猫耳くのいちのこと
822:ハカセ
みんな大変や、聞いてくれ
823:名無しの戦闘員
おーハカセ
なになに、ルルンちゃんの新コスチュームの話?
824:名無しの戦闘員
エレスちゃんに続いてルルンちゃんの新フォームも美少女度高い
なのにえっちぃという奇跡の妖精
825:名無しの戦闘員
緑の生地薄めのレオタにフリルがついて豪華になってるのに
腋と背中は丸出しのままというソリューション
826:ハカセ
ルルンちゃんの聖霊天装なら撮影怪人カメコリアン使って激写したで。
確かにあれはすっごいな
ちょっと雰囲気大人びて、かわいいから綺麗ってイメージに変わったわ
あの子、大きくなったら絶対美人になるよなぁ
827:名無しの戦闘員
撮影怪人カメコリアンという名前から特殊能力も用途も簡単に想像がつく怪人
828:名無しの戦闘員
絶対ローアングルからの撮影得意としてるよな。
829:名無しの戦闘員
正直写真分けてほしいンゴ
830:ハカセ
実はエレスちゃんの時も撮ってるで
それと聖霊天装したあと、ルルンちゃんからメッセージが入ってな?
ルルン「ハカセさん、聞いてくださいっ。私、すっごくいいことあったんです」
ワイ「そうなのか。なら、お祝いしないとな」
ルルン「わぁいっ。なら今度いっしょに遊びに連れて行ってほしいなー、なんて」
ワイ「かまわないよ。お姫様の御心のままに」
ルルン「えへへ、お姫様……。ハカセさん、次のお休みの日楽しみにしてますねっ」
もうご機嫌って感じやったわ
いやー、ルルンちゃんかわいいなぁ
831:名無しの戦闘員
普通に仲良くなってる件について
832:名無しの戦闘員
いつの間にか連絡先交換してやがった
833:名無しの戦闘員
ヤバいぞ、ハカセが第二のM男になっちまう
834:ハカセ
ワイの推しはフィオナたんやから
……ってそうやない! 大変なんや!
835:名無しの戦闘員
十代前半くらいの女の子にお姫様とか言って遊ぶ約束する大人は確かに大変だけども
836:名無しの戦闘員
どうした、また首領にいじめられたか?
837:名無しの戦闘員
俺らはお前の醜態を見るためにいつでも待機してるぜ
838:ハカセ
あれ? ワイの立ち位置ってどうなってるの?
いや、そんなんどうでもええ
わりとガチでマジな緊急事態や
839:名無しの戦闘員
おお、なんかヤバそうな話か?
840:ハカセ
激ヤバや
みんな落ち着いて聞いてくれ
……猫耳くのいち幹部がオシャレに目覚めた
841:名無しの戦闘員
?
842:名無しの戦闘員
お、おう?
843:名無しの戦闘員
なにが緊急事態?
844:名無しの戦闘員
猫耳くのいちって確かエレスちゃんと同年代って言ってたよな
見た感じ十四~十五歳くらいだろうし、別に普通じゃね?
845:ハカセ
はぁ⁉ お前らなに冷静ぶってんねん⁉
846:名無しの戦闘員
そう言われましても……
847:名無しの戦闘員
逆にハカセがなんで荒ぶってんのか分からん
848:名無しの戦闘員
とりま順を追って話してみ?
849:ハカセ
せ、せやな
猫耳くのいちと初めて会ったのは三年前、あの子が十二歳の頃やった
ちょうど先代首領が亡くなって多くの離反者が出た辺りか
どうにか人員を集めようと躍起になってた時に幹部候補として連れてきたのが猫耳くのいちや
850:名無しの戦闘員
戦闘員から出世とかじゃなく完全に外部から?
851:ハカセ
せや
ワイらの次元にもこっちで言う忍術みたいなもんがある
歴史上の、ではなく創作における忍術な
猫耳くのいちはそれを使って暗殺やらスパイやらする家の、当主の娘やった
852:ハカセ
ただ当主は本妻の娘である猫耳くのいちよりも側室の娘をかわいがった
そんで、ウチは先代のおかげでわりと悪名高い組織でな
当主「わしら役に立ちまっせ。先代死んで大変でっしゃろ、この娘やるから好きに使いなさいな。その代わり儲け話には一口噛ませてもらおうかい」
なぁんて擦り寄ってきおった
つまりかわいくない方の娘は人身御供で、たぶんいざという時に首領を暗殺する刺客でもあったんやろな
853:名無しの戦闘員
分かりやすいほどクズ。
854:名無しの戦闘員
そういう経緯来た猫耳くのいちが幹部って……
855:名無しの戦闘員
まさか胸糞悪い話しちゃうやろな
856:ハカセ
ブチ切れたワイ
怪人と魔霊兵を投入してお家ぶっ潰しちゃった☆ てへぺろ(・ω<)
857:名無しの戦闘員
よっしゃよくやったハカセぇ!
