十一話【大和の過去~回想編】
今回はかなり長いです。
次の日私は大和の家の前で待っていたのだが、
大和は一向に出てくる気配が無いため
私は仕方なく学校へ向かうとした。
今日はどうしたんだろうな?
----このときの私は大和の一大事に気づいてあげられなかったんだけど----
★
私は一人で教室にはいると
大和の親友の祐二が
私に話しかけてきた。
「あれ? 赤羽、大和と一緒に来てないの?」
「うるさいわねっ大和は来てないわよっ」
つい荒い声を出してしまう。
「…ははーん大和と一緒に来れなかったから機嫌悪いんだね…」
私は本当の事を言われ頭に来て、
「うるさい! このバカ!」
「あぁ怖い怖い! 美玖ちゃんのお怒りだ~♪」
そして祐二は私から逃げていった。
全然反省してないな…
それにしても…
大和まだ来てないな…
寝坊でもしたのかな?
ガラガラガラ…
「おーい皆席につけー」
そして先生が入ってきてしまう。
今は大和の事を考えていたのに
先生邪魔しないでよ…
「先生ー劉蜂が来てないですよー」
「そうだったな…今日は皆に劉蜂について話があったんだ…」
大和の事? 一体なんだろう?
「…劉蜂のお母さんが亡くなったそうだ…」
先生の言葉に教室の雰囲気が
一気に下がる。誰も口を開けようとしない…
私も先生の言葉を疑った。
大和のお母さんが死んだ?
だって昨日まで生きてたんでしょ?
なんで今日…意味が分からないよ…
私は段々胸が苦しかった。
呼吸もすることも嫌に
なってきた。
大和は、お母さんの事、好きだったのに…
なんでなんで?
…その後も授業は合ったがクラスメイトの誰一人として口を開けるものはいなかった。
大和はこのクラスで人気者だった。
困っている人がいれば
助けてあげたし、
大和が困っていれば
皆が大和を助ける。
大和はこのクラスで皆に好かれている
人気者だった。
その大和に降りかかった悲しみを
誰一人助けることが出来ない。
もちろん…幼馴染の私でさえも…
★
そして私は次の日を迎える。
私は、大和の家の静けさに気づく。
大和…今日は休みだろうな…
昨日あんな事があったんだ。
来れない・・・よね
私は一人で歩く孤独感を
背負い学校への道のりを進んでいった。
★
私が席に座って、
何もしないで待っていると、
「おはよー」
私は教室の入り口を見ると、
元気に笑顔で
挨拶をしている
----大和がいた----
一瞬だが、教室は静まり返ったが、
皆は大和に「おはよう」
とか普通に声をかけている。
大和は私の方に来て、
「よっ美玖! 昨日はごめんな!」
大和? 元気なの?
なんで?
なんで?
大和にとって…
お母さんは、
大事じゃなかったの?
「大和…」
私は小さな声で言った。
「ん? なんだ美玖?」
私はおもいっきり
大和の頬をはたいた。
「大和はお母さんが死んで悲しくないの! この薄情物!」
私がもう一回はたこうとすると、
誰かが私の手を止めた
祐二だった。
「やめなよー美玖ーはたいたら大和も痛いでしょー」
「放して!」
私は祐二の手を払いのけようとする。
「…ふざけんじゃねーよ!」
祐二の顔はさっきの軽い顔
ではなく本気の顔になっていた。
「大和はな…お前に心配をかけたくな…」
「いいんだ祐二…俺が悪かったんだよ」
大和は苦笑いを浮かべて
祐二に言った。
「ごめん…俺今日帰る…ごめんな…美玖」
大和は力の無い表情を浮かべて
教室から出て行ってしまった。
大和は教室から出て行ってしまった。
私…大和の事わからないよ…
揺れる美玖の想い…
次で回想編は終了です。