【短編・完結】ダンジョン攻略 ~引きこもりの僕が運よくボスを倒して、召喚できるようになった。最強の召喚獣でダンジョンを無双する~

作者: 近衛 愛

この作品は『吸血鬼のニートが始めるダンジョン経営』をベースに作成されています。是非一度そちらも読んで頂けると一層の理解ができると思います。

 僕の名前は大和健ヤマトタケル、高校を中退している。普段は、石川にある家で本を読んだり、ゲームをしたり、小説を書いている。僕は人との関わり合いが苦手なため、一人でいることが多いよく言うボッチだ。


 そんな僕がある日をキッカケに大きく変わった。僕はダンジョンのボスと言われるもののテイムに成功した。日本中でボスをテイム出来たのは僕しかいない。テレビや新聞の取材が多く集まり、僕は社会的に有名な人になった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 ダンジョンマートが金沢にオープンした。当時は、東京や大阪、京都まで行かないとダンジョンに潜ることは出来なかった。月5000円のお小遣いでは、石川から、東京や大阪に行くことは出来なかった。


 ダンジョンは、成功すれば、1日に5万でも10万でも稼ぐことができる夢のような場所だ。小説やゲームのようにモンスターを倒すことで、ソウルポイントと呼ばれるものが得られ、それを用いて、ソウルSHOPで、武器や防具、道具なんかを揃えることができる。


 武器や防具をランクアップしていくことで、狩の効率が上がりより多くのソウルポイントを稼ぐことが出来るのだ。


 僕は何も仕事もしたくないし、バイトもしたくなかった。僕の力と知恵だけで、社会を生き抜き生活したかったのだ。周りからは色々バカにされたそんなこと出来るわけがないだろうと。


 人間やってみなくちゃわからないことがある。それを証明するために、僕はダンジョンマートが金沢にオープンするときにいの一番に並びに行った。


 ダンジョンマートがオープンするのはCMとかで告知されていたので、多くの人が並んでいた。僕は最後尾にならんだ。狐の衣装に身を包んだ色っぽいお姉さんに、整理番号の77番をもらった。


 これは幸先がいいぞ。ラッキーセブンが二つも並んでいる。それからオープンまでひたすらにまった。10時になった。


「ダンジョンマート金沢店へようこそ」


 オープンした。整理番号の順番毎に中へ入っていく、僕の番が来るまでそれから1時間程もかかった。受付で新規登録を済ませ、生命保険に加入し、冒険者カードを手に入れた。


 生命保険ではなんと、1年間の復活特典が得られる、これがないと、ダンジョン内で死んだ際に本当に死んでしまうので、加入は絶対だった。契約料はお金ではなく、寿命1年間だそうだ。僕の寿命はまだ90年もあったので、問題はない。


 これで僕は冒険者だ。転送ポイントに向かい、ダンジョン1階の砂漠エリアに飛んだ。そこには猫耳をつけた女性が立っていた。


「ようこそダンジョン1階砂漠エリアへにゃ~

ミリィが案内するにゃ~

こっちの方にまっすぐいくと、蛇とサソリさんが一杯いるにゃ~

どっちも毒を持っているから気を付けるにゃ~

もし、毒になったら、毒消しを使って早く治すにゃ~」


 と基本的な内容を教えてくれた。僕はひとまずそっちに向かうことにした。


 チャラチャラした、男と女が、ニャンスタにアップしていたオアシスはどこか聞いていたが、僕には関係ないね。早いこと、モンスターを倒して、ドンドン装備をレベルアップし、冒険者として、最強を目指すんだ。


 僕は初期装備の木の棒と布の服をソウルデバイスを使って装備した。瞬時に、私服から、装備したものへと切り替わった。


「すげ~、これがソウルコレクトシステムか~

小説のVRMMOが出来たらこんな感じなのかも知れないな。こっちは生身の肉体を使う分リスクも高いし、レベルアップもないから、厳しそうだけど、その分、やりがいは感じるぜ。」


 僕は、ダッシュして、サソリと毒蛇の所へ行った。


 お~~~お~~やってるやってる。学生服を男の子がきゃ~きゃ~言いながら、モンスターと戦っているミニスカの女子を守りながら、やっていた。


 おっ、彼女連れじゃないですか。羨ましいね。でも、あんなトロトロやってたら、最強なんかにはなれないよ。僕はその戦いをスルーして、どんどん奥へ入って行った。


「ふ~ここなら、誰もいないし僕の狩放題だね。出て来いよモンスタ、僕が相手をしてあげるよ。」


大声を上げたため、毒蛇とサソリが砂の中から2匹ずつ姿を現した。


 僕は木の棒を構えて突進していった。毒蛇が噛みつこうとして飛びついてくるが、僕は棒を使って払いのけた。そして、地面を張ってくるサソリを見つけ思いっきり蹴り上げた。


「空中なら、身動きできないし。お得意の尻尾も使えないだろ。」


「蠍よ喰らえ。月刀げっとう。」


 月のように円を描きながらサソリに向かって、木の棒を振り下ろした。胴体に直撃した。体力がゼロになったため、モンスターは煙となって消え、魂石が落ちた。


「よし、一匹討伐完了だ。」


 そうこうしているうちに2匹目のサソリと毒蛇がキタので、バックステップで回避して、また、サソリを蹴り上げ、同じ用にして倒す。


「残るは蛇だけだな。」


 蛇は軟体なため、下手にてこずると木の棒に撒かれて、そこから伝って噛まれてしまう。そうならないために、僕は、木の棒を鞘に納めるような形で腰に構えた。また、毒蛇が次は2匹一遍にとびかかって来た。


