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安価のこと

230:名無しの戦闘員

 にゃんJ初心者のハカセに説明しよう

 安価とはアンカーリンクのこと

 特定のレス番号へのリンクを意味し、主に変身などに使われる

 ここでの安価は「指定されたレス番号の投稿内容を実行する」、ネタスレの定番だな


231:ハカセ

 安価……にゃんJ民の伝家の宝刀にして悪ふざけの極み!

 まさか体験する機会が訪れようとは……!


232:名無しの戦闘員

 意外と乗り気じゃんw


233:名無しの戦闘員

 >>230

 どや顔で語ってるところ悪いけど変身してるw


234:名無しの戦闘員

 変身ヒロインのロスフェアちゃんがかわいいから仕方ないね


235:名無しの戦闘員

 大丈夫か? 

 俺も含めてこんなスレに集まってるんだ

 人生を預けていい連中じゃないぞ?


236:名無しの戦闘員

 なにを言ってるんだ! 俺らはハカセのことを真剣に考えてる!


237:名無しの戦闘員

 そうだ! 百本以上のギャルゲーを攻略した恋愛マスター(童貞)に任せろ!


238:ハカセ

 オマイラ……ありがとう! ワイは皆を信じるで!

 ぶっちゃけ強制力がないとフィオナたんに話しかけるとか無理やからな!


239:名無しの戦闘員

 【悲報】ハカセ、意外とヘタレ


240:名無しの戦闘員

 【朗報】ハカセ、自らオモチャ志願


241:名無しの戦闘員

 よし、じゃあ真面目に考えよう

 正直なところ俺はハカセとフィオナちゃんを応援してる

 二人が結ばれたら日本平和になるしな

 

 ・安価は基本絶対

 ・ただし過度に性的なこと、犯罪行為は全面禁止・選ばれた場合は↓

 ・周囲に迷惑をかけるような内容は避ける

 ・常識の範囲内の行為を心掛ける

  

 これくらいは守るようにしよう


242:名無しの戦闘員

 ハカセはデルンケムの中心人物だもんな

 もし付き合えたらほぼロスフェアと和解みたいなもんじゃん


243:名無しの戦闘員

 やべえ、俺達の安価に日本の平和がかかってるとか。


244:名無しの戦闘員

 じゃあハカセ、安価頼む


245:ハカセ

 よっしゃ任せろぃ! 手始めに、

 >>254 >>256 >>258


246:名無しの戦闘員

 実は私ちゃん(女)……エレスちゃん推しなんだよね

 銀髪高身長イケメンと巨乳低身長ボーイッシュ少女の年齢差身長差カップル

 よくない?


247:名無しの戦闘員

 ヤバイ! 始まった途端危険なヤツが現れやがった!


248:名無しの戦闘員

 ハカセの狙いはあくまでフィオナちゃんだぞ! みんな忘れるなよ!


249:名無しの戦闘員

 まさかカプ厨女が潜んでいるとは!


