四話【革巻の正義】
あーあばれちゃったか。まぁ俺はすぐばれるとは思ってたけどな。
「で、革巻はバイト中か?」
俺の問いに少なからず革巻は動揺したがこう答えた。
「まぁな。二人は何でこんな遠いファミレスなんかにいるんだ?」
うっいきなり確信をついてきやがったな。ここは何とか言い訳……
「私はね……革巻君が何で停学になったか聞きに来たんだよ!」
美佐! そこは少しずつ確信に迫っていけばいいじゃないか。
「えーとな……道端で他校の生徒に絡まれてる生徒が居てな……そいつを助けようと思って
その絡んでる連中に「やめろ」って言ったら殴りかかってきてな。
それで助ける為に実力行使に出たというわけさ」
……それはつまり革巻は悪くないんじゃないのか。それは明らかに絡んでた奴等が悪いだろ。
「じゃあ革巻君は悪く無いじゃん!」
「そうは言われてもな……この事がおおやけになるとまず【被害者】が迷惑になるんだよな。
・・・・・・・・
俺もそうだったからな」
「それはどういう意味なんだ? 革巻?」
革巻が話してくれた話はこうだ。彼も小学生時代虐めにあっていたらしい。
しかし彼は虐めるグループを全員入院させた。
すると彼の少ない友達は革巻に怯えて彼は孤独になった。ということだ。
「で、ちなみに俺のちゃらい外見は全て作り物。そうすれば人も俺についてこないからな」
俺は沈黙する。革巻にそんな過去があったなんて……俺は単に革巻を不良だと
勘違いしていた。何だよ。普通にいい奴じゃないか。
「――――大人達はよく言うよな。『やられたらやり返せ』
はっきり言ってこの言葉が俺はだいっきらいだ。
そんなの戯言なんだよ。虐める奴等がわりーのに何で俺達が責められるんだよってな」
刹那。たった十秒間の間誰もが口を開かなかった。最初に開いたのは美佐だった。
「じゃあさ! 私と友達になろうよ」
「は?」
「決定ね! 私と革巻君……いや杭一君は私と友達!」
革巻は呆れたのか良く状況がわかってないのかポカンという風な顔をしている。
「よーし俺も革巻とは友達になる! お前の支えになってやる!」
なんかノリなのか良く分からないが俺も何か美佐に乗るぜ!
「え? どういう意味なんだよ? 俺は意味が分からないのだが?」
「いいんだよ! 革巻。友達記念の変わりにコーヒー奢ってくれよな」
「私もねー」
「わかっ……ってお前等それが目的か!?」
俺と美佐はもう自動ドアの目の前まで来てる。後は……逃げるだけさ。
俺は全力疾走で走りファミレスが見えなくなったところで歩き出した。
なんか明日から楽しくなりそうだなと思いながら。