「必殺、抜刀術 ゼロの型 疾風はやて


 腰から抜いた木の棒で空中に入る蛇を左から一刀で、切り落とし、返す二刀目でもう一匹を切りふせた。

「また、つまらぬものを切ってしまった」


「カチン」

 きちんと効果恩を発しながら、腰に木の棒を納める。

 モンスターは消え、魂石が落ちていた。


「さっ、どれくらいのポイントがもらえるのかな」


まず蛇1個の魂石を拾った。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:5』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「うわ、少ない。鉄の剣を買おうともったらら1000ポイントは必要なのに。これを200匹倒せ と。うっわ~~~面倒だわ。」


 続いて、サソリの魂石を拾った。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:8』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「3ポイントしか上昇しないのか。ちまちまポイント集めはやってらんないよ。こうなったらちょっと早いけど奥の手を使おう」


スマホを使って、蛇とサソリが好む音を最大ボリュームで流した。そして、スマホに糸を付けて、砂の上に置いて、僕は距離を取った。周辺から続々と、モンスターがやってくる。もう10匹、20匹処の騒ぎではない。うん、こんなものか。一気にやるぞ。僕はスマホの糸を引いて素早くたぐり寄せた。


「おまえら、ご苦労さんな。悪く思うなよ。」


 リュックにしまってあった。エアガンを用いて、一斉射撃する。体力がなくなればいいだけだから、最低1のダメージを何発も当てれば終わるんだよ。


「ふぅ~~終わった。」

 あとには大量の魂石と大量のビービー弾が残っていた。


「さすがにこれを砂粒の中から拾うのは大変だから、魂石だけ拾うか」


ちょっと数が多いけど、全部拾った。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:213』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「へ~今ので40~50匹ほど倒したのか。結構楽勝じゃないか。」


その後は、場所を移動しながら同じことを2~3回繰り返していた。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:1024』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「お~~結構貯まったな。こういう狩の方法は、新規登録で込んでいるスタート初日しか出来ないからな。ざっくり稼がせてもらいましょうか。」


その後も延々と同じ方法を繰り返し、貯まったポイントは


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:10086』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 結構貯まったな、明日にはボス狩りも始まるだろうから、様子を見させてもらおう、どうやって倒すか状況を見定めないとね。


 翌日も朝から並んで、1時間待ちほどして中に入れた。今日も朝から、範囲狩りで、稼げるうちにポイントを稼ぎまくった。


 新規登録者の多い1日目と2日目は、えてして、ダンジョン内の探索者は少ない傾向にある。それにずぶの素人ばかりで装備も貧弱だし、モンスターを倒すのに時間もかかる。これが慣れてくると、装備の強化により、モンスターを倒すスピードが上がる。それは、冒険者同士でのモンスターの奪い合いを意味するのだ、


 なので僕は、今この時に思いっきりポイントを稼がなくてはいけなかった。基本的にに少ないお小遣いでやりくりするには金沢でしかダンジョン探索が出来ないが、それもここ1週間でしかない。


 2階が開放されていないダンジョンのため、すぐに限界が来てしまう。ある程度ここで装備を購入し、売却益で資金を作り、東京か大阪、果ては京都にあるダンジョンを攻略しに行く必要があった。


もう、朝からず~~~っと閉店の2時間前までは前日と同じ作業をずっと繰り返していた。

おかげでポイントは


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:30452』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 となった。これでかなりレベルの高い武器が買えるし。初級の武器もいくつか買えるだろう。それを今ここでたむろっている冒険者にそこそこの現金で売却してしまえば、そこそこの資金は稼げるのだ。


 鉄の剣の1000ポイントでさえ、サソリを200匹は討伐しないといけない。1時間に10匹でも20時間はかかるのである。


 それが現金で2万程で買えるなら、どうだろうか?学生でも早く上がりたいやつは買うし、社会人なら、それほどの時間を費やすくらいなら、バサッと買ってくれるだろう。時給1000円の仕事になるんだ。それをどう判断するか各々の判断である。


 早くやればやるほど、1時間あたりのポイント採取率は上昇するから、採算は取れやすくなるんだ。単純にこれを金額に直すと60万の現金にすることが出来る。たった2日でこれだけ稼げるのだ。ダンジョンは知恵次第でいくらでも稼げるだろう。


 僕は2万ポイントを消費して、装備を整えた。プラチナメイルと、プラチナの剣だ。これで攻撃力と防御力は格段に上がっている。もはや砂漠の雑魚モンスターなどでは僕の相手にはならないだろう。