858:名無しの戦闘員
ざまぁ! ざまぁ!
859:名無しの戦闘員
やるやん!
860:ハカセ
結果猫耳くのいちだけが残って、どうするか聞いたら「貴方のところに行く」って言うから組織に連れて帰った
首領はちょっと怒りつつも「はぁ、まったくこの幹部は好き勝手しおって(ニヤニヤ)」 みたいな感じやったわ
861:名無しの戦闘員
ブラック首領、基本は良識ある感じだもんな
悪の組織なのに
862:ハカセ
なお流れるようにワイが猫耳くのいちの教育係になった模様
当時はアニキもゴリマッチョもせくしーもいたのになんで?
863:名無しの戦闘員
相変わらずのブラックで安心した。
864:名無しの戦闘員
首領は基本ハカセに振ればどうとでもなると思ってるよなw
865:名無しの戦闘員
拾ってきた猫の世話は自分でしなさい、と考えれば順当?
866:ハカセ
それで先代が亡くなってからの流れが、
【三年前】
組織からの大量離脱・猫耳くのいち組織入り・ワイ教育係
↓
【二年半前】
猫耳くのいち幹部入り・ワイがタイマンで負けるようになる
↓
【二年前】
日本侵攻開始
↓
【一年半前】
ロスト・フェアリーズとの戦いの幕開け
その後しばらくしてアニキ・せくしー・ゴリマッチョの離脱
ワイ 統括幹部代理に
↓
【一年前】
ワイ、カップラーメンにハマる・アニキ喫茶店開店・フィオナたんカワイイ
首領がアニメ、特にロボットアニメにハマる
↓
【半年前】
ワイ、日本の冷凍食品のすごさに驚かされる
フィオナたんのポスター作製
首領とブレン〇ワードを見てOPの裸乱舞に微妙な雰囲気になる
こんな感じやな
ふふふ まさかあんだけ格好つけて迎え入れたのに僅か半年で追い抜かれるとは思っとらんかったわ……
867:名無しの戦闘員
後半の情報一切いらねぇw
868:名無しの戦闘員
嫌われてるのかと思ったけど首領と仲いいじゃんw
869:名無しの戦闘員
ハカセはマジで四天王最弱なのな
870:ハカセ
猫耳くのいちはワイが十二歳の頃から面倒をみとったんや
なのにいきなりオシャレに気を遣いだして……いったいなにがあったんや……
871:名無しの戦闘員
つまり保護者目線の緊急事態かw
ちなみに猫耳ちゃんカワイイ?
872:名無しの戦闘員
パパ的には心配になるよな
うちの娘も急に色気づき出した時期があったなぁ
873:名無しの戦闘員
嘘つくな! にゃんJ民に嫁も娘もいるものか!
874:名無しの戦闘員
てかハカセ、面倒見てきた女の子と同じ年頃のフィオナちゃんを恋人にしたいとか言ってたのか……
875:ハカセ
うん? そりゃワイらの次元では十五で成人やから法的にも問題ないし
さすがに十二歳のI奈ちゃんに手を出すM男はロリコンやけど
ちなみにワイらんとこではロリコンを『エルテフェル』って呼ぶ
愛の女神にして永遠の美幼女エルテに由来した名称やね
876:名無しの戦闘員
世界が変わると名称も変わるんだな、やっぱり
877:ハカセ
>>871
かわええぞ
無口で表情はあんま変わらんけど、けっこう悪戯好きなんや
ワイより色素の薄い銀髪セミロングに緋色の瞳。並ぶと兄妹っぽいと言われる
エレスちゃんよりちょっと背丈があって、鍛えてるから細身というかしなやかな感じ
頭のネコミミはミャオ族いう少数民族の特徴で、しっぽも生えとる
この種族は生来的に魂の質も身体能力も高い
語尾は「にゃ」や!
