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いただきますと手を合わせ
コロッケを一口かじる優は美味しすぎて
頬が緩む
もう一口と箸でコロッケを持ち上げようとしたが
誰かに隣から声をかけられ箸を止める
「あのー」
優「……?」
「私こうゆう者なんですが…」と康平は
名刺を取り出して渡そうとする
優「〇〇事務所…?」
康平「ええ。うちの事務所に入りませんか?」
優「………」驚きすぎて声が出ない。箸を下に
落としてしまった。それを拾い上げた康平は
「さっき、歌っていたのはあなたですよね?
その歌を聴いて是非うちの事務所に
入っていただきたいと思いまして」とそう言ったが
彼女は「あたしなんか…」とネガティブな
言葉が出てしまっていた
スカウトされて、声を掛けてもらって
本当は嬉しいのに…
私は歌手になりたいんじゃないの?と
スカウトされるなんてこのチャンスを逃したら
もう声を掛けてもらえることは
ないかもしれない…と、なのに何で自分は
ネガティブな言葉しか出てこないんだ…と
自分の心に問いかける
〇〇事務所は有名な事務所だから
詐欺じゃないことはわかっている
「私…私…」やります!と言おうとしたとき
康平の言葉と重なった
「あなたの歌を聴きたい人は
たくさんいると思いますよ?」とにこっと笑った康平は「でもすぐに答えを出すのは難しい
ですよね。前向きに考えてみてはくれませんか?
いつでも連絡お待ちしています」と
名刺を置いて出ていった
食事を終え、ごちそうさまでした!と夫婦に
お礼を言って家に帰った優は彼が置いていった
名刺を眺めながら改めて考える
このチャンスをものにするんだ…
してみせる…
私はたくさんの人を笑顔にさせる
歌手になるんだ…!
そう心に決めた優だった