 時間も時間だし、ボスのいる場所に向かって行った。その情報は入口にいる猫耳のミリィから既に情報を得ている。僕はダッシュで向かって行った。今の素人の冒険者ではおそらくは倒せないが、それでも、ダメージをそこそこ与えているはずである。それを回復させるのは勿体ないのだ。


 どうやら、腕試しがてら、今日来た学生たちが20~40人くらいで徒党を組んで討伐しようとしている。えっ、武器は?もちろん木の棒と学生服。うん、あいつら、バカなのか説明書読んでないだろ。学生服が破れたら、現実世界でも破れたままになるというのに。


 ボスはピラミッドの守護神であるスフィンクスだ。かなりの巨体であり、ゾウよりもおおきい。それに対し学生たちは複数方向からの一斉攻撃である。何も考えずただ数の暴力で押す作戦は愚行としか言えない。


 でもその愚行な特攻のおかげで、僕はスフィンクスの攻撃パターンを確認することが出来た。


 前足による爪での攻撃、踏みつぶし、そして回転による砂嵐の発生、尻尾による後方の広範囲攻撃。


 その1撃、1撃が初心者装備の冒険者には一撃必殺のものだった。あえなく、40人もいた人員がのこりわずか3名となっている。これでは戦局的に無理と判断したのか、逃げようとしている。


 それをスフィンクスはじゃれるように追いかけて一匹ずつ仕留めている。最後には、口から炎を出して、消滅させていた。


 学生たちがいた痕跡はなにもなくなっていた。死亡したため、ダンジョン入口に転送されたんだろう。しかも、どれも悲痛な叫びをあげての消滅だった。あれは正直自分では勘弁してほしいと思う。だれだって、ゲームの中でさえそこまでの苦痛に苛まれたくはないんだ。

 

 そのために、僕は武器と防具を今準備できるもので最高クラスまで用意した。これなら、一撃死はないだろう。そして、生物である以上かならず弱点は存在する。それをつけば、僕の勝ちだ。


 最後の人が追われている時に、僕はこっそりとスフィンクスの後ろを追いかけていたのだ。

初手の奇襲で最大限の効果を上げておきたい。ボスは、残り一人だと思っているから、最後の攻撃で必ず油断するはずなんだ。


 そして、スフィンクスが炎を吐いたときに僕は実行に移した。想定通り大技の炎を使っている。どうも一旦止まらないと、吐けないようだ。この機を僕は逃さない。


 鍵縄を使い、尻尾の付け根に引っ掻けスピードと振り子の原理で尻尾の根元までジャンプした。ボスが異変に気付いたようで、後ろを振り向こうとするが炎を吐いているためそれも出来ない。


 他の行動もどうやら出来なくなるようだ。その機を逃さずに僕はプラチナソードで尻尾を一閃した。このダンジョンのモンスターはどこぞのモンスターを狩るゲームのように、体力値以外にも部位破壊が可能である。


 その攻撃でスパッと尻尾を切り落とすことができた。うん、この1階のダンジョンならこれで十分いけるようだ。攻撃も効くなら、防御もそれなりに期待できる。


 スフィンクスは炎が吐き終って硬直が解けたようだ、痛みで身体が震えている。僕を落とそうと後ろ足だけでジャンプしている。


『ドスン』『ドスン』


落とされまいとして、剣をスフィンクスの尾てい骨に突き刺した。


『ギャイーーーー』


 あまりの痛みにスフィンクスが鳴き声を上げる。また、身体が小刻みに揺れる。僕は落とされまいと必死に剣にシガミ着く。だが、思ったより剣の切れ味が鋭すぎるようだ。


 小刻みにスフィンクスが揺れるたびに傷口が上下に広がっていく。このままでは、タイミングを計れずに、剣が外れて振り落とされてしまう。


 そんなことになれば、あの太くて重いスフィンクスの足の下敷きである。防御力がいくらあろうとも、体重の壁は乗り越えれれない。踏みつけられれば、身動きが取れなくなって、嬲り殺されてしまう。


 そんなのはごめんこうむる。小刻みに揺れる振動にタイミングを合わせ、両足をスフィンクスの尻にドロップキックをかました。その反動でプラチナソードを引っこ抜き、ムーンサルトばりに一回転しながら、剣を振り回す。名付けて、円月回転切り。


 大事な部分を切られたためか、『ギャイーーーー』っとまたもやスフィンクスが雄たけびを上げる。僕は急いで、スフィンクスから距離を取った。さっきは不意打ちで攻撃出来たが、スピードもがたいのでかさもあっちの方が上である。


 僕はスフィンクスがこっちを振り向こうとしているときに、リュックの中からある風船玉を取り出した。そして、スフィンクスがこっちを向き再び雄たけびを上げようと、大きく口を開けた隙をついて、その風船玉を口の中に放り投げた。


 あとは、スフィンクスの斜線状から逃げるため、横に走って逃げた。


「ぐしゃっ」


 どうやら風船玉を口の中で割ったようだ。比較的に柔らかい材質のものを使っているから、少し牙にあたったり、ちょっと唾液で溶けたりするだけで、すぐに中身が出てくる。僕特性の中身がね。


