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部下のことその二


122:ハカセ

 もう素直に魔霊兵メインで活動すればええような気がしてきたわ。


123:名無しの戦闘員

 どうしたいきなり


124:名無しの戦闘員

 M男がらみ?


125:名無しの戦闘員

 十二歳に射精管理とかどう考えてもギルティだもんな


126:ハカセ

 んにゃ、今回は別口

 どっちにしろまた戦闘員がやらかしたんやけど


127:名無しの戦闘員

 デルンケムいっつも誰かやらかしてるよなw


128:名無しの戦闘員

 そんでハカセが首領に叱られると


129:ハカセ

 ふふん、ワイがいつまでも後手に回ると思うなよ?

 今回はちゃんと経緯を理解してもらえるよう首領と話し合いの場を設けた

 具体的に言うとワイの部屋でたこ焼きパーティーや


130:名無しの戦闘員

 お前らはもっと悪の組織としての自覚を持てwww


131:名無しの戦闘員

 理不尽でしんどいとか言っといてただの仲良しじゃねぇかw


132:ハカセ

 そら仲がいいから言える軽口やしね

 さて今回の事件のメンバーはこいつら


・戦闘員N太郎|(Sやかとは幼馴染兼恋人同士)

・戦闘員Sやか|(戦闘員のアイドル)

・戦闘員C男|(女癖悪し・猫耳に手ぇ出したらアレする)


 あと、たこ焼きパーティーのメンバー

・ワイ|(部屋の提供と準備)

・首領|(お呼ばれゲスト、ジュース買ってきてくれた)

・猫耳くのいち|(調理担当、たこパ企画者)


133:名無しの戦闘員

 N太郎とかSやかとか日本名だけど、戦闘員って基本は異次元人なんだよな?


134:名無しの戦闘員 

 さらっといる猫耳ちゃん

 てか戦闘員C男って前に話に出てきたチャラ男か?


135:名無しの戦闘員

 たこパやりたかったの猫耳ちゃんかよw


136:ハカセ

 >>133

 うん、あくまでスレでは日本風にしとるだけ


 それでや、N太郎くんは需品科の戦闘員でな。倉庫整理・備品管理が主な仕事や

 戦闘科が職務放棄しとる中、地味ながら真面目に働いとる子でワイの評価は高い

 確か今年で二十一歳やったかな?


137:名無しの戦闘員

 真面目に働いてるだけで評価が高くなってしまう辺りハカセの苦労が透けて見える


138:ハカセ

 N太郎くんには故郷でいっしょに育った、幼馴染のSやかちゃん|(十九歳)がおる

 この娘は通信システム科で通信室勤め

 I奈ちゃんと同じく戦闘員の四大アイドル一角で人気もあるんやけど、やっぱ付き合いの長さからかな

 N太郎くんと恋人同士や


139:名無しの戦闘員

 いいなぁ幼馴染カノジョ

 幼馴染に朝起こしてもらいたいだけの人生だった


140:ハカセ

 実際幼馴染で想像される定番のアレコレは一通りやってると思ってええで

 これは二人が結婚するのも秒読みかなーってところでN太郎くんが相談に来た


 N太郎「ハカセ幹部……俺、もしかしたらSやかに浮気されたかもしれなくて」

 

 うん、あのさぁ

 ワイ幹部やで? 相談する相手を間違えてません?

 

 N太郎「でも……ハカセ幹部なら相談しても断られないかなって」

 

 ワイの評価おかしない?


141:名無しの戦闘員

 もう戦闘員にも仕事振ればなんとかしてくれる人って認識が定着してるな


142:名無しの戦闘員

 よかったじゃん、頼られてんだよw


143:ハカセ

 こんなん言ってくんのN太郎くらいや

 微妙に納得しきれんけど、とりあえず話は聞いたわ


144:名無しの戦闘員

 結局受けてんじゃねえかw


145:名無しの戦闘員

 認識通りだよね


146:ハカセ

 泣きながら話してくれたのは「Sやかが戦闘員C男と二人きりで抱き合っているところをみた」というもの

 ちゃんと画像も撮影済みで、確かに二人は抱き合っとる

 が、Sやかちゃんの顔が見えてない状態やった

 C男は女癖が悪くて軽いタイプ。恋人のいる女の子にも普通に手を出すやろな


147:名無しの戦闘員

 結婚を意識してる状態からの浮気発覚は辛いよなぁ


148:名無しの戦闘員

 俺寝取られゼッタイ否定派


149:名無しの戦闘員

 ワイ将も十八禁創作は興奮するけど現実のNTR嫌いンゴ


150:ハカセ

 問題はこの相談を、たこ焼きパーティー中にしてきたN太郎くんのクソ度胸だよね

 

