082
夕陽を背に受けながら、双剣を背の鞘に収める少年。
目の前には力なく崩れ落ちるゴブリン・リーダー。ほどなくしてその体は光の粒子となり、風に運ばれるように溶けてゆく。
新しいメンバー、ラオと
目指すは次の町、エマロ。
目的地はその先にあるカロア城下町である。
「やったね、ショウキチ」
側で杖をしまう
Party.A
バーバラ(L)聖職者 Lv.29
ショウキチ 剣士 Lv.29
ケットル 魔道士 Lv.28
キョウコ 弓使い Lv.28
ラオ 斧戦士 Lv.37
怜蘭 大剣士 Lv.39
Party.B
修太郎(L) 召喚士 Lv.25
+AcM シルヴィア
レベル10のボスに対する戦力としてはかなり過剰戦力ではあるため、
「(倒したよ、誠のおっちゃん)」
安全なレベルに上がるまで決して挑戦を許されなかったボスを、誠の言いつけをキチンと守り、十分なレベルとなった
「うし、じゃあ改めて! エマロに出発!」
「といっても、少し歩けば着くけどね」
「あっ、そうなの?」
意気込んだショウキチだったが、ケットルに出鼻を挫かれコケるように体を崩す。二人のそんな様子を、
「(誠、二人は順調に育ってるわ。心強い仲間もできたし、私達も無理なく貴方の背中を追いかけてもいいよね)」
最前線へと旅立ったかつてのリーダーの顔を思い浮かべながら、キョウコとバーバラもそれに続くように、エマロの町へと続く道を歩き出した。
*****
とある空洞内にあるセーフティエリア。
騎士の鎧を着た一人のプレイヤーを囲うようにして、十数名のプレイヤーが静かに佇んでいた。
「そうか。
中でも一際怪しい雰囲気を纏う男が嗤う。
長い髪を後ろに束ね、獣のような犬歯が特徴的。
手に持っていた果実に被り付き、続ける。
「レベルは平均して35程度。ワタルと
「潜伏していた黒犬とキジマが消されたのも、レーダーに感知された可能性がありますね」
長髪の男の傍に立つ、黒づくめの男が言う。
赤色の目以外は布に包まれた異質な風貌の男。
背中に三本の剣を携えている。
黒づくめの言葉に、長髪の男は「あぁ」と頷いた後、歯型の付いた果物を見ながら呟く。
「あの燃える刀の新入りはともかく、黒犬とキジマはうちでも相当腕の立つ
「別で動いてる
「いいよアイツは。俺嫌いなんだよねぇ……ああゆう協調性皆無のやつ」
徐々に力が込められているのか、果物が果汁を噴き出しながら潰れてゆく。その様を不気味に感じた様子で、騎士の鎧を着た男は立ち上がった。
「じ、じゃあ俺はまた紋章の遠征部隊に合流しますね」
そう言って、足早にその場から離れようとするその男の腹を――巨大な槍が貫いた。
騎士の鎧を着た男は、訳もわからないといった表情のまま膝から崩れ、地に伏す瞬間に粉々に消える。
周囲から押し殺したような悲鳴が上がる。
長髪の男は投擲後の体勢を戻し、原型を失った果実に再びかぶり付いた。
「一回離脱してる奴が戻ってきたら怪しいだろ。ねえケンちゃん」
そう言って、笑みを浮かべる長髪の男。
それに対し、坊主頭の男が反応した。
「その通りすね。でも突然オフラインになる方が不自然じゃないすか」
「あそっか。でもあんなに時間あげたのにワタルのスキルすら把握してこなかったなら、どの道いらないよねぇ」
長髪の男は、床に転がる槍を拾い上げ再びストレージにしまった。その表情は、人一人を殺めた直後とは思えないほど、何の感情も読み取れない不気味なものだった。
「カロアじゃそろそろ
遂に次の拠点へと進み出した修太郎達
そこで待ち受ける新たな試練、脅威
徐々に解き明かされるMotherの思惑
そして最前線組を待ち構える――大迷宮
第二章 完結
あとがき
ながらくお待たせしました
これにて二章完結です。
三章はまだ執筆中ですので、まず先に二章を完結させました。ゲーム休憩前に二章完結させておけばよかったなと思いながら、ff14拡張パックを堪能してました。申し訳ないです。
三章のボリュームはプロットの段階では二章よりも少ない想定です。二章はどうしても「修太郎が召喚士にならなければならない」という目的があり、クエストのシステムや戦闘の仕組みなどの説明のような回となっており、退屈に思われた方には申し訳ないなと思って書いておりました。三章はそれらを踏まえてしっかりゲーム的な展開、デスゲならではの展開など盛り込んでありますのでご期待くださいませ。
三章投稿日はまだ未定とさせていただきますが、進捗は35%ほど、目標は今月中に投稿開始できればなと考えております。いつも通り、連日予約投稿です。
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ながワサビ64