「プンギョ~~~~」


 おかしな鳴き声をするスフィンクスである。よっぽど、風船玉に入れた特性の唐辛子の粉末と、ワサビの粉、そして、お酢を混ぜて、ゼラチンで固形化したものが口にあったらしい。


 あまりの嬉しさか口を開け乍ら炎を吐き、砂地の上を転げまわっている。症状で言うと、混乱みたいなものかな。あの巨体がジタバタしているので、迂闊に近寄れない。離れて、また、スフィンクスの後方に回っていった。


 さてはて残りのボスの体力はいかがなものかな?ゲームなら体力バーが合ってそれを見ながら削れたりするんだけど、うん、どのくらい削れているかがサッパリわからないね。仕方ない、チマチマ削っていきますか、まずは機動力を奪って、相手の攻撃を封殺していく。


 僕は、スフィンクスがジタバタするのを収まった瞬間を狙って、後ろ足の一本目がけて駆けだした。まだこちらには相手は気付いていない。このまま足を削りきる。


 まずは左後方の足の健をプラチナソードで切る。うん、骨までは切れないがスフィンクスの筋肉くらいなら、すっぱりと切り裂ける。


 スフィンクスは『グァ~~ゴ~~』と叫び声を上げ、4本の脚のうち1本が使い物にならなくなり、重たい自重を支えることが出来なくなって、地面につっぷした。


 チャンスである。このまま一気に押し込むそう思ったときに、ソウルデバイスからカーテンコールが鳴り始めた。


『皆さま本日は真にご来店ありがとうございます。まもなく、当店は閉店します。21時50分になりましたら、強制的にダンジョン入口の受付ホールまで転移します。忘れ物、ドロップの取得、モンスターの討伐、転移ポインの登録などやり忘れたものがお急ぎ下さい。当店はまもなく閉店します。。。。。』


 どうやら、ダンジョンマート金沢支店のカーテンコールが鳴り始めたようだ。昨日の初日になったのは、21時30分だったから。もうあと20分程しかない。僕は、音がならないように設定することも出来たが、時間がわからない方が損失だと考え、設定していなかった。


 でも、正直助かった。もう少し、前に鳴っていたら、位置がボスに気取られて倒せないとこだったよ。でも、もうスフィンクスは後ろ足をやられて満足に動けないし、位置がばれたとしてもさほど問題もないだろう。僕は、最後の止めのために駆けだした。


 スフィンクスの前方からの攻撃ではまだ、動く前足の攻撃やスフィンクスの炎による攻撃が残っているため、危険すぎる。後方の後ろ足から、順に体力を削っていくことにした。


 少なくとも残り10分以内に倒さないとボスを仮に倒せたとしても、ドロップを拾う事も出来ずに強制転移させられてしまう。


「十の秘剣の一つ『無限円月連斬(アルティメットムーンサルト』」


 スフィンクスのお尻の上で剣を構え、無限の輪を描くように剣で切り刻み続けた。果たして、これで、どれだけのHPを削れているのか。


「うぎゃ~~」


 スフィンクスが吠える。ダメージは確かに通っているでも、どれだけ残り体力が残っているんだ。時間内に倒せ切るのか。迷っている時間がもう残っていない。


 僕は考えを切り替えた。チマチマボスの体力を削っている時間はもうない。残りは敵の急所に最大の一撃を叩き込み、一気に押し倒すしかない。そう決めたら。手元の道具を使って牽制をした。爆竹をライターで着火し。スフィンクスの足元に全部ばらまいた。


「バンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッ」


 けたたましい爆裂音があたりから鳴り響く。かなりの音で煩い。スフィンクスも右と左と音のする方向を首を振って何が起きているか確かめている。


 僕はスフィンクスの背中を駆け抜けて、首元にたどり着き、横から必殺の『菊一文字一閃きくいちもんじいっせん』を駆け抜けた勢いと、思いっきり腰を捻って、回転の力を加えた一撃をお見舞いした。


『ごきっ』という音と主に大量の血が溢れてきた。


「ぐわぁ~~」


 また、スフィンクスが吠える。まだ、生きているのかしぶといな。次は反対側の首から横から必殺の『菊一文字一閃きくいちもんじいっせん』を喰らわせる。


 剣が首の骨に当たった瞬間『ポキット』言う音を発て、スフィンクスは消滅した。僕は、足場のスフィンクスがイキナリ消えたので空中に放り出されて、地面の砂に落下した。


「いててっ、ギリギリ倒すことが出来た。」


 時間はまだあるのか?ソウルデバイスを見ると時刻は『21時47分だった』。まずい、急いでドロップ品を回収して、転移ポイントを目指さないと。


 あたりを見回すと大きな魂石と、綺麗な宝石が落ちていた。二つは離れて落ちている。ボスのサイズがでかかったため、消滅後のドロップの落ちる範囲が広かったのだ。


 よっと、立ち上がって、走り出し、先に宝石を回収する。次にまた、魂石に向かって走り出すが、足場が悪いのと、全力での戦闘を何度も行っていたのもあって、疲労により、こけてしまった。後、一歩で手が届いたのに。


