おまけ・プロジェクトYのことンゴ
企画:広報部(担当・猛虎弁)
【プロジェクトY~がんがれ第二秘書・逆境に咲く少女~】
ちゃっちゃちゃーらっちゃー ちゃっちゃちゃーらちゃっちゃちゃー
リリア・ヴァシーリエヴァ、18歳。
ロシア人の母は早くに亡くなり、父と二人暮らしをしていた。
父親は絵にかいたようなクズで、幼い頃から見目麗しかったリリアが成長すると、売春組織に売り飛ばして酒代にしようとした。
そこをハルヴィエド・カーム・セインに救われた彼女は、15歳の時に神霊結社デルンケム所属となった。
元々マジメな性格であり、わりと適当なデルンケム戦闘員とは違いハルヴィエドを支えようと努力した結果、リリアは統括幹部代理付きの補佐役に昇格。
その後、一年前にデルンケムが活動を休止すると同時に、リリアは合同会社ディオスの秘書室勤務となった。
学歴としては、クソのような父親のせいで中学卒業までしかない。
代わりに働きながら高卒認定をとるために勉強をしている。リリア自身は必要ないと思っていたが、葉加瀬社長代理の秘書が中卒では示しがつかない。
するとその話を小耳にはさんだのか、社長代理が色々と手筈を整えてくれた。
『本音を言えば、私も必要ないと思っている。経歴は偽造すればいいだけだろう?』
そんなことを言う辺り、やはり彼は悪の組織の人間だ。
ただ、付け加えてこうも言った。
『学歴がどうあれ、リリアは社にも私にも必要な人材だし手放す気もない。だが、学びたいという気持ちは尊重するよ』
その心が何よりも嬉しい。
だからこそリリアは自ら成し遂げ、補佐役として胸を張りたかった。
その意思を尊重してくれたハルヴィエドには本当に感謝している。
働きながらの勉強は大変だがやりがいもある。
────今日は、可憐ながらに第二秘書として奮闘する、ヴァシーリエヴァさんの一日を追っていこう。
<AM8:30>
第二秘書の朝は早い。※元ニートの猛虎弁と比較して
始業の30分前に出社し、まず社内便とメールをチェックする。
同時に朝のコーヒーの準備も行う。
しばらくすると同じく秘書室勤務の根津尚太郎(N太郎)や、レティシアが出勤してくる。
「おはようございます、先輩方」
「はい、おはようございますリリアちゃん」
レティシアにしろ尚太朗にしろ、まだまだ未熟なリリアの面倒を見てくれる良い先輩だ。
なお秘書が始業の二時間前に出社して準備を整える会社もあるが、ディオスではそこまで厳しくない。
これに関しては社長代理の葉加瀬晴彦氏の方針というよりも、もう一つの顔であるハルヴィエドとしての立ち位置が色々と複雑だからだ。
<AM9:30>
社長代理が出社すると、秘書も本格的に動き出す。
葉加瀬氏は経営だけでなく研究者としても一面もあるため、補佐役の業務も若干通常の役員相手とは趣が異なる。
朝一番で書類を確認する葉加瀬氏。コーヒーを出すのも秘書の仕事だ。
彼の好みは香り高く酸味は弱め。今日はブラジルのシティーローストである。
「ん、ありがとう。美味しいよ、リリア」
「ありがとうございます、葉加瀬社長代理」
冷静に返すが、内心は小躍りしそうなくらい喜んでいた。
しかし付き合いの長いレティシアにはまだまだ及ばない。これからも精進を続けなければ。
葉加瀬氏がコーヒーを飲んでいる間に、本日のスケジュールを伝える。
同時にチェックしたメールから相談が必要なものは今のうちにあげていく。秘書として社長代理と打ち合わせをするこの時間は、リリアにとって非常に楽しいものでもあるのだ。
<AM9:45>
社長代理が外に出向く場合はそれに付き従う。
その前に、先程の相談内容を各企業に返信していく。具体的には「御社の浄水システム入れたいんだけど十の工場全部で使うからちょっと安くならない?」みたいな相談に対して、社長代理の意向に沿った返答をする。
同時に秘書室に戻り社長代理のスケジュールの微調整も行う。
午前中の特に忙しいタイミングだった。
<AM10:20>
今日は連携企業の社長が訪れる予定だ。
