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聴いてくれる人がいる たった一人だけだとしても
聴いてくれる人がいるなら歌うよ
歌い続けるよ 君のために
街の灯りがこんなにきれいに輝いてみえるなんて
そんなのはずっとずーっと子供の頃の話さ
イルミネーションみたいだなんて馬鹿みたいに
はしゃいで どんなふうに僕は笑ってたかな?
誰か教えてよ
あの頃のような笑顔で笑いたいんだ
あんな風な無邪気な笑顔で
耳を傾けてくれる人がいる 分かろうとしてくれる
君がいるから明日も一日頑張れる
側にいてほしい これからも
音楽でこんなに誰かを元気づけられるなんて
そんなこととっくの昔に忘れていた
忙しく過ぎていく毎日に追いつけない だけど
思い出したんだ どんなふうに僕は聴いてたかな?
誰か教えてよ
あの頃のような感じで聴きたいんだ
真っ直ぐなキラキラとした瞳で
救ってくれた人がいる 心の中に入り込んで
僕も君みたいに届けたいんだ
誰かの心を震わせるそんな歌を
聴いてくれる人がいる たった一人だけだとしても
聴いてくれる人がいるなら歌うよ
歌い続けるよ 君のために
・・・・・
「ん……」もう朝かと優はベッドから体を起こす。
すぐそばにある目覚まし時計に目をやり時刻を
確認する。 時刻は現在朝8時。
「そういえば…」と昨日のオーディションのことを
改めて思い出す。
落ちたよな… 昨日何話したのか全く
覚えてないし…
でも最初からうまく行くわけないよね…
よし!気持ち切り替えよ!と頬を叩いて頭を覚醒させる。
お昼時、今日も学校が休みであるため優は家で
母親が作ってくれていたお弁当をあたためて食べる、、といっても朝ご飯と昨日の残りをお弁当箱に詰めているだけなのだが、それでもありがたい。
私のママは料理が好きで、休みの日は自分でやるから
こんなの用意しなくていいって言っているのに
自分の分のお弁当のついでだからと
作ってくれる。
こんなママが私は大好きだ。パパのことも
同じくらい好きなんだけどね。
直接は恥ずかしくて言えないんだけど。
携帯に着信の通知が鳴り、開いてみると
マネージャーさんからだった。
優「もしもし」
康平「もしもし、あっ昨日のオーディション
受かったよ!」
優「…………うそっ!本当ですか!?」
落ちたと思っていた優は5秒ほど間をおいて
驚きの声が出た。
康平「あぁ!本当だよ!
それで明日からの仕事のことを
話したいんだけど…」
これからの話をしてマネージャーさんとの
電話を切る。
受かった…やった!…
私、ドラマの主題歌歌うんだ…
先のことを考えるとわくわくが止まらなかった。
お弁当のおかずにもいつもより早く
箸が進む気がした。
「ごほっ…ごほっ…」おかずを口に詰め込みすぎて
むせる優であった。