十六話【迫る悪…】
自分で一日に一回投稿は無理だと判断しました。
なので、二日に一回投稿出来ればいいと思っています。
俺は玄関から入ると、そこには
加奈が立っていた。
「遅かったわね…あっ後ろにいるのは百合華さんと夕菜ちゃんじゃない!」
加奈は驚いたように言った。
「あっごめんな…どうしても夕菜と百合華が来たいっていったもんでな…」
「まぁいいわ…とりあえず会場に行くわよ」
加奈に連れられ来たのは、
ものすごい大きい会場だった。
そこには、詰め掛けるように大勢の人がいた。
「おい…加奈…なんなんだ? この大勢の人は?」
「あぁどうせなら大勢の方がいいじゃない」
…それ答えになっていないような気がするぞ…
「ありがとう加奈ちゃん! 私の為にここまでしてくれるなんて!」
美佐は笑顔ではしゃぐように言った。
…いやそうだとしてもこれはやりすぎだろ…
この会場にたぶん百人はいるぞ…
これじゃ美玖も見つからないんじゃないか?
…下手すれば祐二とその彼女さんも…
「わーい! 美味しそうな料理がいっぱいあるよー♪」
「そうだな…食って食って食いまくろう!」
ここには馬鹿妹と馬鹿姉がいるが
もう放って置こう。
相手にするとめんどくさいからな…
「美佐…ちょっと付いて来てくれるか? 美玖探すんだけど…」
「うん! わかった」
美佐は物分りが良くて助かるな。
「え? 私は?」
加奈は焦ったように言っている。
「お前と美玖は会ったら喧嘩するだろ…」
「あぁそうね」
あっさり納得するなよ…
という訳で俺は美玖を探しに出掛けた。
「そういえば大和君! お父さんが言ってたんだけどね」
「あぁなんだ?」
「えーとね「ちゃんと宿題やれよ! お前は成績が悪いからな」だって」
「………」
…俺に恥を負わせやがって
折角美佐には頭のいい同級生だと思われるようになってきたのに…
「いや最初からそんな事は思ってないよ…そんなフラグもたってなかったじゃん」
うわっ読心術!? なんて奴だ美佐の台詞で作者の言いたい事
を入れてきやがった…
「美佐今何ていった?」
「え?何の事?」
もう何も言うまい…
俺達は雑談しながら
美玖を探していたが
会場にはいなかった。
…おかしいな…あいつの事だからいるはずなんだけどな…
俺と美佐は仕方が無いので
会場に戻ることにした。
戻ると大変な光景を目にした。
百合華と夕菜が寝ていたのだった。
お前等! 食いに来ただけかよ!
そんな突っ込みは俺の心の中に封じ込めた。
「加奈…ごめんな…こいつら邪魔だよな…」
「…別に邪魔とも言ってないけど」
うん、あきらかに邪魔だと思ってるな…
「そんな事より始まるわよ…」
前をみるとステージ上に人が立っていた。
「何が始まるんだ?」
「えーと予定としては…オーケストラにオペラ
とかかしらね」
うわー…そんなの最早高校生がやる歓迎会じゃないだろ…
「にしてもお父さんどこにいったのかしら?」
加奈の言うお父さんというのは
理事長の事である。
…こんな娘を持つ理事長も大変だな…
「あれ? 理事長も来るのか?」
「まぁそうね…今日の式場の自分で準備するとか張り切っちゃって」
へぇ理事長も娘思いなんだな…
…悪い言い方をすれば親馬鹿…
「あーあー」
ステージ上に立っている人は、
マイクテストをやっている。
見る限り進行役の人だろう。
「ではこれから加奈様の学校に新しく転校してきた
橘美佐の歓迎会を開催したいと思います!」
進行役の言葉で
場の空気が一気に盛り上がる。
美佐は自分の名前を
呼ばれるとは思っていなかったのか
顔を赤らめている。
「さぁ橘美佐! ステージ上にあがって自己紹介をしてもらえるかな?」
「ふえっ? 私?」
完全に戸惑い始めた美佐に俺は優しく手を押した。
「まあ気楽に言って来い」
「う、うん! わかった…」
美佐は緊張しているのだろう。
一歩一歩がぎこちなく歩いて行った。
そして進行係の人と美佐が小声で何かを話している。
話が終わり何が始まるのか期待したその時だった。
進行係の人から驚きの言葉が出たのだった。
「これから始まるのは、歓迎会ではありません…」
いきなり何を言い出すんだ?
「これから始まるのは…俺たちの計画だからな!」
バンバンバンッ
俺の耳に轟音と言っていいほどの音が聞こえた。
そんな音が聞こえた時には、
数秒の刻が流れる。
「ぎゃあああああああ!」
そんな声が聞こえる。
「嘘…なんなのよ…これ?」
加奈は呆然とした声でそう言った。
今の音は…紛れも無い…
銃声だったからだ。