27.ブラックドッグ
~ブラックドッグ~
黒い毛並み、赤い瞳を持つ犬。主にイギリスに伝わる犬の妖怪。こいつが目の前に現れた者は、もうじき死ぬのだという。
墓場に埋められた犬が妖怪になったものとも言われている。そして墓に化けて出て、墓泥棒を殺したり、迷子に道案内してやったり、死者の魂の行先を示してやったりする。
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……なんか、気づいたら知らないところに居た。
俺、さっきまでたっちゃんとカケルと一緒に河原に居たんだけど。えーと、学校からちょっと行ったところの、デカい橋ある川。あそこ、橋の傍から下りられるようになってて、土手のところが丁度坂道になってて……雪降ったから、そこで段ボールをそりにして滑ろうぜ、ってやってたんだよな。確か、そう。
で、たっちゃんとカケルは今日、スイミングの日だから早めに帰って、俺1人になっちゃって、えーと……そっから先、よく覚えてないんだけど。でもなんか、よく分かんない内にここに居た。
「……ここ、どこ?」
神社とか、寺とか、なんかそういう雰囲気あるんだけど……いまいち分かんないんだよな。どこだろ、ここ。神社だったら、あの狐、居るかな。傘とかも。
少し歩いてみたんだけど、なんか、いつの間にか墓に来てた。えー、なんだろ、ここ。見たことねえんだけど。
いつの間にか大分遠くまで来ちゃったのかな、俺。ボーっとしてる内に知らないところまで来ちゃった?……なんかちょっと、ヤバくね?
そもそもどうやってここに来たのかよく分かってないのが一番ヤバい。俺、どうしたんだろ。ケツに敷いてそりにしてた段ボールもなんか持ってないし。どっかに置いてきた?
で、よく考えたら荷物何も持ってないんだけど。ランドセルは持ってたと思うんだけど……教科書とかも失くした!?マジでやべえ!お母さんに怒られる!
どうしよ、どうしよ、って思ってたら、がさがさ、って音がした。見てみたら、茂みの中から何か、出てくる。
……なんだろ、って思いながら、ちょっと見てたら……ぴょこ、って、尻尾、出てきた。
「……尻尾だ」
ぶんぶんぶん、って動く尻尾。真っ黒の。ふさふさの。あと、でっかい。
……いや、これ、なんだよ。なんで尻尾?
変なの、って思って尻尾つついたら、尻尾はびっくりしたみたいに、ぴょこん、って引っ込んで……それから。
わん。
……ガサガサ茂みを鳴らしながら、真っ黒な犬が、ぴょこ、って出てきた。いや、でも、ぴょこ、ってかんじじゃない。『ぬんっ』てかんじ。いや、だって、めっちゃこの犬、でかいし。
「……先に尻尾出さずに、顔出せよ」
びっくりしたじゃん。なんだよ、こいつ。
犬の耳辺りをつついたら、黒い犬は、わん!って元気に鳴いた。いや、わんじゃないが。
こいつ、でかい割に可愛い声で鳴くのな。何こいつ。かわいいじゃん。へへへ……。
……で。
でかい犬は居たけど、ここがどこか分かんない。何ここ。ほんとどこ、ここ。何?俺、迷子?小4にもなって、迷子?えー、嫌なんだけど……。
……でも、この犬、首輪ついてんだよな。ってことは、誰か飼い主が居るんだろうから、この犬にくっついてれば人が多いところまで戻れそうだな、って考えた。俺、こういうの考えつくの得意だから。
……ところで犬、あったかいな。なんかずっと俺にぴったりくっついてくるんだけど、マジであったかい。
俺、ちょっと寒かったのかも。なんか、犬撫でてたら温くて、ちょっと元気出てきた。へへへ。犬、ふっわふわでいいよね。特に尻尾。ぶんぶん振ってるの、かわいい。でかい犬ってちょっと怖いのかな、って思ってたけど、全然怖くない。すっげえ懐っこいし。
撫でまくってたら、犬はご機嫌になった。こいつ単純だなあ。で、俺に懐いたっぽくて、俺の周りをくるくる回って……それから、数歩離れていく。あ、帰るのかな。
だったらこの犬についていこう。飼い主さんに会えるかもしれないし、会えたらうちの近所までの道、聞けばいいし。
犬と一緒に歩く。
歩くんだけど……。
「……全然、景色変わんなくね?」
ずっと墓場なんだけど。いや、ちょっとずつ違う墓なんだろうけど、でもほとんど同じような風景なんだけど!こんな広い墓、うちの近所にあった!?俺が知らなかっただけ!?