  首領「……なぜ、ほぼ無理矢理入ってきてまで相談を?」(ハフハフ

  猫耳「今はたこ焼き中、にゃ」(ホフホフ

 N太郎「いや、女性の意見もある方がいいかなって」

 

 あのさぁ、その度胸あるならSやかちゃんを直接問い詰めてくれんかな?

 あと首領も猫耳も食べる手を止めてあげて?


151:名無しの戦闘員

 すげえぞこの組織

 上から下までバカしかいない


152:名無しの戦闘員

 アットホームな悪の組織です!


153:ハカセ

 せっかくやから猫耳の意見も取り入れて大相談会や

 一応N太郎くんにもたこ焼きは振る舞ったで


 N太郎「もしかしたら、浮気されてるのかも」

 ワイ「そもそもさ、彼氏いるのに他の男と抱き合うこと自体が浮気やない?」

 首領「いや、それは早計。もしかしたら転んだところを支えただけやも」

 猫耳「はい、たこ焼きの追加、にゃ」

 首領「わーい」

 

 どうやら首領はたこ焼きが気に入ったようや

 すっごく嬉しそうに食べとる


 ワイ「ワイ的にはプライベートでC男と二人きりになる時点で嫌なんやけど」

 猫耳「恋人がいるのに、ひどいと思う、にゃ」(ホフホフ

 首領「そこは同意。ただ、それを浮気と断ずるかは別ではないか?」(ハフハフ

 ワイ「ああ、〝キスは浮気に入りますか?〟の話ですか」

 首領「うむ。Sやかが、この程度の接触は浮気と捉えていない可能性もある」


 わりと真面目に相談に乗ってくれる首領


154:名無しの戦闘員

 経営能力低いだけで基本は善人なんだよね、首領


155:名無しの戦闘員

 日本に被害少ないのも首領の方針のおかげみたいなところあるからなぁ


156:名無しの戦闘員

 つーかたこ焼きメッチャ食ってるやんけw


157:ハカセ

 ワイ「猫耳的には、どこからが浮気?」

 猫耳「部屋に他の女性のポスターを自作して貼ってあったら、にゃ」

 首領「ああ、それは間違いないのじゃ」

 

 なぜか責められるワイ

 

 N太郎「僕はずっと、Sやかと結婚すると思ってた。でも彼女はC男に股を……」

 ワイ「すまんけど首領と猫耳がおるところで直接的な表現やめてもらえる?」


 それでも気遣うワイ


 猫耳「かつお節は……おいしい……。でも青のりの存在価値が分からない、にゃ」

 首領「あった方が香りはいいが、歯にくっつくのはのう」

 そろそろ興味を失くしてきた首領たち。

 首領「どちらにせよ、Sやかの浮気が真実か知るより他に解決はないのじゃ」

 N太郎「それは、そうですが……」

 首領「ということでハカセ、ちくと調べてもらえるか?」


 うん、知ってた


158:名無しの戦闘員

 流れるように増えるハカセの仕事w


159:名無しの戦闘員

 もうお決まりのパターンだよなw


160:ハカセ

 そしてたこ焼きパーティーはお開きになった

 そこそこ楽しかったけどN太郎くんの乱入で騒ぎ切れなかったので、今度は首領の私室で逆襲の〇ャア鑑賞会をする約束をした


161:名無しの戦闘員

 もうそれただの友達ですよね


162:ハカセ

 マジメな話、みんな的にはどこからが浮気?

