071
一行はレストランへと来ていた。
紋章ギルド内にあるレストランで、完全にNPCだけで経営されており、現実世界にあるものなら一通り頼む事ができる。
「久しぶりに食べ物食べた気がする……!」
オムライスを頬張る修太郎。
飢えを感じない体になってからというもの、食事はおろか水分補給もしてこなかった修太郎。実に1ヶ月ぶりの食事である。
満腹感は無いが、満足感はある。
懐かしの味に、心が落ち着いてゆく。
「食事は不要になったからって、怠ったらだめよ? 食べるって行為だけでも、かなりストレス軽減になるんだからさ」
そう言いながら、向かい側に座る
「お、おい、パフェも食うか?」
「食べる!」
明らかに気を使っている様子の
「あのショウキチがデザート譲るなんて」
「なんだよ! いいだろ別に!」
冷やかすように笑う
ショウキチはそれに顔を真っ赤にして反論する。
修太郎が一頻り泣いて落ち着いた後、自己紹介を済ませてレストランへと向かった第21部隊。修太郎も徐々に元気を取り戻し、すっかり元通りとなっていた。
「そういえば、このパーティには
修太郎の何気ない一言で、今度は他の面々が表情を暗くする番となる。
それに代表して、
「うん。ちょっと前までいたんだけどね、最前線に向かうために脱退したんだ」
「へえー! 最前線!」
その時に涙の別れがあったのだが、そんな事とは知らない修太郎である。グラスのストローをくるくる回しながらバーバラが続ける。
「それで『俺が盾役になってやる』なんて言ってきた別の人達と組んで何度か依頼受けてみたんだけどね……これがまた傲慢で傲慢で」
第21部隊は非常に人気が高い。
特に
とはいえ、彼等は総じて傲慢である。
自分達の希少さをよく知っているため高圧的に振る舞ったり、ろくに攻撃に参加せず指示も飛ばさなかったりと、最低限の仕事もままならない者ばかり。
その上、
「修太郎君は召喚獣の呼び出しのために森林に向かうって聞いてるけど、やっぱり獣型にするんだね!」
重くなった空気を察し、話題を変えるべくキョウコがそう尋ねる。
「うん! デミ・ウルフの素材を使って召喚すると強い召喚獣が貰えるって聞いて」
それに食い付いたのはショウキチ。
目を輝かせて立ち上がる。
「へえー! じゃあ俺達召喚に立ち会えるんだな! あのさ、あのさ! でっかいの召喚できたら乗せてくれよ!」
「もちろん!」
五人は食事を交えて交流を深めながら、軽い足取りで森林へと向かうのだった。