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時はあっとゆうまに経ち、いよいよ自分が主題歌を歌ったドラマが初まる。リモコンの電源を押し

テレビを付け体育座りをして座る。CMが明け

目の前の画面には高校生達がギターを持って

歌っている姿が。冒頭は過去の回想シーンからの

ようだ。

50分間、1度もその場所から動かなかった優は

ドラマが終わると同時にエゴサーチする。

自分の歌った曲が皆にどう思われているんだろう

と気になって仕方がない。


曲めっちゃよかった!〜 曲が流れて来ると同時に

泣いた。〜


コメントは好意的なのが多かったが、中には

こんなことも、、、


なんかありきたり。〜 あまり響かなかった。〜



良いと言ってくれる人が多いのは確かなのに

優はネガティブなコメントにしか意識が向かず

その日の夕食は大好物のハンバーグだったはずなのに

中々食欲が進まず夜もあまり寝られなかった。



・・・・・

ドラマが始まってから何週間後、歌番組の

出演依頼があり1度だけ出させてもらった。

緊張してたことしかその日のことは

覚えていない。でも、スタッフさんやマネージャーさんは「良かったよ!」と言ってくれた。

もちろん顔は隠して出演しているし、本名での

活動はしていない。

私が活動する時に名乗る名は、優しい音色から

取って英語で書いて(YOUNE)ゆうねと読む。


仕事は何かと忙しく、充実してはいたが

学業の方が疎かになっていた。

また自分の歌った歌に否定的な意見も

少なからずあり、そのことばかり気にかかり

落ち込むのもほぼ毎日といってもいいかもしれない。

事務所に入って歌手になればどんどんと自信が

ついていくものだと思っていたのに…その逆だ。

自信がなくなっていく一方だった。



この間テストがあり今日返ってくる。

先生が一人ずつ名前を呼びついに順番が

回ってきた優はテストを受け取りに教卓の前に

行く。「次回はもうちょっと頑張るんだな」と

そう言われ、テスト用紙に目をやると

平均点以下だったことに納得して落ち込む。

勉強はしたんだけど、軽くやっただけで

集中的にはやってないから。

優は今まで平均点以下なんて取ったことなかった。

事務所に入る前も自分で歌を作って外で

ちょろっと歌っていたりしたけど、勉強もそれと同じくらい頑張っていた。

今回は頑張っていないなんてそうゆうわけじゃ

ないんだけど仕事を優先していたのは確かだ。

だって仕事だし。正式に事務所に入って

歌手になったのだから事務所に入る前とは

わけが違う。









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