 ワイからすると今回の件は普通に浮気やと思うんやけど(童貞並みの感想


163:名無しの戦闘員

 あー、俺はやっぱりキスとか肉体関係までいったらかなぁ


164:名無しの戦闘員

 俺もキスまでいったら

 今回のはSやかちゃんが抱き合ってたのを見たN太郎視点しかないし

 そもそも浮気か? って思う


165:名無しの戦闘員

 ええ? 俺はハカセ派

 彼氏いんのに内緒でチャラ男と会うとか普通に裏切りだろ


166:名無しの戦闘員

 ワイ将もハカセと同じンゴねぇ……

 恋人には自分以外の男と喋ってほしくないレベルのゆにこーんンゴ


167:名無しの戦闘員

 喋るなはキツすぎ

 付き合ってても他の女の子と飯食いに行くケースはあるじゃん


168:ハカセ

 けっこう意見わかれるけど、今回の件くらいやと許容範囲って人もそれなりにおんねんな

 そんでな、ワイ一応Sやかちゃんに話聞きに行ったんや


169:名無しの戦闘員

 そうやって素直に従うから仕事を振られると思うんだが

 断ることも覚えた方がいいじゃね?


170:ハカセ

 首領のお願いを断るとか普通に無理や

 で、Sやかちゃんとのお話

 

 Sやか「は、ハカセ統括幹部代理! わたくしに何かお話があるとお聞きしましたが」

 ワイ「ああ、そう固くならなくていい」

 Sやか「はっ、ありがとうございます!」

 

 ええ子やん、Sやかちゃん


171:名無しの戦闘員

 そうだよな、ハカセ偉いんだから本来なら恐縮されて当然なんだよな。


172:名無しの戦闘員

 それを自室まで押しかけてくるN太郎の強さよ。


173:ハカセ

 Sやかちゃんから話を聞いてみれば「N太郎くんが浮気してるんじゃないかとC男に相談していた」と言う

 それ自体ワイ的にはナシなんやけど、ワイお手製高精度ウソ発見器も使用したからキスや肉体関係がなかったのは間違いない

 C男に異性としての好意を向けたこともない

 抱きしめられたのも相談してたら急にC男が盛り上がって無理矢理ガバッって流れ

 そこを運悪くN太郎くんが見たって感じやった


174:名無しの戦闘員

 チャラ男を相談相手に選ぶ時点でダメだろ


175:名無しの戦闘員

 そう? 同じ戦闘員なんだから言ってみたら同僚でしょ

 それなら多少の相談はしてもおかしくないかなぁとエレ×ハカ女は思います


176:名無しの戦闘員

 おい、エレスちゃん推しがまた来たぞ


177:ハカセ

 もちろんSやかちゃんもそこは反省して今後はC男に近付いたり二人きりにならないよう注意しているって話や

 そんで「N太郎くんが二人が抱き合うシーンを見てしまった。浮気疑われとるよ」って言ったら真っ青になって、どうしようって大慌て

 謝りたい、私が好きなのはN太郎だけ、傷付けてしまったけど離れるのは嫌

 そこも本音の本音やった。

 反省も後悔もしとるようやし、しゃーないからワイがN太郎との仲裁を買って出て、なんとか仲直りはした

 さすワイ


178:名無しの戦闘員

 慌てるSやかちゃんの発言が完全に浮気女のテンプレw


179:ハカセ

 ここから引っかかるところなんやけど

 SやかちゃんがN太郎の浮気を疑った理由が「私以外の女の子と頻繁にメッセージのやりとりをしてたから」やってん

 いやいやいや! その理論でいくと君がやってたことカンペキに浮気やんけ!

 そう思ったけどワイは大人やからなんも言わんかった


 N太郎「ごめんね、Sやかちゃん。君を不安にさせて」

 Sやか「ううん、私の方こそ。愛してるよ、N太郎くん」


  一応空気は読んだけど正直もう勝手にしてくれと思いました。はかせ。


180:名無しの戦闘員

 それは呆れてもしゃーない。 


181:名無しの戦闘員

 いるよね、騒動起こしといて自分達だけ被害受けないで平然としてる奴ら。


182:名無しの戦闘員

 なんかSやかちゃん今後も普通に浮気しそう。


183:ハカセ

 そんで改めて本題、おまえらに質問や。

 キスは浮気に入りますか論争

 首領や猫耳くのいち、お前らのレスでもわりと差があった

 だから聞きたいんや

 ワイ最近ルルンちゃんとけっこうメッセのやりとりしてるんやけど、これってフィオナたんからしたら浮気になるかな?