「くそっ、間に合ってくれよ」


 僕は、はいずりながら、魂石の方へ寄っていく。時間を見てる余裕はなく、一刻でも早く魂石を手に入れる必用があった。試しに昨日実験していたら、ドロップ品は一定時間後に消えてなくなるのだ。今日閉店して翌日の開店まではかなりの時間がある。そう考えても消滅してしまうだろう。


 今回はなんとか、倒せたからいいとして、明日も一から倒そうとすると結構大変である。それに見合う報酬があるかないかで、戦闘するかが変わってくるのだ。是非とも確定で入手できる魂石を手に入れておきたかった。


 はいずって、ようやく、魂石を手に触れた瞬間、強制転移が開始されてしまった。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 気が付いたときは、となりに外国人の男性が隣にいた。


「大丈夫ですか?疲れてたみたいですので、道具にあったポーション勝手に使わせて頂きました。」


「ありがとうございます。疲労困憊で動けなかったので助かりました。」


「お疲れの所すみませんが、もう閉店時間をとっくに過ぎておりますので、今日の所はお家でゆっくりして下さい。」


「いえいえ、こちらこそ閉店時間過ぎてまでみてもらいありがとうございます。」


 僕は装備を解除して、ダンジョンマートを後にした。結局、ドロップした魂石を手に入れることが出来たのか?綺麗な宝石は何だったのか?確認することが出来ずにいた。なんかすんごくもやもやする。


 今日は気になってなれるか心配だな。もう22時30分か。終電には間に合うけど、流石に家に帰ってもみんな寝てるな。コンビニで適当に買って済ますか?いやいや、お小遣い少ないし、また、ビービー弾を補充しないと、範囲狩り出来ないからな。地味にダンジョンの入場料の500円が効いてくるな。


 結局帰ってから用意されている食事を冷めたまま一人で食べ、そのまま布団に入って寝てしまった。どうも、ぎりぎりの精神状態でやっていたため、精神的にも相当疲れていたようである。


「うん、良く寝た。」


 窓から、陽ざしが差している。今何時だ?スマホを見ると時間は10時22分だった。やっぱい寝過ごしてしまった。今日も朝から範囲狩りをする予定だったのだ。今から出かけると、12時を超えてしまう。


「母さん。なんで起こしてくれたなかったの?」


「タケル。母さんは何度も起こしましたよ。そのたびにあなたがまだ眠い。もうちょっと。もうちょっとって言っておきなかったじゃないですか。」


「うん、全然記憶ないや。母さん起きれなくてごめんね。今日もダンジョン行ってくる。時間ないし、もう行くよ。」


「タケル、サランラップにサンドイッチをクルンであるから持って行きなさい。それと水分はちゃんとしっかり飲みなさいよ。最近テレビで熱中症で垂れている人多いっていうからあなたも気をつけなさいね。」


「は~い、母さんいつもありがとうね。僕、今はなにも稼げてないけど、もうすぐしたら、母さんに楽させてあげられるからもうちょっと待っててね。じゃ~行ってきます。」


「ええ、期待して待っているわ。いってらしゃい。タケル、気を付けるのよ。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 ダンジョンマートに着くまでの間、母さんが用意してくれたサンドイッチを食べ、昨日のことをあれこれもやもやと考えていた。本来なら、この時間で今日のダンジョンの段取りを考える予定だったのが、起きるが遅かったことと、昨日のドロップ品が何だったのか気になってまともに考えられなかったんだ。


 ひとまず受付をして、ダンジョンの転送ポイントから、ダンジョン1階入り口に行った。着いたら、人気のいない場所にダッシュで移動し、システムの履歴からドロップ品の確認をした。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:12452』

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 えっ、昨日はボス戦前は『10452ポイントだったから』たった2000ポイントしか増えてないのかよ。1日12時間で14000ポイント稼げるから、1時間当たり、1100ポイント稼げる計算である。それが、2時間たらず、命がけの戦闘をしていたのにたった2000ポイントって、雑魚で範囲狩りをしてた方がよっぽど上手いじゃないか。


 いやいや、まだ本名は次の綺麗な宝石だ。さっきのは確定ドロップだからそんなに報酬としては魅力的ではないだろう。ドロップしたアイテムの名前は『スフィンクスの召喚石』だった。えっ、ボスって召喚出来るのめっちゃ強いじゃん。どうしよう多分これゲキレアドロップ品だよ。いくらぐらいするんだろう?


