11 織田先生の独白
な、なんなんだアレは?
サッカー部の紅白試合を見てそう思った
昨日の昼休みにサッカーボールでリフティングしている子を見かけたんだ
3回くらいしかリフティングできていないが、諦めずに何回もやっていた
下手なりに頑張っているのを見て微笑ましく思い、つい声をかけた
「サッカー部に入らないか?」
そしたらスゴイ勢いで食いついてきた
本当に好きなんだな、そう思った
入部届けを渡すと翌日、つまり今日の朝一番に職員室に届けにきた
ヤル気満々なのを見て微笑ましく思った
しかし、放課後になって校庭に行くと、開始前なのに一人黙々と準備体操をしていた
アキレス腱を伸ばす
足首を廻す
身体中の関節を順番にほぐしていた
お前ナニモノ?
他の子は6年生であっても遊んでいるぞ?!
旗の左右をドリブルで抜ける練習では慣れている6年生よりも早い!
昨日はボールを初めて触った初心者ですって感じだったのに!
「スゴイな」
そう声をかけたら
「マダマダっす、足元見ないとできないっす」
悔しそうだった
・・・あ~一体何を目指しているのかな?
それが出来たらインハイレベルだぞ?
っていうか1日で成長しすぎだぞ?
二手に分かれて紅白戦が始まった
最初は試合が初めてなせいかボーッと立ち尽くしていた
思わず
「ボールを盗りにいけ!」
叫んだら本当に盗りやがった
ヤツはとんでもないものを盗って行きました、6年生のボールです!
本人は盗ったことに茫然としていた
そしてどうすればいいのか判らなくて立ち尽くしていた
本当に素人丸出しなので
「シュートしろっ!」
そう叫んだら本当にシュートしてゴールしやがりまった
ヤツはとんでもないことをしやがりました、初ゴールです!
その後は、実力を押さえて、他の仲間がシュートできるようにアシストしていた
キーパーも攻撃できるように交代していた
敵のシュートをパンチングではじいていた
おいっ、始めたばかりの初心者だったんじゃないのか?!
思わず詰め寄りそうになった
アレについては、明日からどう指導したら良いのか、悩むな・・・