えー、なんだよ。こんなところ知らないよ。結構近所は歩き回ってる自信、あったのにな……。
……よく考えたら、こんなデカい黒い犬がご近所に居たら、多分知ってるよな、って思う。いや、だって、『学校の近くにフクロウ飼ってる家あるんだけど!』って話題になるくらいだし。デカい黒犬とか、絶対話題になるじゃん。
でも知らないんだよな。……ってことは、ここ、かなり遠いところなのかな。え、何?俺、ワープした?
「なあ、ここ、どこだろ」
犬に聞いてみても、犬は、わふ、って鳴くだけだし。まあそうだよな。これで犬が『ここは三丁目ですよ』とか言ってきたらこええし。
「……どこなんだろーなあ」
しょうがないから、犬についてく。犬は俺の隣にぴったりしながら歩いていくから、なんか、あったかい。この犬、結構いいなあ。
……ってことで、歩いてたら。
「……あ、なんかある。張り紙?」
墓の真ん中に、突然、ぽつん、となんか不思議なものがあった。最初、紙か何か貼ってあんのかな、と思ったんだけど……よく見たら、でっかい鏡だった。
「鏡じゃん。え、なんで鏡……?」
……あのさ。墓場に急に鏡があるの、ちょっと怖くね?怖くない?なんだよこれ、って犬に聞いてみたら……。犬はずいずい、って俺を押してきた。
「うわ、何すんだよ!」
押されたら転ぶに決まってんじゃん!何すんだよ、って思いながら、俺、鏡に手ぇついて……。
「えっ」
……その鏡が、ぼやっ、て光って、俺が映った。
倒れて動かない、俺が映ってる。
「……え」
これ、何。
犬の方見てみたけど、犬は特に何も言ってくれない。
いや、何だよ、これ。なんで鏡の向こうで俺、倒れてんの?っていうか、あれ、俺?本当に?だってここに俺、居るのに。
ただ、その代わりに犬は、ぐるる、って唸って……鏡に体当たりし始めた。
何度も何度も、体当たりし始めた。
……でも、これ、鏡だし。体当たりしたって、別に、何も無いのに。
「え?うわわわわ、ちょ、ちょっと!何すんだよ!」
その内、犬は俺を鏡にぎゅうぎゅう押し付け始めた!いやいやいやいや、何すんの!?俺、押し付けられても何にもなんないけど!?