878:名無しの戦闘員
おぉ、ネコミミ銀髪無口くのいちっ娘……
879:名無しの戦闘員
マジか十五歳が合法……その楽園に俺もイく!
880:名無しの戦闘員
でもさ、年頃だからオシャレは仕方ないところはあるぞ
あんま干渉してもウザがられるだけじゃね?
881:名無しの戦闘員
>>879
別に行ったからって十五歳と付き合えるわけじゃないが
882:名無しの戦闘員
現実を見せつけてくんなよ……
883:ハカセ
>>880
それがな? わりとオシャレ自体も問題になっとるんや
884:名無しの戦闘員
なんで?
885:名無しの戦闘員
慣れてないから変な格好になってるとか?
ベタなところで化粧濃すぎて怖いみたいな
886:ハカセ
いいや、猫耳くのいちは美人さんで、服装もいい感じや
……場所が謁見の間やなかったらなぁ!
首領がおる場所で幹部服でなくバチバチに決めたかわいい系コーデとかどんな心臓しとったらそんな真似できるんや⁉
887:名無しの戦闘員
幹部にまともなやついねーのかw
888:名無しの戦闘員
猫耳ちゃんカワイイ!
889:ハカセ
首領「猫耳くのいち幹部よ。その格好は、いったい?」
猫耳「……ゆるふわガーリッシュ、にゃ」
首領「……そうか」
あくる日
首領「猫耳くのいち幹部よ。今回の服装はかわいらしくまとめて、いるな?」
猫耳「フェミニンがテーマ……にゃ」
首領「……………そうか」
さらにあくる日
首領「きょ、今日はずいぶん、その、薄着じゃのう?」
猫耳「ホットパンツ中心のコーデ。エロかわ系、にゃ」
首領「……………………そうか」
首領がちらちらワイを見てくるぅぅぅ
(お前教育係だからどうにかせいや)って視線で語っとるぅぅぅぅ
そこからなんやかんやでワイの責任になるって分かっとるんやぞ⁉
なんでや、今回に関してはワイ一切悪いことしとらんやろ……
890:名無しの戦闘員
お決まりの管理不行き届きからのハカセの仕事増加だなwww
891:名無しの戦闘員
首領と猫耳ちゃんの間に挟まれておろおろする姿を想像したらお腹痛いwww
892:ハカセ
猫耳は過去が過去やからな、オシャレ自体は別に反対しとらんのや
そうやって楽しみを覚えたのは嬉しい
ただTPOを弁えてくれればええ
せやからやんわりと「謁見の場ではもうちょい違う感じがええんちゃう?」って指摘したんや
翌日ナチュラルメイクまでしてきたわ
なにこれ反抗期?
893:名無しの戦闘員
猫耳ちゃんやるなwww
894:名無しの戦闘員
その子もハカセをいじる側かw
895:ハカセ
どないすりゃええの……
896:名無しの戦闘員
でもハカセ気を付けろよ
男の視線を意識してオシャレを始めるって場合もあるからな
897:ハカセ
……は? は?
898:名無しの戦闘員
あー好きな男子にかわいいって思ってもらいたい、みたいな
十代だったら不思議じゃないよね
899:ハカセ
なんだと……誰が私に隠れてあの子に手を出してきた……?
戦闘員C男か、女に節操ないC男だな?
900:名無しの戦闘員
戦闘員C(チャラ)男
901:名無しの戦闘員
ハルヴィエドになってんぞw
902:ハカセ
おっと
というか、あの子も成人したんやもんな……
昔と変わるのも当然か
903:名無しの戦闘員
俺も娘を持つ男親だから経験はあるが、そういう時はちゃんと見守ってやらんと
そら気に入らんかもしれんけど強く言っても嫌われるだけだぞ
904:名無しの戦闘員
私ちゃんも同意見
こういうのも子供が成長する上で大事なことだと思うよ?
905:ハカセ
そっかぁ……寂しいけどしゃあないわな
それはそれとしてあの子にオシャレを意識させた男め! いつか絶対ぶん殴ったるわ!
