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 我ながらとんでもない方法を思いついてしまった。

 水魔法と融合するよりも頭の中でイメージが浮かばない魔法だ。……私ってば魔法書の一つぐらい出せるんじゃないかしら?

「ううう」

 シーナの呻き声に早く処置を取らねばと焦らされる。

 魔力を体内に流し込むときにシーナの体に適応させるなんて……。

「ハッ」

 私は今の状況を鼻で笑ってしまう。 

 ただクシャナの手助けをしにきたはずが、まさかシーナを全力で助けないといけないなんて。

 ウィルおじいさん、貴方ならこの状況を絶対打破しますよね?

 ……私はその天才少年の弟子よ? できないはずがない。

 深呼吸して、私は魔法の態勢を整えた。シーナの頭の切り傷を治し、後はキイの洗練された魔力を借りて、私はゆっくりとシーナの体内へと力を流し込む。

 やっぱり、と私は心の中で呟いた。

 魔力はただシーナの体を通り抜けるだけだ。

 …………なんて難易度なの。

 失敗と共に焦りが更に大きくなる。

 私が歴史を学んできた限り、今までこんな魔法をした人などいない。過去から学べることなどない。

「あんなに本を読んできたのに、役立たずの脳みそ」

 私が小さくそう呟くと、クシャナの優しい声が聞こえた。

「知識は新しい知識を生み出す」

 クシャナの言葉に私はハッとさせられた。

 過去の歴史と同じことを繰り返してても、歴史には残らない。

「私が歴史を変えてやる」

 確かな声で私はそう発した。

 私はシーナの体へと触れた。彼女の血が私の手にべっとりとつく。ヌルッとしたその感触に私は手を離したくなった。血生臭い匂いが私の鼻へと入ってくる。

 ……正直怖い。

 失敗するかもしれない。そしたら、シーナは命を落とす。

 私は人の生死を自分の魔法に賭けているのだから。

 怖い、手が震えるほどに……。緊張からお腹が痛くなる。手先がじんわりと冷たくなっていく。

 魔力を流すだけではだめなのよ。

 瞬時に魔力を適応させるなんてこと…………。いや、待って。できるかもしれない。

 一度だけ使ったことのある魔法。私のものを他人に適応させることに成功しているじゃない。

 ………………………………………闇魔法レベル91。

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