そのまま犬は頑張ってたけど、その内諦めて、『きゅーん……』て悲しそうに鳴いた。
で、鏡の向こうで俺は倒れたままで……なんか、知らない男の人と女の人が傍で何か言ってる。でも、何言ってるのかは聞こえなくて……。
……あの、あのさ。
多分、俺、分かっちゃったんだけど……。
「ねえ。ここに居る俺って、もしかして、幽霊?」
犬に聞いてみたら、犬はものすごくしょんぼりしながら、きゅん、って頷いた。
そっか。やっぱ俺、死んだんだ。
……ちょっとだけ、覚えてるんだ。
1人になっちゃった後もそりで河原の雪の上、滑ってたらさ。こけて。で、ランドセル開いて、中身ぶちまけちゃって。吹っ飛んだ筆箱が川に入っちゃって。
だから俺、ランドセルも段ボールもぶん投げて、川、入った。うん。そこまでは、覚えてる。泳ぐの、得意な方だし。
で、多分、俺、……筆箱は見つけたんだけど、多分、そこで、なんか、胸、痛くなって……うん。
……それで俺、死んだんだと思う。
どうしよう、って、最初に思った。
それから……お母さんとお父さんと、あと、弟のこと、考えた。俺が死んだら皆、どうなるんだろう、って。
……それから、たっちゃんとカケルと明後日遊ぶ約束したこととか、最近やっと話すようになったクラスメイトのこととか、来週の席替えのこととか、まだクリアしてないゲームのこととか考えて……それから、それから……。
ばんっ、て、音がした。
犬がまた、鏡に向かって体当たりし始めたんだ。何度も。でも、痛そうだよ。そりゃそうだよな、だって、鏡、硬いし。
でも、なのに、犬はやめない。絶対に鏡の向こうに行ってやるんだ、って顔で、何度も何度も、体当たりする。
「……あのさ。もういいよ」
なんか見てられなくて、俺、犬を引っ張った。犬はびっくりした顔で『きゃん!』って鳴いてたけど、でも、多分こいつ、頭いい犬なんだと思う。俺が『もういいよ』って言ったの、多分、分かったんだ。
……犬は、しょんぼりしながら俺の横にぺたん、って座って、くーん、って、悲しそうに鳴いた。
俺も、犬の横に座って、どうしよう、って考えてた。考えてたんだけど……もうしょうがないんだな、っていうのも、なんか、分かってた。
ぼんやり、鏡を見てた。
鏡の向こうでは知らない人2人の内の女の人の方が助けか何か、呼びに行ったっぽい。
……っていうことは、もう少し見てたら、お母さん、来てくれるかな。そしたらお母さん、見られるかな。お母さん、俺が死んだのにいつ気づくんだろ。
「人って死んだ後もこうやって見えてるんだな」
犬に『な』って話しかけたら、犬は、くーん、ってまた悲しそうに鳴く。尻尾が、ふさ、って動いて、俺の背中にくるっと沿うみたいになって、それから、尻尾が俺の背中を撫でていく。
あったかい。あと、くすぐったい。うん。嫌じゃないよ。
……鏡の向こうでは、最初に俺のところに居た若い男の人が俺のこと運んでた。それから、一緒に居た女の人が戻ってきて、2人で何か話して……。
その間に、なんか、新しく川沿いの道歩いてたお姉さんが走ってきて……あと、なんか……。
「布じゃん」
布が空、泳いできた。
「え?布……だよね?」
犬に聞いてみても、犬も困惑してる。え、なにこれ。なにあれ。え、布?布だよね?なんで布?……あ、もしかして布じゃなくてトイレットペーパー?いや、それはないか。
……なんだろ、って思ってたら、その布が、鏡の向こうの俺のところに、わわわわ、って集まり始めた。え、なにこれ。
「……あ、拭いてる?」
布がぐりぐり俺に巻き付いて、あと、俺を運んでた男の人にも巻き付いて、ももももも、って動いてるのは……えと、拭いてる、のかな……。俺、川で死んでたんだろうし……。
……あのさ。俺、自分が死んだってなって、なんか、しんみり?してたんだけど。なのにそこに布が大量に来ちゃったから、なんか、それどころじゃなくなってきたんだけど。なにあれ。ちょっとキモいし……。
大量の布がもさもさしてんのなんかキモいなあ、って思ってたら、最初に俺のこと運んでくれた男の人が、心臓マッサージ?し始めた。これも学校でちょっと習ったやつだ。知ってる。
それから、男の人と一緒に居た女の人が、何か空に向かって叫んでて、そしたら……。
「……今度は犬が来た!」
なんか、空から、金色の犬が降ってきた!2匹も!うわ、よく見たら脚6本あんじゃんあの犬!
