命がけの脱出ショー
ガイカクたち先行部隊が到着してから翌日、獣人、ダークエルフ、人間の歩兵という本隊が到着した。
とんでもなく大慌てで到着したので疲れている面々だが、休憩している時間はなかった。
彼女たちはガイカクの指示に従って、あわてて準備をする。
その内容はある意味『奇術』的であったが、今までになく緊迫したものだった。
なにせ作戦の概要を聞いた彼女たちをして『それ、成功するの?』という、疑わしいものだった。
そしてガイカク自身、絶対に成功する、など言えないものだった。
ガイカクの作戦は『人間歩兵を主体とする普通の作戦』と、『違法兵器を主体とする奇策』の二段構えになることが多い。
敵はこの二つの板挟みとなって餌食となるのだが、今回はその『普通の作戦』がほぼない。いや、まったくない。
通じる保証のない奇策だけで『エルフの人質を奪還』するという、非常に危ない作戦を成功させるなど……。
もはや、運頼みに等しい。というよりも、それ以外の何物でもない。
だがそれでも、全員が奇策に全力を注いでいた。
ディケスも言っていたが、そもそもこの条件で絶対に成功する作戦などない。
奇策でも何でも、成功する見込みがあるのならやるべきだった。
エルフの森の者たちと全面協力の元……。
その、作戦決行の時が訪れる。
※
その日の正午、よく晴れた日であった。
エルフの森は木が生い茂っているが、その木漏れ日でさえ森が照らされる、とても明るい日であった。
室内にいたリザードマンたちは、カーテンでそれを隠しているためわからなかった。
ただ傷を癒そうと、不味い飯を口の中に押し込んで、焦れる空気の中うろついて……。
そして何より、人質を押し込んでいる部屋を何度も確認していた。
家の中央にある部屋には、出入り口となるドアが一つしかない。
そこの前に重めの家具を置いて、物理的に封鎖している。
そのドアにあるのぞき窓、と言っても丸い穴が開いているだけだが、そこから内部の様子を確認するだけだった。
人質は六人。
ディケスの娘アスピと、その侍女五人。
彼女たちはのぞき窓から見えるところに固まっていて、びくりとも動かずにいた。
彼女たちが、否、アスピさえ生きていれば大丈夫。
リザードマンたちは無言になりつつも、しかしそれだけを信じて時が過ぎることを待っていた。
そんな時である。
表から、なにやら大きな音がしてきた。
昨日と変わらず……ではない。明らかにショーやパレードのような、にぎやかで子供が好きそうな音楽だった。
「なんだ、またエルフか……」
「もういい加減、一人ぐらいぶっ殺して見せしめにしてやろうか……」
「いや、待て。エルフじゃないぞ?」
「はあ? じゃあエルフどもが騎士団でも呼んだのか?」
リザードマンたちは、窓の外を伺った。
するとそこには、楽器を必死で鳴らしている人間たちと、その前にフードを被った男がいた。
「レディース、エンド、ジェントルメン! このエルフの森にお住いの皆様、またリザードマンの皆様! お初にお目にかかります! 私は奇術騎士団の団長、ガイカク・ヒクメにございます!」
奇術師というよりもサーカス団の団長めいた振る舞いをするガイカク。
彼は総騎士団長が作った旗まで掲げて、全力で道化を演じている。
「……奇術騎士団?」
「あの、最近噂の、新鋭の騎士団か……」
「どんな事件も手品みたいに解決するとか……」
「おい! 今すぐあの部屋を見てこい! アレが囮で、もう屋敷に入っているかもしれねえぞ!」
「わ、わかった!」
リザードマンのリーダーに収まったギャウサルの指示を聞いて、一人のリザードマンが中央の部屋へ慌てて駆けていく。
部屋の中をのぞいて見るが、やはりエルフの女たちが見えるところにいるだけだ。
外の様子を感じ取ったのか、震えているようにも見える。しかし、六人全員がいると、たしかにわかった。
「いるぞ!! どうする? 中も見るか?」
