069
手持ちの素材が無くなるまで依頼書を送付していく修太郎。その体が何重にも光を放ち、それが収まる頃にはレベルが一気に10まで上がっていた。
修太郎がステータスの確認を終えると同時に、ルミアが声をかけてくる。
「かなり上がりましたね! 後は素材屋で買って上げれば、所持金と相談ですが12くらいまでは無理なく上がると思いますが……」
通常通り、改めて敬語で対応するルミア。
修太郎の所持金はそこそこ肥えているため、素材屋利用もやぶさかではなかった。キング・ゴブリンを討伐した時に得たものと、PK達の所持金で得たものが大きい。
しかし、素材といっても最大でもゴブリン・リーダー程度の素材ならば苦労しないし、無駄に金を使うより堅実に依頼をこなしたほうが得策だと修太郎は考えた。
「いえ、ここからは普通に依頼を受けて上げていこうと思います!」
「かしこまりました。それでは現在のレベルに沿った依頼をいくつか並べていきますね!」
ルミアが依頼を探している間、修太郎は再び自分のプレイヤー情報を確認した。
(召喚枠は増えてないか……やっぱり増えるのはレベル20からみたいだ)
召喚獣を多く召喚する上でのメリットは、召喚士単体で三人力、四人力の力を得ることができる点。しかしその分、プレイヤーとは違って単純な行動を取るAIであるため戦闘能力は高くない。
デスゲーム後、積極的に召喚獣を増やして〝死んでも大丈夫な戦力〟を揃える召喚士と、呼び出すのは一体だけにして〝育成効率重視〟の召喚士とで二分されている。
特にリヴィルの
現在修太郎が呼び出せるのは一枠のみ。
ルミアは何かを思い出したように、マニュアル通りに案内をかける。
「あ、そうそう……修太郎君はもう召喚獣は呼びましたか? もしまだなら、森林に出るデミ・ウルフの素材を用いた召喚がオススメです!」
依頼をピックアップしていきながら言うルミア。
修太郎は首を傾げた。
「デミ・ウルフ? どうしてですか?」
「獣型――特に犬型mobは能力が優秀なんです。もちろん皆好きな召喚獣を呼んでいますが、索敵に機動力に攻撃力……どれを取っても高水準。迷ったらこのデミ・ウルフの素材を媒体にすることをオススメしています!」
獣型は索敵能力や機動力が高いため、生存率を高める目的でプレイヤー側からも推奨されている。事実、索敵が容易となり不意打ちにも対応できるようになったため、召喚士達の生存率も格段に上がっていた。
紋章ギルドは召喚士達の生存率を少しでも上げるため獣型を推奨しており、これは
「低レベルの媒体を使ったとしても、呼び出されるのが下位の獣型とは限りません。運が良ければ稀に上位種も呼び出されたりしますからね。私が知る中での最大個体は、主がレベル10だったのに対し、レベル37の個体が出ました」
(誤魔化すためにはいいかもしれない……)
修太郎は自分達の
「わかりました! 最初の召喚獣はデミ・ウルフの素材を使おうと思います!」
「かしこまりました。素材屋でも購入できますが、いかがいたしましょうか?」
「依頼でそういうのありますか?」
修太郎の言葉に、ルミアは笑顔で「はい、ございますよ」と答え、選出した依頼を控えに入れつつ、新しい依頼を引っ張ってくる。
「では、最初の依頼は森林のデミ・ウルフ討伐にしておきましょう。修太郎君の戦闘能力は指南役からお墨付きを貰ってますが、フィールド外の依頼ですので、万が一を考えパーティで向かっていただきます。よろしいですか?」
「はい! よろしくお願いします!」
検索をかけようとして、ルミアの手が止まる。
「今回も条件付きで探しましょうか? 人柄などもなるべくご期待に添えるように選びますが……」
「なんでも大丈夫です!」
無邪気にそう答える修太郎。
ルミアは「そうですか」と頷くと、早速待機中のパーティを検索にかける。
(レベル5くらいが適正だから適正の二倍以上あれば盾役も要らない……召喚まで想定すると二枠空いてるパーティね……)
ルミアは
(盾役が抜けたばかりだけど連携も高水準の
バーバラ(L)聖職者 Lv.18
ショウキチ 剣士 Lv.18
ケットル 魔道士 Lv.16
キョウコ 弓使い Lv.16