250:名無しの戦闘員

 それならイケメンお兄さんと無邪気っ子なルルンちゃんの組み合わせもアリだろ。


251:名無しの戦闘員

 お前らハカセをなんだと思ってるんだオモチャ


252:名無しの戦闘員

 安価はケーキ頼んで「あちらのお客さまからです」


253:名無しの戦闘員

 丁寧な自己紹介からのナンパ


254:名無しの戦闘員

「初めまして、美しいお嬢さん」から始まり、思いつく限り褒めまくる

 ……エレスちゃんを


255:名無しの戦闘員

 三分間ロスフェアの誰かのおっぱいを揉みしだく。


256:名無しの戦闘員

 まるで妖精のようだね、とか言ってみる


257:名無しの戦闘員

 服をはだけて「暑いな……」と誘惑ポーズ


258:名無しの戦闘員

 ロスフェアの誰かの頭を撫でる


259:名無しの戦闘員

 正体ばらす


260:名無しの戦闘員

 >>254 てめぇえええええええ⁉


261:名無しの戦闘員

 エレスちゃんに「初めまして、美しいお嬢さん」、妖精のようだねと言う、ロスフェアの誰かの頭を撫でる

 とりあえずハカセが捕まるようなやつはないが……


262:名無しの戦闘員

 地味に妖精の~、はヤバない? 取り方によっては正体知っているぞーになるじゃん


263:名無しの戦闘員

 フィオナちゃん狙いなのにエレスちゃん褒めまくりもダメだろ


264:名無しの戦闘員

 頭を撫でるが一番の安牌になるとは


264: 254

 いやまさかとれると思ってなかったですはい

 でもほら押してダメなら引いてみろっていうし


266:名無しの戦闘員

 そも一度も押したことがない件について


267:ハカセ

 やめて! ワイのために争わないで!

 決まった安価をグダグダ言うのはご法度、なんやろ? 

 お前らはワイの安価さばきを見ていてくれりゃええわ


268: 254

 ハカセ……!


269:名無しの戦闘員

 へっ、ハカセのくせに格好つけやがるぜ


270:ハカセ

 それでなんやけど女の子に話しかけるってどうすればいいの? ガチで


271:名無しの戦闘員

 えぇ……


272:名無しの戦闘員

 安価以前の問題w


273:名無しの戦闘員

 お前、猫耳くのいちとかせくしーとか戦闘員とか組織に女の子いるはずだろ

 そもそもフィオナちゃんにも話しかけてたし、ルルンちゃんにお嬢さんって言ってただろうが


274:ハカセ(童貞彼女募集中)

 いやいやいや⁉

 だってワイ組織では偉いもん! 女の子って言っても同格か部下しかおらんし!

 ワイの方が地位あるんやからそりゃ気負わず喋れるわ! 敬われてるもん! 

 フィオナたんやルルンちゃんと話したって言っても戦場での話やん! 

 あんなん、

 

 ワイ「ちわーす。荷物納品にきやしたー」

 フィオ「あ、どもー。ご苦労さんでーす」

 ワイ「おっ、ルルンちゃん元気?」

 ルルン「はいっ」

 

 みたいなもんやろ⁉

 ワイ研究一筋やったから完全プライベートで女の子をナンパするような真似したことないんや!


275:名無しの戦闘員

 やだ……ハカセが情報明かす度に……メチャクチャ親近感がわくwww


276:名無しの戦闘員。

 お前顔がいいだけで完全に俺らじゃんw


277:名無しの戦闘員

 結局安価の強制力があっても全然ダメだというw


278:名無しの戦闘員

 落ち着けハカセ、とりあえずお前は顔がいい

 俺らと違って声をかけただけでキモがられることはないはずだ

 あれ……胸が痛い……


279:名無しの戦闘員

 猫耳くのいち幹部って未成年、十八歳以下なんやろ? 

 その子に接する感じで行けば緊張せんのとちゃう?


280:ハカセ

 な る ほ ど !

 よっしゃ、いってくるわ!


281:名無しの戦闘員

 頑張れよハカセ!


 ・

 ・

 ・


365:名無しの戦闘員

 うまくいっとるかな?


366:名無しの戦闘員

 どうだろ? ヤバめの安価だしな……


367:ハカセ

 ただいまー


368:名無しの戦闘員

 おお、お帰り! 結果はどうやった?


369:ハカセ

 ウェイトレスA子ちゃんに怒られてルルンちゃんと仲良くなった

 あとアニキがお土産にスムージー作ってくれた


370:名無しの戦闘員

 なにが起こったの⁉


371:名無しの戦闘員

 安価と関係ない人らばっかりで草


372:ハカセ

 順を追って話すわ

 スペシャルメロンパフェを食べ終わったワイはお口をふきふきしてフィオナたんたちの席へ向かった

 普段なら緊張する場面やけど今回は心強い助言がある。よう考えたら猫耳くのいちはエレスちゃんと同年代やからな

 なんや、褒めるのなんて簡単やん!