「いや、それも罠かもしれん! ドアを開けたら出てくる……なんてこともある! むしろ、ドアの前にもっと物を置いておけ! とにかくその部屋から出さなければいいんだからな!」
他に出入り口はない、と全員が確信している。
そんなものがあるのなら、とっくに全員逃げ出しているか、外から救助がきている。
そうなっていないのだから、ドアさえ封鎖していれば問題ないはずだった。
「そうだな……よし、もっと家具を積んでおくか! そうすりゃあ、忍び込んできても、どかすのに時間がかかるしよ!」
「そうだ……相手が手品師だからって、タネも仕掛けもなけりゃあ、何にもできねえ!」
焦りつつも、冷静に対応しようとするリザードマンたち。
内部の様子を知ってか知らでか、ガイカクはさらに言葉を続ける。
「本日は皆さまに、奇跡の脱出ショーをご覧に入れましょう! 恐ろしいリザードマンたちにとらわれた、ディケス様のご息女、アスピ様……彼女をその館から、一瞬で脱出させる……そんな手品でございます!」
如何にもショー、興行めいた振る舞いだった。
だがやろうとしていること、宣言していることはごく当然だった。
むしろ他の何をしに来たのかわからない。
「で、できるわけがねえ……なあ!」
「ああ、手品なんてもんは、結局抜け穴だの通路だのがあってなんぼだ! この家にそれはねえ!」
「本当に種も仕掛けもなしに、脱出ショーができるかよ!」
リザードマンたちは、どんな観客よりもまじめだった。
そんなことが起きるわけがないと思いつつ、しかしそうなったらどうしようと、本気で危ぶんでいた。
「そうだ……」
ギャウサルも、不安を抑えるように安心材料を唱える。
「どんな脱出作戦があっても、逃げる本人たちが作戦を知らなきゃあ、うまくいくわけがねえ」
リザードマンが、あるいは他の誰もが固唾をのむ。
アスピ救出をかけた時間が、今まさに訪れる。
「3!」
「2!」
「1!」
あまりにもわかりやすい、ガイカクの合図。
それに合わせて、行動を起こす者たちがいた。森長の館を遠くから包囲していた獣人擲弾兵隊は、持っていた煙玉をその館へ向けて投げた。
それはほとんどが壁に当たって館の壁を煙で包む程度だったが、中には窓に当たって中へ入るものもあった。
当然室内なので、煙が充満してくる。
「う、うぉおお?! 火か、火をつけられたのか?」
「落ち着け! 中にエルフがいるんだぞ、そんなことするか!」
「ただの煙玉だ! 毒だって入っているわけがない!」
リザードマンたちは、冷静であろうとした。
相手はこちらを混乱させようとしている、そう考えて自分を保とうとしていた。
「そうだ、あの部屋の入り口を守っている限り、めったなことは起きねえ! この館の壁をぶっ壊すことはできても、部屋には普通に入らないと、中のエルフが死ぬ!」
「荒っぽいことなんて、できるわけが……」
リザードマンたちは、カーテンをわずかにめくって、外を見ていた。
もちろん館も煙に包まれているのだが、さすがに時間が経つと晴れてくる。
その晴れた煙の中から、貴人の服を着たエルフの娘が出てきた。
いや、正しく言えば、煙から出て、館から離れている。
それこそ、リザードマンたちから逃げようとしている。
エルフゆえに決して速くはないが、それでも懸命に走っていた。
「は、はああ?! おい、中を確認しろ! 中に入って、ちゃんといるか見てこい!」
「いいのか?!」
「急げ! 本当に逃げられていたら、どうしようもない!」
そんなはずがない、そんなことあってたまるか。
信じたいからこそ、リザードマンたちは確認をしようとする。
もしも本当に脱出しているのなら、それこそ終わりだった。
「……!」
リザードマンは、あわてて部屋の外に積んだ家具をどかす。
もちろん、ついさっき自分で積んだ時と何も変わっていなかった。動かした形跡も、もどした形跡もない。
だがそれでも、まったく安心できなかった。