184:名無しの戦闘員

 ハカセはそんなこと気にするよりフィオナちゃんとキョドらず喋れるようになった方がいいんじゃないですかね……


185:名無しの戦闘員

 そもそもお前恋人じゃねーから!


186:名無しの戦闘員

 マジメに答えると浮気ではないんじゃない? 

 フィオナちゃんの性格知ってるわけじゃないからあくまで一般論としては、になるけど


187:名無しの戦闘員

 そもそもハカセの印象は「いきなりエレスちゃん口説いてきた変な人」で止まってる


188:名無しの戦闘員

 付き合ってないなら気にするほどではないかな。


189:ハカセ

 なるほど、つまり実際に恋人になってなければ問題ない行動だと


190:名無しの戦闘員

 でもこういうのって個人の感覚だから俺らの意見は参考程度に留めとけ

 それに本気でにフィオナちゃんを口説こうとするなら、線引きは大切だと思うぞ

 ルルンちゃんはあくまで「友達」ってことをアピールしとかないと


191:名無しの戦闘員

 女友達と絶縁までするのはやり過ぎだし、メッセくらいは「仲がいい」の範疇だと思う

 ただ、現状フィオナちゃんよりルルンちゃんの方が親しいみたいだから、距離感の注意は必要かな


192:名無しの戦闘員

 ロリが当たり前にそういう範疇に入ってる辺りにゃんJ民ってアレだよなw

 普通は初めから意識の外にあるもんだぞ


193:ハカセ

 く、口説こうって、ちょと恥ずかしいな……

 サンガツ、参考にするわ

 あんまり避けすぎてもルルンちゃんが悲しむし、適度なやりとりを心掛けつつ、しっかり友達って伝える感じか


194:名無しの戦闘員

 つーかルルンちゃんと普通に仲良くなってるw


195:名無しの戦闘員

 これは第二のM男誕生間近だな




 ◆

 



 朝比奈萌は最近スマホを毎晩弄っている。

 訪れの妖精メイの加護を受けて『萌花のルルン』として戦う彼女だが、普段は明るく無邪気な女の子だ。 

 中学一年生ということもあって沙雪や茜よりも子供っぽいところもある。その分素直で警戒心がなく、誰とでも仲良くなれるタイプだった。


 ハルっち【この前たこ焼きパーティーやりました】

 もえもえ【わー、すごい! ハルさんが焼いたんですか?】

 ハルっち【いや、妹が焼いてくれた。ちなみに私が焼いたのはこっちだ】

 もえもえ【あはは、丸くなり切れてないです。でもおいしそう!】

 

 喫茶店ニルで偶然知り合った葉加瀬晴彦という男性とは馬が合い、結構な頻度でやり取りをしている。

 萌からすると「ハルさん」は頼れる優しいお兄さんみたいな人だ。聖霊天装を会得した際はちょっと高級なお店で夕食をご馳走してもらった。


『さあ、お姫様。いこうか』

『えへへ、はいっ』


 お店では思い切りお姫様扱いをしてくれた。キザな言動もあれだけの美形だからよく似合う。

 ただ最近は忙しいみたいで、以前よりも遊びに行く頻度が減ってしまった。

 それでもちゃんとこうやって画像を送ってくれるし、前にすごく嬉しいメッセージをくれた。


 ハルっち【年齢こそ離れているが、私は萌ちゃんを大切な友達だと思っているよ】


 まっすぐな言葉に照れてしまったが、それ以上の喜びが胸に広がる。思い出すとじんわりと心が温かくなり鼓動が早まるほどだ。

 たこ焼きパーティーの話だって、普段の晴彦のことを知れて楽しい。


「いいなぁ、私もたこ焼きパーティーしたい。そうだ、今度茜さんや沙雪さんといっしょにやって、ハルさんにお返しの画像送ろう!」


 まだまだ恋も知らない少女は、この画像を沙雪たちに見せて自分たちもパーティーをしよう、なんて無邪気に考えていた。




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