 いや、それよりもこれの効果次第だよね。効果次第では売るよりも自分で使った方が利益がでかいかもしれないし。アイテムを開いて詳細情報を確認した。


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『スフィンクスの召喚石』

・スフィンクスのボスを討伐したものに送られる栄誉ある召喚石


【効果】

・魂石ポイント2000を消費して、スフィンクスを呼び出すことができる。

・騎乗での移動可能

・レアドロップの確立上昇

・雄たけびによる範囲への瞬間的なマヒ状態を付与


『注意』:召喚はモンスター図鑑に討伐情報が載っているかたのみできます。


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 これはすごい性能である。レアドロップの確立上昇がどの程度かわからないがかなり低いハズである。それが仮に1%でも上昇したら、かなりのメリットになる。ただ、2000ポイントの消費はかなりでかい。さそり600匹分とか、ポイントでのメリットが少なすぎるぞ。


 ま~それもそうか、そもそもこのダンジョン1階は初心者用という話だし、召喚してもメリットは少ないだろう。こうなると成果を確認するためには、大阪か東京に行く必要がある。もっともダンジョンの階層が多いのは東京で現在15階層まである。金沢はオープンしてすぐのため、1階層しかないし。


 今日は範囲狩りに徹して、ポイントを貯めて、装備を買って、売却して現金を作ろう。そして、この夏を利用して、ダンジョンを徹底的に攻略してやる。


 その前にダンジョンのボスのリポップ時間を調べとかないとね。


 『スフィンクス召喚』


 2000ポイントは惜しいが、それでも現状確認しておきたいものである。さてはてどんなのが出るのかな?騎乗できるっていうし、馬かポニーみたいな可愛い奴かな!?



 現れたのは、やっぱりボスのサイズそのままってのはいかないな。大きさは大型犬みたいなものだった。いや、確かにこれなら、乗れるけどカッコよくはないよな。


「でも、これからお前が僕のパートナーだ宜しくなスフィンクス!!」


『キャーッ』


 うん、嬉しいのか頭を僕のお腹にこすりつけてくる。


「せっかく仲間になったんだから名前つけとかないとな。僕ってそんなに名前つけるの上手くないからな。

うん、スフィンクスのスフィだ。よろしくな。スフィ」


『キャーッ』


「気に入ってくれたみたいだな。早速乗せてもらうぞ。よっと」


『キュイーーッ』



「よし、スフィ。あっちの方にボスのスフィンクスがいるから向かってくれ。お前が見られるとややこしいいから、人がいる場所はなるべく避けてな。よし、行け!」



『キュイーーッ』


うん、スフィンクスに乗ったこともないし、馬にも乗ったことないけど、これはボスと戦うより怖いぞ。


4足歩行で、後足で蹴って、前足で着地するタイプの走り方なのか、結構上下運動が激しいぞ。というか、凄い気持ち悪いし、振り落とされそうだ。しっかりとスフィンクスの首に手を回し、足は、スフィンクスの胴体をきっちりと締め付けて振り落とされないような体勢をとった。さながら乗馬のジャッキーのようだ。



 しばらくすると、ボスがいた地点に着いたようだ。時間は13時45分だった。どうやら、まだリポップはしていないらしい。もしかしたら、他の冒険者が倒してしまったという可能性もあるが、とてもじゃないけど、あいつらの狩り方では、プラチナ装備までは手が届くはずがないから、倒せるはずはないだろう。


 としばらくすると、いきなりボスのスフィンクスが出現した。


「キェーーーーッ」


 僕はスフィにお願いして、その場から去ってもらった。準備も全然してないし、そもそもスフィがどれだけ戦えるかもわかっていないのだ。この場は撤退する。あくまでリポップにかかるおおよその時間を算出したかっただけだからね。


 リポップ時間は、昨日の21時47分討伐で、現在が13時47分か。だから差し引いて、16時間がボスのリポップ時間になるわけか。もしかしたら多少の前後はあるかもしれないが、これでは、ボスが狩を出来るのは良くて1日1回、下手すれば、2日に1回となるわけか。


 ボスを倒したら、転送ポイントへ行って、1階のクリア登録をしてしまいたかったが、流石に無理か。また、後で倒しにこよう。


 そうして、あって僕とスフィは誰もこないダンジョンの隅の方へ行って、徹底的に雑魚の範囲狩りを行っていた。正直、ここでスフィンクスは強すぎた。毒蛇もサソリもほぼ一撃で倒せるし、待機時間はあるものの炎のブレスも吐ける。

そして、その炎でも一発で敵を殲滅することが出来た。雑魚相手に体力を減らして、消滅することもなく、安全に範囲狩りをすることは僕にとっては凄いメリットだった。


 これはボス戦でも、スフィに相手の攻撃の囮役をやってもらい、僕が背後から強襲して倒すパターンは必勝となっていた。うん、2000ポイント消費しただけあって、反則気味に強かった。流石にボスをスフィ一人で倒すことは出来ないが、サポートがあれば、40分ほどで倒せてしまうのだった。


 今日の稼ぎをソウルデバイスで確認してみると、


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:29746』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 ざっと2万ポイント近く稼いだことになる。それもスフィの召喚ポイントを引いた後の額でだ。


僕らは、1週間ほどダンジョンマート金沢で雑魚の範囲狩りで改正で、1000ポイント相当の鉄の剣や鉄の鎧を複数購入して、『ダンジョンマートの交換掲示板in金沢』で販売内容を記載して、交換していた。


そうこうしているうちに現金は200万を軽く超えていた。しかし、金沢での新規登録者が増えるに連れて、雑魚の範囲狩りが出来なくなっていた。もう初心者同士でのモンスターの小競り合いが常習化していたのである。


