三話【怪しい二人組】
放課後。俺は美佐に頼まれてある人物の尾行をしている所だ。
「えーと美佐……これは?」
「見ての通り革巻杭一君の尾行よ」
そう。俺は今革巻の素性を調べる為尾行の最中である。俺は帽子に眼鏡口にはマスクと
最早怪しい人と言われても仕方がない。ちなみに美佐も同じような格好だ。
そして革巻はあるファミレスへと入っていった。何か食うのか?
「大和君。乗り込むよ!」
「そんな昔の刑事じゃあるまいし……」
突っ込みを入れつつファミレスへ入る。すると
「いらっしゃいませ……お客様二名様でしょうか?」
早速作業着に着込んで現れたのは革巻杭一だった。バイト中かよ!
そもそも不良がバイトなんかするのか?
そんな疑問を持ちながら俺は革巻に案内される。
「ご注文どうぞ」
「じゃ俺コーヒーで」
「じゃ私もそれで」
それだけ言うと革巻は「かしこまりました」と言いどこかへ戻っていった。
俺等みたいな不審者とも言っていい二人をよく店内にいれたな……
「大和君。緊急事態よ」
美佐が青い顔をして俺にそういってくる。嫌な予感が。
「――――私お金無いよ」
「は!? 美佐! お前お金持ってるんじゃないのか!?」
ちなみに俺は金など持ってきてるはずも無い。や、やばいぞ……本当にピンチだ。
★
午後八時……もうこれで三時間だ。
あのいかにも怪しい二人組。怪しすぎる。そもそも外見がマスクに眼鏡に帽子って……
絶対おかしいだろ。埒が明かないので俺は、
「店長。俺が問いだたしてきます。食い逃げ犯かも知れませんので」
「分かった。頼むよ革巻君……刃物を持ったりしているかも知れないから気をつけてね」
店長に言われ少しびくっとなったもの俺は身構えながら二人組に歩を進めた。
「お客様どうされたのでしょうか? もう入店して三時間になりますよ。
早くお会計を」
そういうと二人組は会話を始めた。
「美佐。もう無理だな」
「確かに、これは失敗ね」
そう言うと二人は顔にある装備(?)を全てテーブル上に置いた。するとおもやけになったのは
「龍蜂と橘!?」
俺は絶叫に近い声でそう発言した。何でこいつらが俺の店に!?