なぜなら部屋にいるエルフたちは、一様に顔を隠していたのだから。
「お、おい! 顔を見せろ!」
リザードマンは、侍女に囲まれていた、貴人の服を着ている女の顔を無理やり見た。
そして、その顔を見て絶望する。
「ち、違う! こいつ、森長の娘じゃねえ!」
「な、なんだと?!」
「嘘だろ、そんなわけが……!」
他のリザードマンたちも、あわてて部屋に入る。
エルフの顔をあまり覚えない彼らでもわかるほど、貴人の服を着ているエルフはアスピではなかった。
それこそまず、年齢が違う。明らかに年齢が上だった、娘というよりも母親のような歳である。
「ふふふ……!」
その女は、無理やり貴人の服を着ていた。
明らかに、サイズが合っていない。
「アスピ様なら、もう逃げたわ! その姿を見たのでしょう?」
「ふざけやがって!」
どうやって逃げたのかはわからないが、逃げたことは明らかだった。
憤ったギャウサルは、挑発的に笑うその女の腹を蹴り飛ばした。
「!!!」
そのエルフはくの字になって吹き飛び、床に転がる。
肉体的な性能に差がある両者ゆえに、致命的となる一撃だった。
「ふ、ふふ……まぬけ……!」
それでも彼女は笑っていた。
死に行くだけでありながら、最後まで嘲っていたのである。
その姿に追撃を入れたくなるが、それどころではなかった。
「いそげ! 連れ戻せ!」
「わかってる! というか、全員で行くぞ!」
「ああ! もう逃げたんだ、ここは安全じゃねえ!」
「侍女が人質になるわけねえ! 魔術で館ごとぶっ飛ばされるぞ!」
リザードマンたちは、あわてて部屋を出ていく。
いや、館を出ていく。
ドアを開けることもなく、壁や窓を突き破って、『貴人の服を着ていたエルフの娘』を追いかけていった。
「ご、ごぅ……!」
薄れていく意識の中で、『貴人の服を着ている年配のエルフ』は笑っていた。
それは嘲りの笑みではなく、安堵の笑みだった。
「イータカリーナ! イータカリーナ!」
震えて何もできなかった、他のエルフたちが駆けよる。
だがしかし『回復魔術』などというものは存在しない、彼女へ何かをできる者はいない。
できることと言えば、名前を呼ぶことだけだった。
「イータカリーナ! ああ、私の身代わりになって……!」
「言ったでしょう、お嬢様……命に代えてもお守りいたしますと……」
倒れている女性は、侍女の服を着ている娘の、その一人をお嬢様と呼んだ。
なんということはない、彼女こそアスピだったのである。
「あのリザードマンが消えたのです、お父様が、もうすぐいらっしゃいます……よう、ございました……」
「イータカリーナ!」
アスピは脱出などしていない、侍女の一人と服を交換しただけだった。
あまりにも古典的で、余りにも陳腐だった。手品と呼べるほどのものでもない。
だが空腹が最高のスパイスであるように、焦燥こそ詐欺を成功させる最大の要素である。
リザードマンたちは、この替え玉を見破ることができなかった。
さて、成功したこの作戦だが……なぜ外と連絡のできなかった彼女たちが、事前に着替えをできたのか。
それは昨日、ディケスが率いた楽団に秘密がある。
エルフに古来から伝わる歌劇、『マスト・ウォー』。
この歌劇の最終章では、皇帝が影武者と服を交換して逃げることに成功した、となっている。
その最終章の曲を、楽団は奏でたのである。
それを聞いた、アスピと侍女たちは悟ったのだ。
アスピと侍女で、服を交換しろ。それが作戦なのだと。
細かいことはわからなかったが、それでも成功に至っていた。
影武者が死ぬことも含めて、歌劇の通りになってしまったのだが……。
※
さて、では館から逃げていく、貴人の服を着たエルフの娘は何者か。
奇術騎士団の砲兵隊、その一員である。
本来貴人しか袖を通すことを許されない、最高級の服。
それを彼女が着ることは違法だが、そんなどうでもいいことを気にする者は一人もいなかった。
(まさかこんな形で着ることになるなんて……!)