 そしてワイは行動に出た


373:ハカセ(ポケットに猫じゃらし)

  ワイ「やあ、こんにちは」

 エレス「……えっ、ぼ、ボクですか⁉」

  ワイ「もちろん。初めまして、う、うつ、うつくくく、美しい、おっ、お嬢さん」

 安価クリア! 

 ……うん、よう考えたら猫耳くのいちを女の子として褒めたことなかったわ


374:名無しの戦闘員

 完 全 な る 不 審 者


375:名無しの戦闘員

 ハカセさぁ、お前本当に残念なんだな……

 てかなんで猫じゃらし?


376:名無しの戦闘員

 まあでも頑張ったよ


377:ハカセ

 >>375

 猫耳くのいちはこれでじゃらすと「にゃー」ってノッてくれるんや

 せやけど初対面猫じゃらしは単なる変な人やって途中で気付いて使わんかった


378:名無しの戦闘員

 偉いぞ、よくぞ気付いた


379:ハカセ

 やろ? そんで続きな

 

 エレス「あの、えっ?」

  ワイ「す、すみません。あなたが、綺麗だったのでつい、話しかけてしまって」

 エレス「ええ⁉ き、きれいって、ボクがですか⁉」

  ワイ「それは、はい。もちろんです」

 

 あれ、意外にいい感じ?

 そう思ってたところで冷たい声がふってきた

 

 A子「ハカセさん、私の友達になにしてるんですか?」

 ワイ「あ、いや、A子。これは違うんだ」

 A子ちゃん怖ひ……


380:名無しの戦闘員

 元戦闘員の威圧に負ける現役幹部w


381:ハカセ

 やばい、A子ちゃんがわりと本気で怒ってる

 フィオナたんの視線も厳しい

 ワイは虹色の脳細胞をフル回転させて言い訳を絞り出す

 

 ワイ「その……私はハカセと言いまして。アニキやA子の知人です」

 ワイ「それで、あなたたちがA子の友人だと知り挨拶しようと思ったのですが。皆さんお綺麗で、つい緊張してしまい……本当に申し訳ありません」

 

 表記はハカセやけど日本での偽名を名乗った

 ちゃんとアムフランジュはしとるよ。


382:名無しの戦闘員

 いい感じに逃げたな


383:名無しの戦闘員

 やるやん!


384:名無しの戦闘員

 アムフランジュってなんや?


385:ハカセ

 あーなんや、魂の偽装、かな? 認識阻害の最上級だと思っといてくれ 

 とにかくワイの正体には妖精でも気付けん


386:ハカセ

 A子ちゃんもナンパじゃないと知って一応は納得してくれた

 そっからはわりと和やかにいったで。ただフィオナたんからは警戒されとった

 そらエレスちゃんに近付く悪い虫やからなぁ

 お詫びってことで会計はワイ持ちや


387:ハカセ

 ルルン「ハカセさんはお仕事何をされてるんですか?」

  ワイ「企業の研究職だよ。といっても大きな研究ではなく、生活が少し楽になるような便利な家電がメインだ」

 ルルン「わぁ、すごいです!」

 

 一番話しかけてくれるんはルルンちゃん

 まだ幼い感じやし好奇心の方が勝つんかな?


388:名無しの戦闘員

 一度緊張がなくなったらちゃんとした対応が取れるんだな。


389:名無しの戦闘員

 ナンパができないだけで女の子との会話は普段からしてるわけだし。俺らと違って。


390:ハカセ

 ワイ「しかしアニキの作るデザートはおいしいし奇麗だな。この細工なんて、まるで妖精のようだね」

 ルルン「そうですね、私もここのケーキとか大好きなんです」

 ワイ「ワイもだよ。実はね、既にお土産のホールケーキも頼んでるんだ」

 安価二つ目クリア!


391:名無しの戦闘員

 ちょっとずっこいけど正体悟られること考えたら仕方ないか。


392:名無しの戦闘員

 ロスフェア指定なかったしなぁ。でも残念。


393:ハカセ

 これで最後は頭を撫でるだけ……!

