015
そんな気持ちを抱えたままマネージャーさんに対し普段通りに接していた。
好きなんて態度1ミリも出さずに。
いや、1ミリもバレないように。
そんな中、新曲を作らないかとゆう仕事の話が来た。
CMの曲に使われるらしい。
CMのテーマを聞いた優は、なんでこのタイミングなんだと落ち込んだ。今、仕事の話をしてくれている
マネージャーさんの顔をまともに見れない。
康平「優?聞いてる?」
ボッーとしていた優は「え?あっ、はい、聞いてます」
康平の言葉で我に返る。
恋がテーマって何でよりによって今なの…
マネージャーさんは私のことを下の名で
呼ぶようになった。
もちろん意味なんてない。
向こうは意味なんてなくても、私にとっては
結構重大なことだったりする。
意識してるから…
私、歌手失格だよね…
浮かれちゃって馬鹿みたい…
恋をするために事務所に入ったわけじゃないのにね…
自分で自分に投げかけるが、この気持ちが消えることはない。消す方法を誰でもいいから教えてほしいぐらいだった。
仕事に集中しなきゃ…
集中…集中…っと優はペシッと両手で自分の頬を
叩いた。
それを見ていた康平は「どうかした?」と不思議そうな顔をしたが「べ、別に!眠気が襲ってきたんで
気合い入れました…ははっ」と優は笑って
ごまかす。
家に帰った優はさっそく新曲作りにとりかかるが
恋がテーマと言われても中々良いフレーズが
思い浮かばなかった。
恋にまつわるドラマや映画、曲など
見たり聴いたりしたもののドラマや映画の内容は頭に入ってこず、今、優の頭の中を占めているのは
今自分が抱えこんでいる気持ちだった。
期限は前回と同じ1週間。
睡眠を削ればなんとか前回みたいに1週間で行けるかなと考えていた優だったが当日になっても
曲は完成しなかった。
優「すみません…作れませんでした…」
康平「そっか…難しかった?」
優「まぁ…はい……本当すみませんでした…」
康平「そんなに謝らないで。
CMはよく流れるものだから優の歌がたくさん
の人に広まる良いチャンスだと思ったん
だけどなぁ……また次頑張ろう」
優「はい…ちょっとトイレ行ってきます…」