彼女は大変だった。
まず煙玉が割れてから館に向かって走って、煙玉が晴れ始めてからさらに館から走って逃げようとしているのだ。
体力に乏しいエルフにとっては、とんでもない苦行であった。
だがそれでも、リザードマンが接近してくることを悟ったときは、しめたと笑っていた。
彼女の足が遅いこともあって、相手は彼女の姿を見てから部屋を確認し、さらにこちらへ襲い掛かってくるところまで、自然に演出できたのである。
「さあ、お嬢様! こっちへ!」
「は、はい!」
ガイカクにお嬢様と呼ばれることに寒気を覚えつつ、森の中まで持ってきたライヴスの中に入ることができた。
ふと後ろをみれば、リザードマンたちが必死の形相で迫ってきている。
悲鳴を上げそうになるが、それでもライヴスは走り出していた。
「ち、ちくしょう! 待ちやがれ!」
「アイツを捕まえないと、俺たちは終わりだああ!」
リザードマンは頑丈だが、足の速さはそこまででもない。
走り出したライヴスに追いつきつつあるが、一瞬でしがみついてくるわけでもなかった。
「せ、先生……や、やりましたね!」
「そんなことは後にしろ! 急げ! もう次の段階だぞ!」
リザードマンをアスピから引き離せた時点で、救出はほぼ終わっている。
だが安堵をするには早い、ここからはリザードマンを殺す作戦に入っていた。
「ほら、つけろ!」
「わ、わかりました……!」
揺れる車内で、ガイカクと砲兵はシー・ランナーを装着した。
普段は獣人たちが身に着けているコレだが、別にエルフや人間がつけられないわけではない。
二人の体は、それによって軽くなる。
「棟梁! もういいんだな?!」
「ああ! 舵輪を固定しろ!」
通常は複数で運転するこのライヴスだが、今はドワーフが一人しか乗っていない。
そのドワーフもまた、シー・ランナーを身に着けて、そのままハンドルへ細工をする。
これが何を意味するのか、分かるものにはわかるだろう。
「ライヴスが来た!」
「急いで! 発煙筒を投げるのよ!」
森の中の道を走るライヴスを見て、その進行方向で待機していたダークエルフたちも動く。
彼女たちは渡されていた発煙筒を、ライヴスの進路へ投げていった。
それは必然的に、ライヴスの後方から追いかけてくる、リザードマンたちを煙で包む。
「ま、また煙か!」
「絶対見失うなよ!!」
いくら煙に突入しても、車両であるライヴスを見失うわけがない。
リザードマンたちは、なんとかその車両に追いつこうとする。
しかしその煙の中で、ガイカクと砲兵、ドワーフは車両から飛び降りていた。
「~~!」
「!!!」
ドワーフは一人で。
ガイカクは砲兵を抱きしめて、できるだけ彼女がケガをしないように気を使いつつ、森へ身を投げた。
いくら最高速度ではないとはいえ、走っている車から飛び降りるなど、完全に交通事故である。
場合によっては、このエルフも死にかねなかった。
「ま、待て~~!」
「も、もう追いつくぞ!!」
だが最大の問題だった、リザードマンを煙に巻くことは成功していた。
声を殺していたガイカクたちは、リザードマンたちがライヴスを追いかけていくと知って、今度こそ安堵する。
「おい、大丈夫か?」
「先生……」
ここで砲兵は、我に返った。
最高の服を着て、ガイカクに抱きしめられて、一緒に倒れている。
不謹慎ではあるが、ロマンチックの極みであった。
「大丈夫かって聞いてるんだが?! 声も出せないか?!」
「い、いえ……なんとか……先生が抱きしめてくれたおかげです」
