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闇魔法もレベルがあるのね。レベル1からどこまであるのかしら……。私は闇魔法の一番後ろのページを見た。
『最高レベル不明』
不明!?
……そうだわ、思い出した。
闇、光、水、風、火、の魔法は最高レベルが分からないんだったわ。
ここに記載されているのはレベル100まで。
そしてレベル100を超えたと思われる人間はヒロインとデューク様のみ……。
じゃあ、アリシアってどんなに頑張ってもレベル100を超える事はないって事?
……嘘でしょ。何をやっても無駄なの?
なんて不公平な乙女ゲームなのよ。ああ、運営に文句言いたいわ。
でもアリシアってやればできる子だから、もしかして今から猛特訓すればレベル100を超える事が出来るかもしれないわ。
まぁ、まずレベル1の魔法を扱えるようになってからよね。
でも魔法の種類の本は見つけられても、魔法の使い方を書いている本は見つからないのよね。
とりあえず、どんな魔法があるかだけ見ておきましょ。
私はレベル1から順番に見ていった。
本当に色々な魔法があるのね……。扉を閉める魔法なんか使う日が来るのかしら。
闇魔法って言ってもそんなに闇特有のものって少ないのね。
レベル10になったら汚れたものを綺麗にする魔法が使えるの!?
これは便利だわ。よくドレスを汚してしまうから、これは使えるようになりたいわ。
レベル50のページに注意書きがあった。
『レベル50を扱える者は大貴族以上』
あら、じゃあ私も使えるのね、特訓すればの話だけど。
アリシアってゲームではレベル50もいってなかった気が……。
レベル50になったら壁を作れるのね……。という事は貧困村にある霧の壁を作った人って大貴族って事よね。
一気にレベル80まで読んだ。私はあるページで手を止めた。
……自分以外のものに自分のものを移す魔法?
『レベル87 自分以外のものに自分のものを移す魔法
自分の持っているもの、つまり臓器、皮膚、髪、眼球など他人に移す事が出来る
闇魔法特有』
眼球……?
眼球も移す事が出来るの!?
という事は、ウィルおじいさんに私の目を移せるって事よね。
でも、レベル87を取得するまでどのくらいかかるのかしら。
私はページを少し前に戻してレベル80の注意書きを見た。
『レベル80 大貴族のみ 最低3年で取得できる』
最低3年……。
私はページを捲った。
『レベル90 大貴族のみ 最低5年で取得できる』
レベル90で最低5年という事はレベル87を取得するには大体4年って事かしら。
結構かかるのね。道は険しいわ。それでも諦めないわよ。
私はさらにページを捲った。
『レベル100 大貴族のみ 世界で数名』
あら、世界で数名なの!?
じゃあ、レベル100を超えたヒロインとデューク様は怪物って事よね。
そもそもヒロインって平民なのよね?
なのにレベル100を超えるってずるいわ。まぁ、それがヒロインなんだけどね。
ヒロインって何魔法を使うんだっけ。
……そうだわ、彼女、全魔法使えるのよね。
ヒロイン! やっぱり好きになれないわ。アリシアが虐めたくなる気持ちがよく分かるわ。
「アリシア様! 客間に皆様が来ています」
ロゼッタが図書室に入ってきた。
どうして図書室にいるって事が分かったのかしら……。
ああああああ!
そうよ、貧困村から帰ってきた時にうっかり図書室に行くって言ってしまったんだわ。
あの時は脳が働いてなかったのよ。
最悪だわ、三年間隠してきたのに……。
でも、ロゼッタは私が図書室に行くって事に驚いてなかった気がするわ……。
どうしてかしら。私が早起きしたり剣術とか習ったり、不思議な行動に慣れてしまったのかしら。
三年前だったら図書室に行くって言ったら確実に怪訝な顔をされたわよね。慣れって怖いわね。
私は本を置いて客間に向かった。