 5日目のタイミングで、モンスターの数が増えていたので一時持ち直したが、それ以降は女性の探索者が急増した。どうも、オアシスでの水着を着てのニャンスタへの写真のアップや、ラクダでの遊覧散歩が人気のようだった。僕もそこに便乗し、案内役を買ってでて、いくらかの案内料をもらったりしていた。


 そこで、一番の売上になったのが水着や、携帯トイレ、浮輪、レジャーシートなどのアトラクションのグッズだった。これって結構魂石のポイントが高いのである。防御力もなく、見た目オンリーにもかかわらず、レジャーグッズは1000ポイント以上するし、水着に至っては3000~10000ポイントもするのだった。


 これに関しては現金での貸し出しは厳しかったので、女の人を雇ってレンタルサービスをして、格安で稼いだりしていたのだ。


 それもそろそろ限界である。

 

「なぁ、スフィそろそろ、金沢も手狭になってきたし、高層ダンジョンのある京都、大阪、東京を回ってみるか。軍資金はこの1週間でたんまり稼いだからな。」


「キュイーン」

と言って、頭を僕の胸にこすりつけてくる。


「そうか、お前もまだ見ぬモンスターたちと戦いたいか」


「キュイーン」



「スフィお前ってやつは最高だな。これから僕と一緒に色んなダンジョンを冒険しに行こう!!」


『キュイーーッ』



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 都会のダンジョンに行くと決めた以上、金沢のダンジョンマートに長居は無用。その日は、夕方で切り上げて家に帰った。父親も今日も定時で上がっているためか、夕食の時間帯には一緒に食べることが出来た。夕食が終わったときにそのことを両親に伝えた。



「父さん、母さん、僕明日から、京都のダンジョンに行ってくるよ。しばらくは戻ってこないけど。」



「なぁ、タケル。父さんは、しばらくタケルとは、タイミングが合ってなくて、話も出来てなかったんやけど。母さんからお前が足しげくダンジョンに通っているのは聞いている。そのことは、父さんはとても評価してるぞ。でもな、ダンジョンは遊びで合って仕事じゃないだろ。お前が金沢のダンジョンマートに行くには、お小遣いで行けたかもしれんが、京都に行くとなったら、特急代に電車賃、宿泊費に飲食代とお金がかかるやろ。流石にそれはお小遣いでは賄いきれんと持っているがそう考えているんや。」



 父さんは僕とあくまで対話で話し合おうとしている。無理やり出来ないだろうと決めかかって、押さえつけるのではなく、僕の考えを聞こうとしてくれている。父さんも母さんも高校中退した僕をここまで支えて好き勝手させてくれた。とても感謝している。だから、ここを無理やり突破して出て行きたくはない。



「父さん、お金なら心配ないよ。ちゃんとある。ここに卸した金額で30万ある。銀行には100万程は入っているよ。他にもまだまだ、ダンジョンで得たものを売却すれば資金には出来るし、心配しなくてもいいよ。この30万はひとまず、しばらく住んでた分の生活費として受け取って欲しいんだ。」



「なぁ、タケルお前変なバイトとかしてないよな。最近流行の『オレオレ詐欺』の受け子役とか。テレビでやっているけど、高額バイトらしいじゃないか。」


 ま~そうだよな。そう簡単に信じてもらえないよな。仕事もしたことない、バイトですら一度もしたことないからな。


「父さん。このお金はまっとうに稼いだお金なんだ。そんな変な人様に迷惑かけるような仕事なんて絶対にしないよ。信じてよ父さん。ほら、これ見て、僕が出品しているダンジョンのアイテムなんだ。落札して、振り込まれているのがわかるでしょ。」


と僕は、アイテムの取引の掲示板とメールを見せ、さらに該当する銀行の通帳のページを開いて見せた。ここはなんとか説得しないと、僕は親不孝ものではいたくない。


「母さんはそんなことしないってわかってるわ。ここ数日は朝早くに出かけて、夜遅くまで頑張っていたものね。お父さん、これは絶対にタケルがダンジョンで稼いできたお金なの信じて受け取ってあげて。」



「母さん大丈夫だよ。ここまで説得材料を綺麗に集めてもらって信じないなんてこと親である私が出来るはずがない。わかったよ。タケル。このお金はお前の働いた証だ。ありがたく受け取っておこう。」


「信じてくれるの父さん、母さん」



「ああ、明日から言ってくるんだな」


「うん」


「ちゃんと週に1度は連絡を入れるのよ。」


「うん」


「月に一度は顔を見せに帰っていらっしゃい。あんたの好物のウナギとお寿司を準備しておくから、帰る日はちゃんと連絡を入れるのよ」


「うん、わかったよ」


「ああ、タケルお前がダンジョンの冒険家で行くと決めてそこまで頑張っているのなら、父さんと母さんはお前を応援するよ。だから、こっちのことは気にせずに自分の可能性を試しに世界へ羽ばたいてこい!!」