……こっちの犬は?って気になってこっちの黒い犬見てみたら、普通に脚は4本だった。だよね。犬って脚、4本だよね。
『じゃああれ何?』って気持ちで黒い犬の方見てみたら、黒い犬の方も『何でしょうね、あれ……』みたいな顔してた。いや、お前も事情分かんないの?
金色の犬2匹は俺の脇のあたりと胸の真ん中あたりに丸くなって……そしたらなんか、犬の毛がぶわぶわ逆立って、めっちゃふわふわになってた。静電気?
あ、静電気で思い出した。これ、AEDの使い方に似てるわ。パッド2枚、あんなかんじに脇と胸の真ん中らへんに張るんだよな。これも学校でやった。
……え!?この犬、AEDの妖精か何かなの!?なにそれ!?
「うわうわうわうわうわ、あ、あれ人工こきゅ……うわうわうわうわ」
AEDの妖精連れてきたお姉さんが退いたらまた男の人が心臓マッサージ初めて、それから、布連れてきた綺麗なお姉さんが、その、その、人工呼吸、し始めたんだけど!うわうわうわうわうわ!うわうわうわうわうわうわ!俺、俺どうしたらいいの!?ねえこれどうしたらいいの!?
おい犬!なんかにやにやしてない!?ねえ!おい!
……それからも、心臓マッサージと人工呼吸が続いてた。
段々、人が集まってきて、俺の周りがどんどん賑やかになっていく。あ、いつの間にかクラスメイトが居る。最近話すようになった奴だ。ってことは、俺の学校とか分かるから、連絡いくよな。
「ん……?いや何これぇ!?」
……いやよく見たら集まって来てんの、人だけじゃねえじゃん!布とかAEDの妖精とかが来た時点でなんか変だと思ったけど、よく見たらデカい蛇とかデカい蟹とかデカい巻貝みたいなのとか居るじゃん!なんで全部デカいの!?
あと屋台来てる!なんで!?なんで屋台!?祭りじゃねえし!祭りじゃねえし!寄ってくんな!
しかも提灯ぶら下がってる!なんか謎の光る鳥居るし!俺の死体ライトアップすんなよ!つーかあいつめっちゃ光るじゃん!レインボーじゃん!なんなの!?
あと、タヌキとか!なんかめっちゃキンタマデカいタヌキとか居るし!あと、狐、とかも……。
……あ。そっか。狐、来てくれたんだ。
「……あの狐、俺の友達なんだ」
俺の友達が、来てる。じっと、倒れたままの俺を見てる。
……その狐が、ふと、こっちを見た。鏡越しに、俺のこと、見てた。
そう思った瞬間、鏡が、ぽや、って、光った。
「えっ、光った」
急に光ったからびっくりしたんだけど……ぽやぽや光る鏡を見て、黒犬が元気に吠えた。それから、俺のことをぐいぐい押し始める。
「あの、俺、行けるの?」
聞いてみたら、黒い犬は、わん!って吠えて、元気にまた俺を押し始める。ぐいぐい。あったかい。
「……じゃあ、あの、ありがと。あったかかったから、助かった。あと……その」
すぐ行かなきゃ、って思うから、すぐ言わなきゃ、っても思うんだけど、上手く、なんか言えなくて……うん。
「……またな!」
結局、それだけ言って、俺、鏡の中に入った。あの犬にも何か、いいことあったらいいな、って思った。
……あと、また会えたらいいな、って、思った。
それで、それで、また会えたら……その時は……。
こん。
……狐の声が聞こえるなあ、って思ってたら、目の前に狐が居た。尻尾振ってた。
「おっ!目ぇ覚ました!少年起きたぞー!」
それから、胸のあたりが苦しくて、『そういえば心臓マッサージされてたんだった』って思い出した。
男の人が手ぇ退かしてくれて、そしたらなんか、めっちゃ咳出た。げほげほやってたら、近くに居た狐がそっと、尻尾で俺の背中、撫でてくれた。
