022
もちろん彼女には黙っていてほしいと
お願いしておいた。記者の件も社長が話をつけてくれ
記事が出ないように話をまとめてくれたらしい。
お金で解決でもしたのか…俺は頭の中で出てきた考えを無理やり消しこれ以上想像するのは止めた。
とにかく記事が出ないことに一安心した俺は海外に
行くまでの一週間どうやって過ごそうか家までの道のりを車を走らせながら考えていた。
・・・・・・・
考えたもののいきなり休みになり何をすればいいか
思いつかなかった康平は、録りだめしていたバラエティ番組やドラマを見たり、手のこんだ料理を作ったり、、といっても余り物の食材を入れただけの鍋料理なのだが。久々に自炊をした彼は、こんなにゆっくり味わって食べるのなんていつぶりだろうか…
とふと思った。それなりに毎日充実してはいるのだが
忙しいのは変わらずご飯は毎日適当に済ませていた。
たまにはこうやって自炊してゆっくり食べるのも
いいな…なんて空っぽになった食器を洗いながら
俺は思った。
隅から隅まで、普段なら面倒くさくて手が中々届かないようなとこもしっかり掃除した。
掃除のプロになれるんじゃないか…そっち方面に
転職するのもありかな…なんて思ったほど。
もちろん………引っ越しの準備も忘れずに。
家賃だけ払って部屋はそのままに…なんてことも
考えたが、それじゃ駄目だと思った。
戻って来る場所があるということは、それに甘えて
戻りたくなってしまうかもしれない。
段ボールに荷物を少しずつ詰めながら日は
あっという間に過ぎていった。
今、康平は空港にいる。
搭乗時刻まで椅子に座って待っているが
気持ちが落ち着かない。
今日は雲一つない快晴だ。窓からその青空を眺めながら俺の心は寂しさで一杯だった。
いい大人が情けないと思うだろ?…こんな気持ち全面に出したらきっと皆笑うだろ?…
だけど…今日だけは……今日だけは泣いていいよな
俺だって人間だ。喜怒哀楽、そのどれをも
持ち合わせている。それが人間ってものだろ?
俺は周りにバレないようにチケットで顔を隠すようにして泣いた。そして時間になりスッキリした顔で
搭乗ゲートを堂々とくぐる。
俺の目は赤くなっていたと思う。だが目が赤いのは
泣いたからじゃない…花粉症なんです…とじっと
こちらを見てきたCAさんに心の中で言っておいた。