00.プロローグ
魔王殺しの聖騎士アルフィン・アルフォン。
武神リュト・ビリアン。
千死の蛮勇王ガイスト・イース。
闇を蝕む狂聖女キエラ。
歴史書を開けばそこにいる英雄たち。
囚人国王、咎人リヒタ。
闇の魔導を究めし者ベクター・サリー。
戦国傭兵王グリコ・スペンサー。
悪童ディーゼ。
世界に大きな乱……善きにしろ悪しきにしろ世に革命をもたらした者も、立場が違えば誰かの英雄だったのでしょう。
光を食らう者モーモー・リー。
大地を裂く者ヴィケランダ。
夜の支配者■■■■■。
渇く者オロ。
英雄に討たれし特級魔獣たちの脅威は、今なお世界に爪痕を残しています。
さて。
この時代において、最も新しき英雄の名は、これから記されることになります。
素手で魔獣を屠る、
傷つき倒れる者を助ける、白き癒し手。
堅牢なる鎧さえ意味をなさない、騎士殺し。
ただただ死闘を求める、自殺願望者。
ほかにも暴走お嬢様、爆走天使、暴虐の姫君、破滅の舞踏、などなど。
様々な異名で呼ばれた彼女ですが、やはり一番有名なのは「狂乱令嬢」の名でしょうか。
彼女の名は、これより歴史書の一ページに刻まれることになります。
英雄の名に相応しい狂乱令嬢の、華麗なる戦いの記録。
そして、望まないまでも拒む理由もなく歩を進めた、偶像の軌跡。
狂乱令嬢ニア・リストン。
彼女の物語は、とある夜から始まりました。