 ワイは再び考え抜いた。どうすればフィオナたんの頭をなでなでできるのかを

 考えて考えて考えて……ワイは言った


 ワイ「実はワイ、趣味で頭撫で占い二級の資格を持ってるんですけどやってみませんか?」


 あれ? バカなのかな?


394:名無しの戦闘員

 頭撫で占い二級www


395:名無しの戦闘員

 無理があり過ぎるw


396:名無しの戦闘員

 確認せんでもバカだよw


397:ハカセ

 女の子は占いが好き

 そして有資格者は信用されやすい。

 その二つを利用した会心の策のはずやった、よくよく考えたらただの奇行や

 フィオナたんはすっごく困っとった……


398:名無しの戦闘員

 でしょうね


399:名無しの戦闘員

 もうただの変な人としか思われていないよ


400:ハカセ

 しかしそこで救いの妖精が現れた

 

 ルルン「頭撫で占い? 面白そうです、私やってみたいです!」

  ワイ「え……いいの?」

 ルルン「はいっ」

 

 欠片も疑わずにワイに頭を差し出すルルンちゃん

 なでなでした。髪の毛めっちゃサラサラやし優しいしこんな子がおるんやな……

 

 ルルン「どうですか、私?」 

  ワイ「えっと、君の運勢はとってもいいよ。これからたくさん幸せなことが起こるみたい」

 ルルン「わぁーい」

 

 罪悪感すっごい


401:名無しの戦闘員

 ルルンちゃん騙されやすすぎw


402:ハカセ

 安価をすべてクリアしたワイは会計を済ませて店を出た

 帰り際アニキが「お前、疲れてるんだな……。ゴメン、俺のせいだよな」ってケーキとクラブサンドの他に野菜のスムージーを付けてくれた

 そこでアニキやA子に怒られんかった理由に気付いた

 あ、ワイ精神的に疲れてるかわいそうな人に思われとる


403:名無しの戦闘員

 あぁ、実際行動だけ見たら情緒不安定な人だもんな。 


404:名無しの戦闘員

 うん……なんかごめん


405:ハカセ

 とりあえずワイは帰ってからまず戦闘員M男のところに行って謝った

 ロリコンなんて思ってごめんな

 小っちゃい子でも大人よりしっかりしてる優しい子はいるよなって


406:名無しの戦闘員

 なんかハカセの心が大変なことになってないか


407:名無しの戦闘員

 フィオナちゃんとの仲も一切進展してないし


408:名無しの戦闘員

 しばらく安価はやめておこうか……


409:ハカセ

 そうしてくれるとワイも助かる

 あと猫耳くのいちをもっと褒めるよう心がけるわ



 ◆

 

 沙雪は先程の出来事について考える。

 喫茶店ニルで偶然知り合った男の人は葉加瀬晴彦(はかせ・はるひこ)と名乗った。

 最初は急に声をかけられて驚いたが、詳しく聞いてみればマスターや英子先輩の知り合いらしい

 英子は彼を「ハルさん」と呼んでいる。そのくらい親しい相手というのはマスター以外では珍しかった。


「ハルさんのお話、すっごく楽しかったです」


 花の魔法を操る妖精姫、萌花のルルンの正体はまだ中学一年生の女の子、朝比奈萌(あさひな・もえ)という。

 悪の組織から街を守るために頑張って戦っているが、普段の萌は人懐っこく無邪気な女の子だ。葉加瀬ともすぐに打ち解けて話も盛り上がっていた。


「いきなりだったしナンパかと思ったけど……確かに、なんだか面白い人だったね」


 茜もそんなに悪い印象を受けていないようだ。

 それは沙雪も同じ。冷たそうな美形ではあったが意外に接しやすかった。

 なにより年下の自分たち相手にも慌てふためく姿は、女性にモテると自覚して自信満々で押してくるクラスの男子よりも余程安心感があった。

 ただ、ちょっと変な人だなとは思った。

 


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