「父さん大げさだよ。まだ、国内ぐらいしか、考えてないよ。でも、そうだね。いずれは世界へ、中国、アメリカ、フランスには、日本よりも大きくて深いダンジョンが沢山あるしね。きっといつかはそこへ行く。その時は、父さんと母さんも一緒に来てよね」


「父さんと母さんは行っても仕方ないだろう。だが夢は大きいほど努力のしがいもあるし、到達した時の達成感もあるからな。少年よ大志を抱け!!!。タケルよ、日本武尊ヤマトタケルノミコトにあやかって、大きく強くそして、大切な人を守れるようにつけた名前だ。その名に恥じぬように行ってこい!!」


「ああ、ありがとう父さん。」


 僕は、嬉しくて涙が出た。親元を離れるという悲しい涙ではない、高校中退した僕をここまで信じて応援してくれる両親の想いが嬉しくて嬉しくてたまらなかったんだ。



こうして、両親を説得出来た僕は、翌日京都のダンジョンマートに向けて出発した。


◆ ◆ ◆ ◆ 数年後 ◆ ◆ ◆ ◆


「パシャッ、パシャッ、パシャッ」


辺りからカメラのシャッター音が鳴り響き、フラッシュが何度も光った。


ここは、東京の取材会場だ。


「大和さん日本人で初の、ダンジョン30階層を単独クリアについて一言下さい。」


 そう、僕はあれから数年で、日本人でトップクラスの冒険者になって、日本中いや世界中から一目おかれる存在になったのだ。ダンジョンでの収益は1日もぐれば、もはや1千万は軽く超えた。それもこれも、数年前に、ダンジョンマート金沢店で、『スフィンクスの召喚石』をドロップしたのがでかかった。


 あの後、ネットで調べてみたら、通常のモンスターの召喚石のドロップ率さえ、0.01%程しかなかったのだ。ボスの召喚石ともなれば、さらにそれ以下である。召喚石は、通常のモンスターでさえ数百万もする。あの時売却していただけでも、一生遊んで暮らしていけたかもしれない。でも、僕はこれでダンジョンを冒険することを選んだんだ。

 

 結果的にいうと、『スフィンクスの召喚石』は大当たりだった。通常の召喚石も結構数がでたし、それの売却益で、遠征の費用を作ったりした。母さんにも心配させたので、父さんと一緒に世界一周旅行をプレゼントしたりして、親孝行させてもらっている。


 あの時、ダンジョンに潜ったことで僕の人生は一転したんだ。今ではボッチではなく、冒険者スクールを開校し、経営者となって、初心者の冒険者を育成したり、ダンジョン攻略ツアーを組み、一般人相手にサファリパークのようにダンジョンを相手に観光を楽しむプランを作ったりと順風満帆である。


 召喚石を手に入れ自信の付いた僕には、かねてから好きだった女の子と付き合っていて、もう相手の親にも公認の中である。えっ、彼女の名前を教えて欲しいって、彼女は一般人の女性なので、個人情報保護法の観点からお伝えするわけには行きませんて。一度2年前にテレビに映ってからは、スマホがひっきりなしにかかってくるようになっていた。


 小学校や中学時代に僕を虐めてたやつらからも、『俺たち親友だよな。一緒に冒険させてくれよ、なんなら超つえー武器を貸してくれるだけでもいいんだぜ!!』って連絡があったり、付き合いのなかった親戚からも、『お前儲かってるんだってな、今ちょっと事業で失敗しててな金貸してくれ』って連絡がひっきりなしにかかってきたりする。


 もうね、宝くじあたった人ってこういう感じなのかなってのが身に染みてわかりましたよ。スマホも2台持つようにして、知らない電話は留守番サービスで永久的にかけられないようにしておいた。それでもしつこく、自宅まで押し寄せてくれる人には、弁護士の先生をお呼びして正式な書面で取り交わし、担保と引き換えにアイテムやお金を貸すことにしている。


 そこまですると流石に誰も借りようなんて思わなかったな。新しく心の許せる仲間も出来てきて、彼女も出来て本当に順風満帆の人生になった。




「ごほん。僕は、高校を中退して、しばらくニート生活をしていました。仕事をせずにダンジョンに潜ってました。でも、ダンジョンには、学歴も容姿も成績も関係ありません。日本にいる誰もが僕の用にダンジョンで成功できる可能性があります。


 みなさん、あきらめずにまずは一歩を踏み出してみましょう。一歩踏み出せさえすればそこには大きな成功が待っています。辛い事もあります。めげそうなこともあります。でも、踏み出して進んだ先にはなにもにも得られない達成感がそこにあります。


 さぁ、若人よ。ダンジョンに入って冒険しよう。」



◆ ◆ ◆ ◆  完 ◆ ◆ ◆ ◆


ご愛読ありがとうございました。

こちらは『吸血鬼のニートが始めるダンジョン経営』のアナザー作品です。世界観をみるために一緒にダンジョンを作ってみませんか?


この作品は『吸血鬼のニートが始めるダンジョン経営』をベースに作成されています。是非一度そちらも読んで頂けると一層の理解ができると思います。

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