来社する他企業の役員方を応接室へ案内したりお茶を出すの業務のうちになる。秘書が来客応対する場合は相手がVIPであることが多く、「会社の顔」としての配慮ある言葉遣い、立ち居振る舞いが求められる。
意外とこの仕事は苦労が多い。
というのも社長代理や「せくしー」と呼ばれるレティシアは勿論のこと、リリアも魅力的な容姿をしている。外部の男性の中には、あまり好ましくない視線を向けてくる者も少なからずいた。
ここで体を張るのは尚太朗。
リリアやレティシアに対してセクハラをしてくる外部の人間に対しては彼が対処する。
美しい女性達に接待させるつもりが、地味な男が対応するのだ。横柄な客などは不愉快そうな態度をとる。
そうなれば葉加瀬社長代理が、「根津秘書を軽んじるなら当社を軽んじるも同然だ。お引き取り願おう」とにべもなく取引を打ち切る。
つまるところ、リリア達に害が及ばないよう二人で連携しているのだ。
社長代理に守られる秘書はどうなのかな、とも思う。
しかし合同会社ディオスでは、社長代理が率先して貧乏くじを引きに行くのである。
<AM11:00>
秘書室に戻ったリリアは社内外で行われる会議や会合、出張などのスケジュールの管理・調整を行う。
また上司が会議を主催する場合は、参加者への案内や会議室の手配なども秘書の業務となる。
スケジュールが変更になった時は、重要度と緊急度を考慮して午前中に再調整をかける。
他にも社内の各種申請処理・事務処理もこの間に行う。
なお、意外だが就業時間中にせくしーちゃんがにゃんjをすることは、よほどの事件がない限りほとんどないンゴ。
傍から見てるとレティシア第一秘書はほんわか雰囲気なのに知的なマジモンのセクシー美女ンゴねぇ……。
この社、眼福すぎる。
<AM11:30>
そろそろお昼時。
会社によっては社長・役員等のランチを準備するのも秘書の業務に組み込まれている場合もある。
ただし合同会社ディオスでは違う。
というのも、社長代理である葉加瀬氏がその日の気分で昼食の予定を変えるから、特に秘書がすることもないのだ。
葉加瀬氏はわりと舌が庶民的で、弁当がない時は社員食堂で昼食をとる。
唐揚げチャーハンセットとかディオス限定こってりラーメン、オムライスカレーがお気に入りのようだ。
葉加瀬氏は氷のような美貌の持ち主で地位もあるが、一般の社員とも気さくに接する。
社員たちと一緒に春先発売されたカップラーメンの品評会を開催したのも記憶に新しい。ワイ将おすすめの「ら~めん・いんどら監修スープカレーラーメン」は惜しくも四位だったンゴ。
まあ、そういうお人なので、女性社員の中には玉の輿を狙ってくる相手もしばしば。
それに対処するのも秘書室の……というかレティシアとリリアの役割だ。
大体の社員は二人の顔面偏差値及びスタイルに負けてすごすごと帰っていく。
ぶっちゃけモデルとかアイドルでも勝てるのは一握りやん。過剰戦力すぎん?
また、葉加瀬晴彦社長代理には義理の妹がいる。
妹は美衣那といって、銀髪赤目の高校一年生な美少女。しかも料理が得意らしく、先程言ったお弁当は彼女謹製で、時折届けにきたりもする。
あれ? 昼間は高校に行ってるはずでわ? まるで分身の術でも使ったかのように、義妹の美衣那が複数いないと不可能な事象が頻繁に起こる。
ンゴォォォ……ワイ将も美少女義妹の手作りお弁当食べたいンゴォォォォォ……。
それとは別に、土日に出勤する際には、杵築・大国屋ホールディングスの社長令嬢・神無月沙雪氏が訪れることもある。そういう時は二人でランチを楽しむ。
「ああ、沙雪ちゃん。来てくれたのか」
「すみません。お邪魔とは分かっているのですが」
「なにを。いつでも……とは言えないが、歓迎しているよ」
葉加瀬氏は沙雪嬢にベタ惚れで、氷細工の美形もこの時ばかりはトロトロに蕩ける。
リア充は戦隊ものの怪人のようなカラフルな煙を上げて爆発しろンゴ。
ちなみに、単純なスタイルだと圧倒的にリリアちゃん>フィオナちゃんなんよ。
ハカセって大きさはどうでもいいんかね?