906:名無しの戦闘員
全然割り切れてねーじゃねえかw
◆
猫の特性を持つ少数民族、ミャオ族の娘
ミーニャ・ルオナは感情の薄い無口な少女だ
その原因は両親の愛情を受けられなかった過去にある
ミーニャは影を操る【操影術】の宗家、ルオナ家に生まれた。
しかし父親は本妻の娘であるミーニャを虐げ、側室の娘にのみ愛情を注いだ。本妻といっても政略であり、初めから母は愛されていなかったそうだ。
加えてミーニャは齢十歳にして操影術を極めてしまった。父が到達できないほどに深い領域まで。
父親が彼女を冷遇したのは単なる嫉妬。娘の名が自分よりも遥かに格上の使い手としてルオナの歴史に刻まれることを良しとしなかった。
だからこそ父は神霊結社デルンケムに近付いた。
強大な戦力と非常識なまでの技術を有したかの組織は、先代が死んだことによりその影響力を急速に落としつつある。
デルンケムに近付き利用し、時が来れば首領を暗殺して組織自体を奪い取る。
今までに類を見ない手柄を上げる、それが当主の狙いだ。そのためにはそれなりに価値のある人質を送らねばならない。
選ばれたのはミーニャだった。
彼女は逆らわなかった。家族としての愛情などとっくに消え去っていたが、暗殺を生業とする家の娘に選べる道はないと知っていた。
『別に人道だの倫理だのを語るほど真っ当な人間でもない。が、なぜかな……ルオナの当主よ、お前は不愉快だ』
しかし当主の目論見はデルンケムの幹部を名乗る男、ハルヴィエド・カーム・セインによって未然に防がれた。
怪人と魔霊兵を引き連れてルオナ家を叩き潰した彼は、膝をつき目線を合わせミーニャに語りかける。
『私はハルヴィエド、悪の神霊工学者だ。だからルオナとの交渉を暴力で潰し、無理矢理に君をさらっていこうと思う。ただ私は運動が苦手でね。逃げられたなら、きっと追いつけない』
つまり逃げるか付いて来るかは自分で選べということ。
『居場所は最初からない。あなたに、ついていく……にゃ』
そうしてミーニャは初めて、自分の意思で何かを求めた。
いらない子供でしかなかった。
ミーニャにとって初めて手を差し伸べてくれたのがハルだった。
彼に連れられてミーニャはデルンケムに来た。諜報のエキスパートとして、影は影なりに幸せな毎日を過ごしている。
だから思う。ハルはお父さんで、友達で、同僚で、教育係で……きっと、私の神様だ。
「うまぁ……なんだこれ。おすすめされたこのカップ担々麺、旨すぎない? ご飯、これは白ご飯を入れて汁まで頂かねば」
もっとも、ミーニャを救ってくれた悪の神霊工学者は、見た目ほどマジメな人ではなかったが。
部屋の整頓はきっちりするし、洗濯に関しても几帳面。けれど食事は味の濃いものが好きで、日本で覚えたインスタントと冷凍食品ばかりを食べる。あと甘味も大好きだ。
一時期は教育係で、今もいろいろと気を遣ってくれてはいるが、付き合いが長くなるほどにポンコツな部分が目についてしまう。
それでも尊敬や親愛の気持ちはいささかも揺らいではいない。
「ハル。そういうのばかり、身体に悪い、にゃ」
「ん? いや、ミーニャ。おいしいということは、身体が求めているということだ」
よく分からない理論を振りかざし、担々スープご飯を作って完食しきる。
日本侵攻が始まってからハルは忙しい。代わりに日本を一番楽しんでいるのも彼のような気がする。
……敵である清流のフィオナのポスターを自作して部屋に飾っているのには、なにかモヤモヤするけれど。
「ところでミーニャ」
「……にゃ?」
「いや、最近はオシャレを頑張っているみたいだな。どの服装もよく似合っていて、か、かわいらしいと思う」
近頃ハルは変わった。
以前はミーニャを同じ幹部として尊重はしてくれたが、逆に女の子としては扱わなかった。
しかし成人したからか。かわいいとか、ちょっとしたアクセサリーに気付いて褒めてくれるようになった。
ミーニャがオシャレを始めたのは、つまりそういう理由だ。
ずっと保護者で同僚という立ち位置だったハルの誉め言葉が、思った以上に嬉しかったらしい。
「ただ謁見の間には、もう少し違った印象の衣服がいいのではないかな?」
「分かった、にゃ」
なら、また違うタイプの服にしよう。
お化粧も少しして、成長した自分を見てもらうんだ。その度にハルは違う誉め言葉をくれる。
ミーニャにオシャレが楽しいと教えてくれたのも、やっぱりハルだった。