「そうか、ならいい!」
危険にさらした部下が、怪我をせずに済んだ。
それにガイカクは、今度こそ安堵する。
「棟梁……マジでいいのか?」
その一方で、先ほどまでライヴスを運転していたドワーフは恨めし気だった。
自分たちが頑張って作った作品の、その行く末を思うと切ないようである。
「いいさ……生きていれば、また作れる。今度はもっと、いいのを作ろう」
※
ライヴスはずっと同じ心臓の組だけで動いていた。
また森の道には起伏があり、心臓へダメージが溜まっていった。
よって特に操作をするまでもなく、ライヴスの速度は落ちていく。
「み、見ろ! 追いつけたぞ!」
「馬が引いているんだろうが、ばてたみたいだな!」
「急げ、速く確保しろ!」
幸いと言っていいのか、リザードマンたちはなんとかライヴスに取りつき、その後部についていたドアを開けることができた。
そして内部に入って、アスピを探そうとする。
「な、なんだこりゃああ?!」
そして彼らが見たのは、ライヴスの機関部であった。
整備性を最優先に考えたライヴスは、トラックで言うところの荷台に当たる部分が、丸々機関部となっている。
そこには透明な容器に入っている、脈動する九つの心臓があった。
そんなものを見れば、誰もが困惑するのは当たり前だった。
だがそれを気にしている場合ではない、車内にはアスピはおろか、誰もいなかったのだから。
「おい、誰もいないぞ?!」
「ま、またかよ!」
「隠れてる……いや、途中で降りたんだ!」
「くそ、さっきの煙だな……降りて引き返すぞ…!」
状況を把握したリザードマンたちだが、その全員を強い振動が襲った。
屈強なはずの彼らは、車内の前方へ吹き飛んでいく。
無様に車内で重なり合った彼らは、状況を把握などできていない。
しかし、車外から見れば一目瞭然だった。
ハンドルを固定されて、ふらふら走るだけだったライヴスは、森の中の大きな木に激突して、そのまま止まったのである。
当然ながら、これも作戦の範疇であった。
「森長! 侍女の一人が致命傷を負いましたが、お嬢様はご無事です!」
「リザードマンは、全員あの荷車の中です!」
「ガイカク卿も、おとりとなったエルフも、運転していたドワーフも離脱した様子!」
「そうか……!」
ライヴスが止まった木の周囲には、既にエルフたちが待機していた。
最低でも常人の二倍、並でも五倍をほこるエルフたち。その中でも選りすぐりの猛者たちが、完全なる包囲網を敷いていた。
もちろんその中には、怒りに震えるディケスの姿もあった。
「では、仕上げだ……奇術騎士団が、我らに用意してくださった、一網打尽の好機……決して逃がすな!」
彼らは自分で扱える最大の魔術を使うべく、詠唱を始める。
騎士団でも実現できない、エルフの守備隊だからこそ実現する、雲霞のごとき魔術の雨。
彼らは怒りをもって、最大級の魔力攻撃を放った。
「あ、ああああああああ!」
ケンタウロスの攻撃を弾いたライヴスの装甲は、エルフの魔力攻撃にはまったく無意味だった。
まして、少々強いというだけのリザードマンの鱗も、あっさりと粉砕されていく。
この地で大暴れをしたリザードマンは、ガイカクとドワーフの作ったライヴスとともに、文字通り粉砕されたのだった。
「皆、死体の確認は任せる。私は……」
「ええ、森長は、どうかアスピ様の元へ……」
虐殺者の死に歓声が沸く中、ディケスは自分の館へ走っていった。
その顔に、安堵はひとかけらもなかった。