<PM0:00>
秘書たちのお昼休憩。この間は完全にフリーだ。
今日は社長代理が一日社内業務の為、余計にのんびりした空気になっている。
お昼は社員食堂で、葉加瀬氏も一緒に取る流れとなった。
美形の社長・美人な第一秘書・ハーフ美少女第二秘書に囲まれる普通に地味な尚太朗という結構可哀そうな構図である。
「社長代理、お茶をどうぞ」
「ありがとう、リリア。だが今は休憩時間だ。そう気遣わず、好きに振る舞ってくれていい」
「はい、好きに振る舞わせていただいています」
ウチの社長代理、研究面では天才だけど他のところでは抜けが多いンゴ。
そろそろ刺されるんちゃうかな。
<PM1:00>
休憩から上がると、その間に何か連絡が来ていないかメールをざっとチェックする。
社長代理宛の電話の一次受付もリリア達秘書の仕事だ。
自身で回答できる範囲での一次回答・メールの代理返信など責任のある仕事も多い。
対応の仕方によっては会社の評判を下げてしまう可能性もあるため、言葉遣いには細心の注意を払わねばならない。
昼からも来客があるため、そちらのお迎えやお茶の用意も並行して進める。
連携企業の社長の中には、自分の娘を葉加瀬氏と結婚させようと画策している輩もいる。そういう相手にはレティシアが応じるケースも出てくる。
「イケメン過ぎる経営者と美人過ぎる秘書」の噂を利用して、そういった婚姻やお見合いの申し出を煙に巻くのが彼女の手管である。
リリアとしては、いずれあのレベルまで上り詰めようと意気込んでいた。
リア充は以下略。
<PM2:00>
午後には会議や商談のための資料作成や情報収集。
社内文書の作成・ファイリング、社長代理宛ての手紙を受け取り、お礼状の作成などを行う。
なお、この時間は葉加瀬社長代理が自社の研究室に向かう。
そもそも合同会社ディオスの目玉である水質改善システムや高品質蓄電器などは全て葉加瀬氏の発明だ。
スケジュールを調整し、社長代理に負担なく研究に没頭してもらう時間を確保するのは、社の利益を守る意味でも最重要業務となる。
研究を中断させないため、この時間にある問い合わせ等は全て秘書室のみで対応する。
<PM3:00>
合同会社ディオスの社員には昼休憩とは別に、各々45分の休憩時間が与えられている。
タバコ休憩と言って余計に休もうとする社員がいるのに、喫煙しない社員に何もないのは不公平だと社長代理が導入した。
リリアの場合は、主におやつか勉強時間に充てる。
土日・祝日だとそこを狙ってアイナ・ルノ・リハー……中学一年生になったばかりの春野愛奈が遊びに来ることもある。
そう、ディオスはそもそもが神霊結社デルンケムのカバー会社だったため、戦闘員達が普通に出入りするのだ。
「あ、リリアちゃん。はいっ、お土産の立花堂の豆大福!」
「いつもすみません、愛奈さん」
普通に秘書室で豆大福タイムをし出す愛奈。
「あ、ついでにハルるん様も連れてきたよ」
「どうも、ついでです」
「ハルヴィエド様!?」
ちなみにハルヴィエド・カーム・セインは神霊結社デルンケムの統括幹部代理であり、合同会社ディオスでも社長代理を務めるすっごく偉い人だ。
にも拘らず、愛奈の我儘に逆らえないという。
この弱さがいかにもハカセンゴねぇ……。
「ハルるん様も豆大福食べて行ってください♡」
「いや、しかし、リリアも休憩中だろう? 私がいては心が休まらないのでは」
「そんなことは一切まったく全然あり得ません寧ろハルヴィエド様がいてくだされば心安らかにいられます今お茶を準備しますので」
一息に言い切ったリリアだが、「いいや、手を止めずに。いつものコーヒーのお礼にはならないが、お茶は私が淹れるよ」と気軽に準備するのがウチの社長代理だ。
こうして皆でおやつタイムに移行した。
「うん。モチモチ生地にほんのり甘いあんこ、豆がアクセントになっていておいしい」
「分かり味が深ーい。さすがハルるん様」
「あのね、愛奈。もう少し敬意ある態度で接するべきとは思いませんか?」
生意気系アイドルな愛奈はハルヴィエドと話す時も遠慮しない。
