やっと領都に着きました


 皆さんこんにちは。そっち系のスキルばかり増えていくえっちな幼女、レンです。正直ちょっと泣きたい。


 ……気を取り直して行こう。

 養鶏の村で多少のトラブルはあったものの、その後の旅路は平穏無事、気付けば領都の城壁が遠目に見え始めた。

 でもここからまだ半日位はかかるらしいから、領都に入れるのは明日の午前中、とのこと。

 あの城壁どれだけでかいんだよ……なんて考えてたのが顔に出ていたようで、王都の城壁はもっと大きいとか言われた。異世界パネェっす。

 ちなみに道中の宿は全て野営地でした。馬車の移動速度が速すぎる所為か、タイミングよく村とかに入れなかったんだよね。うーん、街道沿いの村の宿とかご飯とか、ちょっと興味あったんだけどなあ。


「やっとここまで来ましたけど……普通、2~3回位は魔物に襲われるものなんですが」


「ここまで何も無いのは逆におかしいよねー?」


「……レンさん、もしかして何かしてます?」


「平和なのが一番ですよ?」


 にっこり微笑み返して誤魔化す。うん、魔物避け振りまいてるからね。オークの群れでも無い限りは近寄って来ないよ。

 ついでにノルンが新しいスキルを覚えたようで、それの効果もあるみたい。

 【威圧】スキル。自分より弱い相手を近づけないスキルらしい。


 今いるのは野営地。このまま飛ばしていっても夜には領都につけるかもしれない、とのことだけど、その時間だと宿を取るのも大変そうなので余裕を持ってここで一晩明かすことにした。別に急ぎの旅じゃないしね。

 晩御飯は適当にちゃちゃっと作った。毎回手が込んだの作るのも面倒だし。二人は手抜きとは気付いて無い様子で、相変わらずの蕩け顔。正直エロイです。


「そうだ、レンさん。領都では宿に泊まる事になりますけど、希望の宿ってありますか?」


「んー、ゆったり入れるお風呂があって、ノルン達も泊まれる所がいいです。後は、ご飯が美味しければ言うこと無しですね」


「お風呂に従魔用の厩舎、となると幾つかありますけど……レンさんが満足するレベルのご飯と言うのは……」


「リリー、無理。そんな宿無いよー」


「あの、ハルーラの宿位で問題ないですからね?」


「「え゛っ」」


 何その反応。私は一体どんな美食家だ。

 と言うか、専業主婦してるお母さんだって外食は別だよ?


「自分で作るのと他所で食べるのとは別です。それに色々食べるのも勉強になりますよ」


「むーん。そうなると、あの宿か、あっちの宿か……」


「リリー、そこまで悩まなくてもいいんじゃない? 領都では一泊するだけだし、外食と言う手もあるよー。ほら、領都のレストランって言えばあそこあるじゃない」


「あ、あのレストランかー。ハルーラに行く時も食べたけど、たしかにあそこは美味しかったね! うん、それで行こう!」


「えーと、ご飯は外食するんですか?」


「はい! ここまで色々お世話になってますし、私達の奢りということで! アリサもいいよね?」


「いいよー」


 奢りかー。タダ飯最高っすね。


「どんなレストランなんですか?」


「領都一と言われてるレストランで、そこの料理長が領主である伯爵様のお気に入りって有名ですね。他の貴族を招いた時の晩餐会でもその料理長が腕を振るってるそうです」


 おおう、領主様御用達! これは期待出来る!


「ここの領主の伯爵様は武人の家系で有名ですね。十年ほど前の東の国との戦争でも大活躍だったとか」


 ほうほう。


「ただ領地運営の手腕のほうは微妙という噂がー」


 え。それ、大丈夫なの?


「でも人格者で部下に慕われてるとかで、領地運営に関しては優秀な部下が沢山いるって聞きますね」


「そうそう。それで料理長だけど、いつだったか周辺の領主を招いたパーティーの時に、その料理長に料理を依頼して大成功したとかでー」


「それ以降伯爵様のお気に入りの料理人として有名になったんだよね」


 へー。


「あの、そんな有名店ってことは、お高いのでは……」


「大丈夫です! こう見えても結構稼いでますから!」


「それに、そのレストランも幾つかのコースがあるから大丈夫だよー」


「流石に最上級コースとかは無理ですけど、中の上くらいなら!」


「リリー、そこはせめて上級行こうよ……」


「うぐ!」


「その、無理はしなくても」


「大丈夫です! 上級行きましょう! 割り勘ならなんとか!」


 んー、変に遠慮しないほうが良いのかな……


「えーっと、じゃあ、お言葉に甘えさせて貰いますね」


「はい! 甘えちゃってください!

 それに正直なところ、レンさんが食事や馬車を用意をしてくれたお陰で旅費が凄く浮いてるんです。だからあまり気にしないでください」


「はい、わかりました。レストランのほう期待してますね」


 ちょっと心苦しいけど、二人もこう言ってるしお言葉に甘えよう。それにしても、高級レストランかー。この世界の高級レストランってどんなの出るんだろう? 貴族のお気に入りって言うくらいだから貴族料理に近いものも出るかな? やばい、ちょっとドキドキしてきた。


「あ、そういえばドレスコードとか大丈夫ですか? その、フードが……」


「あー、そういえばレンさんはあまり目立ったりしたくないんでしたね。

 でも大丈夫です。そのレストランは平民の富裕層も普通に利用してますから、平民用のフロアがあるんです。

 それに上級冒険者なんかも結構利用してるので、マントつけたままでも大丈夫だったはずですよ。

 奥のほうの貴族用のフロアだと流石に無理でしょうけど」


「なるほど、それは助かりますね」


「でも流石にフード被ったままは別の意味で目立つと思うー」


「うーん、でもレンさんは素顔のほうがもっと目立つと思うよ?」


「……それもそうだねー」


 なんかすみません。


 領都での予定も決まったのでその後直ぐに就寝。

 明日の朝は早めに立つ予定。理由? それは単純に途中から馬車が使えないから。正確には使わないから。

 私の馬車の馬はゴーレムなので宿に泊まって厩舎に入れるのも色々問題になりそうだから、こうするのが無難なんだよ。割と色々自重してない分、こういうところではちゃんとしておかないと。それに馬車で入街すると結構なお金取られるらしい。倹約大事。


 次の日は予定通り朝早くに出発して途中で馬車を仕舞ってそこから徒歩移動。左右を麦畑に挟まれた街道を延々歩き、昼前には領都に入ることができた。ノルン達を見て驚かれはしたけど、特に問題も無く街に入ることができた。


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