……それで俺、ああ、生きてるんだなあ、って、思った。
……それからちょっと、大変だった。
騒ぎに気付いて来てくれたクラスメイトが学校に連絡してくれてて、学校伝いにお母さんに連絡行ってて、それで、お母さんが来た。
めっちゃ怒られた。で、心臓マッサージしてくれた人とか、AEDっぽいのやってくれたお姉さんとか、その、じ、人工呼吸のお姉さんとかに、ご迷惑をお掛けしました、ってやって……。
で。
「少年!ほら、お茶飲みなよ。屋台の子が用意してくれたみたいだから」
……AEDの妖精使いのお姉さんがお茶持ってきてくれた。見てみたら、『屋台』の方で、提灯がぴょこぴょこ跳ねてた。あと、屋台の中で大きめの妖精みたいなのがお茶淹れてた。何あれ……。
これ飲んでいいのかな、って思ったけど、お母さんが警察か何かに説明してるし、クラスメイトもいつの間にか布に巻きつかれて困りながらもお茶貰って飲んでたし、俺も待ってる間、とにかく寒くてなんか、なんかどうしようもなくって……お茶、飲んだ。
お茶、思ってたより美味しかった。お茶ってそんなに美味しいイメージ無かったんだけどな。これは、すげえ美味しい。なんだろ。寒いからかな……。
……で、お茶飲んでから、気づいた。
「なんか……なんかこのお茶、入ってるんじゃね?」
屋台でお茶淹れてる謎の生き物……そいつの横で、金色っぽい鳥がめそめそ泣いてて、その涙が急須に入ってるんだけど……。
……いや、でもこのお茶はしょっぱくないし、多分、謎の鳥の涙入りとかじゃない、よな?うん……違う、ってことにしていい?
それで、俺がクラスメイトに、明後日たっちゃんとカケルと一緒に遊ぶからお前も来いよ、って約束したあたりで……警察の人となんか色々話し終わったお母さんと一緒に家、帰ることになった。
お兄さんお姉さん達とかクラスメイトとか、あと、変な鳥とか屋台とか……あと、狐にお礼言って、手振って、帰った。
……お母さんは変なの、見えてないっぽかった。屋台とか、あるのに気づいてないかんじ、っていうか。
ってことはやっぱ……こいつらって、妖怪、ってこと?ええー、マジで?
家に帰るまでの間もめっちゃ怒られた。そんなに怒んなくったってもうランドセル背負ったまま段ボールで滑らないって。
……でも、家に着くちょっと前に、お母さん急に立ち止まって、それから、ぎゅ、ってやってくれた。あったかかった。あと、『絶対に私より先に死ぬんじゃないよ!』って言った時のお母さん、ちょっと涙声だった。……ごめん。
「……ん?」
で、俺を放したお母さんがなんか……俺の後ろを見て、なんか変な顔した。
「お母さん、どしたの?」
「んー……今、あんたの後ろに何か見えた気がしたの」
えっ、と思って俺も後ろ見てみたんだけど、特に何もいない。てっきり、狐か何か、付いてきてるんだと思ったんだけど。
「狐みたいなやつ?」
俺が振り向く前に隠れちゃったのかな、その直前に、お母さんにも見えるようになったのかな。なんて思いながらちょっとワクワクして、聞いてみたら……。
「え?ううん。狐じゃないのよ。こっちが見たら『いえ違います!違うんです!間違えましたー!』みたいな顔して、とんでもなく慌てて逃げてったから、よく分かんないけどね……」
そんなこと言って、お母さんはちょっと笑った。
「なんか……黒い犬みたいな……そういうかんじだったかも」
「……えっとね、そいつ、俺の友達!友達になったの!」
それでね、俺さ。鏡のあっち側で言えなかったこと、やっと言えたよ。
次回、一応最終回です。一応はね。