ただ、傍若無人というわけでもない。愛奈は、ちゃんと相手を見て振る舞いを考えている。
ようは既に「この程度ではハルるん様は怒らない」というラインを見極めているのだ。
「私は別に気にしていないよ。それにね、愛奈は周囲に人がいる状況では、ちゃんと接し方を変える。この子なりに考えているんだ」
「そうそう。だからお休みタイムでくらいは、リリアちゃんももっと砕けた方がいいって。ということで、りぴーとあふたーみー、“ハルるん様”」
なにかよく分からない授業が始まった。
最初は無視していたリリアも、愛奈の推しに負けて結局最後は付き合う形になる。
「……は、ハルるん、様………?」
「なんだい、リリアちゃん」
くすりと優しく微笑むハルヴィエドに、リリアの頬が真っ赤に染まる。
彼女にとっては心臓に悪い休憩時間となってしまったようだ。
<PM3:40>
残りの時間は、葉加瀬社長代理がリリアの勉強を見てくれた。
「申し訳ありません、社長代理……」
「なに。君は我が社のために頑張ってくれている。その補助をさせてもらえるなら喜ばしいよ」
「そう言っていただけると救われます」
「順調に成績も上がっている。よく頑張ったね、リリア」
「はっ、はい!」
戦闘員の頃のような敬礼をしてしまい、葉加瀬社長代理が笑っている。
「ねー、ハルるん様。私の宿題も見てくださーい。というかやってくださーい」
「それは自分でやろうな」
「一言で切って捨てられた!?」
なお、不真面目な子にはそんなに優しくないです。
休憩が終わると、そのまま社長代理と一緒に社内ミーディングに参加。
ミーディングは一般の社員が参加するもの・デルンケムの関係者のみで行われるもの・にゃんj民が混じるものと複数の種類がある。
議事録の作成も秘書業務だが、万が一にもデルンケムの情報が一般社員に流れないように徹底的な情報統制が不可欠だ。
ちなみに専属モデルのヴィラベリート嬢が参加することも。
一般社員を含む会議仕様→「皆様、今日はよろしくお願いします♡」
デルンケム限定会議仕様→「ハルヴィエドよ、やはりおぬしがこのまま社長を務めるべきなのじゃ」
……うん、女の子って凄いンゴねぇ。
<PM5:30>
アポイント調整や電話の取次ぎなどをこなしつつ、明日の予定の確認・スゲジュールのすり合わせを行う。
回覧物を各部署に転送し、取引先の名刺をデータにしてまとめる。
葉加瀬社長代理は、デルンケムの統括幹部代理としての顔を持つ。社長室や秘書室には機密情報もあるため、業者の清掃を入れられない。そのため片付けは戦闘員達だけで行う。
終業間際の清掃にはハルヴィエドも参加する。リリアにとっては社長室の清掃も楽しい業務なので、ついつい張り切ってしまう。
<PM6:00>
こうして一日の業務が終了する。
葉加瀬社長代理は、この後に活動休止中のデルンケム異空間基地に向かい悪の科学者ポジとしてのお仕事をこなす。
さすがにそこまでは社員となった者達には負担をかけるつもりはないらしく、非常に残念ながらリリアはここで帰宅となる。
「できれば、もう少し……」
もう少し、働きたかったかな、とも思う。
しかしカラダを休めるのも仕事の内だとハルヴィエドに言われてしまえば従うしかない。
よくよく考えてみれば、リリアが補佐役になる前は、この手の仕事もすべてハルヴィエドが一人でこなしていたのだ。
もしかしたら一人だけ一日が36時間あるのではと思ってしまう働きぶりだ。
後ろ髪を引かれながらリリアは帰宅する。
彼女は現在一人暮らし。元デルンケム四大幹部が一人、レング・ザン・ニエべが経営するマンションの一室が今の住居だ。
「おう、ヴァシーリエヴァ。今日もお仕事お疲れさん」
「管理人さんもお掃除ご苦労様です」
「なぁに。あいつに任された、俺の大事な仕事だよ。ま、安心しろや。俺がここにいる限り、不審者の類は近付けねえ」
幹部の戦闘担当が管理人。これほど安心できるセキュリティもないだろう。
痴漢なんて出ようものなら比喩でなくミンチになりかねない。
このマンションは、デルンケムが活動中にハルヴィエドが準備していたものだ。
彼はメディアに働きかけ、最悪の場合は自分が組織を乗っ取り好き勝手していたと喧伝して、悪意の全てを集めて死ぬつもりだったらしい。
そうしてヴィラベリートや戦闘員には働き口として合同会社ディオスを、住居としてこのマンションを与えるつもりだった。
つまり彼はバカなのだ。
そんなことをして喜ぶ人間なんて誰もいないというのに、自分ひとり罪を背負えばいいと考えていた。
もしも当初の目論見通りにいっていたら。それを想像すると、リリアは恐ろしさに身震いしてしまう。
同時に、今の幸せを強く噛み締める。
自分は彼にとっての特別ではない。
だけど、自分にしかできないことで、彼を支えている自負がある。それがたまらなく嬉しい。
「明日も、頑張りますね。ハルヴィエド様」
胸にあるちょっとの温もりを抱きしめるようにリリアは呟く。
こうして彼女の一日は終わるのだ。
ちなみに、戦闘員C男もこのマンションにいるのでワイ将もこのマンションによくくるンゴ。
なのでゴリマッチョの顔も、そのお嫁さんの顔も知っている。
元お姫様ってのもにゃんjで把握済み。
…………ゴリマッチョの妻、クッソ美人なんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉ!?
薄緑の優しい髪色に、宝玉みたいにキラッキラな瞳!
小柄で細身なのにせくしーちゃんにも負けない胸部装甲!
ゴリラの、ゴリラのくせにぃぃぃぃぃ!? あんな美人と結婚とか世界の因果が歪められているンゴォォォォォォ!?
しかも性格メッチャいいし、顔合わせるとワイ将みたいな陰キャにもふんわり微笑みで「お帰りなさい」「お仕事お疲れ様です」って言ってくれる!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁ団地妻シリィィィィィィズゥゥゥゥゥゥゥ!?
子供達もめっちゃ可愛いしぃ!
ていうかワイ将、合同会社ディオスに入社してんのに全然っモテんのやけど!?
まあ? 今まで散々ワイ将を馬鹿にしてきたアッニにマウントとれるのは気持ちええからプラマイゼロではあるかな?
せやけど美人の奥さん羨ましぃ……。
社長代理もうらやまけしからん。
この苦しみを誰かと共有せねば。今度、またC男とご飯に行こうとワイ将は心に決めるのだった。
◆
後日、ワイ将は簡単な動画を作って社長室に持っていった。
「という感じで、合同会社ディオスの広報動画を動画投稿サイト向けに作ってみたいんやけど、ハカセ社長代理どうでしょう。テーマソングはヴァーチャル・アイドルユニットのフィーリアちゃんたちにお願いしたいンゴねぇ」
「当たり前のように私たちの正体をばらさないでもらえるか? それにリリアの内情に踏み込み過ぎだ。ナレーションで私に対する呼称がぶれている。他社からのセクハラどうこうは名を伏せて言及すると健全なお付き合いの企業ともぎこちなさが出る。一般に知らせるにはマズい情報も多い。ヴィラの話もよろしくない。愛奈はあくまで社外の人間だから、映像関連は気遣いが必要かな。奥さん、嫁という表現は下手すると反感を買うかもしれない。私に対する世辞もいらない。なにより迫真の叫びが必要ない。ただ、方向性としては悪くない。それでも社員一人のみをクローズアップし過ぎている。もっと短くまとめて、複数名の動画があると嬉しいな。一度広報部に持ち帰って、練り直してもらえるか? ブラッシュアップできるなら前向きに考えよう」
「ウッス」
社長代理、仕事に関してはクッソまじめ。
クピモン事件で迷惑をかけたワイ将は、広報部の戦力となるべく日々お仕事を頑張っているンゴ。
今回の企画はディオスの宣伝以外にも目的がある。
そりゃあハカセはフィオナちゃんが好きなんかもしれんけど。
こうやって、ハカセのために頑張ってる女の子がいるんだよって、形にしてあげたいんや。
なので【プロジェクトY】の企画が通るよう、ワイ将は必死に取り組むンゴね。
残業はしない!!!
ということでこれで番外編も完結とさせていただきます
お付き合いありがとうございました