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織田家家臣団集合


 俺の名は岩原いわはら新之助しんのすけ


 ここは美濃にある岐阜城の広間!


 突然だが、織田家のイカれた……失礼。


 イカした家臣かしんを紹介しよう!


 おっと、順番は不問、敬称は省略させてもらいます。


 あと、いみなで呼ばれても怒らないように。


 では、いきますよ!



 池田勝三郎!


 忠臣とは彼のためにあるような言葉!


 上総介殿の乳兄弟ちきょうだいでもある彼は、上総介殿が心を許す数少ない男!


 おっと、いきなりですが、残念ながら本日は欠席となります!



 丹羽にわ五郎左衛門尉ごろうざえもんのじょう


 文武に優れた織田家の屋台骨!


 戦となれば、攻めも守りも万全!


 築城だってやるぞ!


 ……あ、欠席ですか。


 そうですか。



 滝川たきがわ一益(かずます)


 いつから家臣になったのか謎!


 だけど、前田家と関係良好!


 甲賀こうがの忍者の一門との噂もあるが、真偽は不明!


 ……欠席ですね。


 わかってます。



 柴田権六(ごんろく)


 前へ前へ進め!


 織田家の猛将といえば彼!


 織田家の戦に大半に名を残す!


 だけど、田楽はざまの戦いではどこにいたのかな?


 はい、欠席ですね。


 知ってます。



 四人紹介したところで上総介殿に止められた。


「岩原よ。

 いる者だけ紹介するように」


 そうなると俺だけになるのですが。


「……ワシ、ちゃんと連絡したよな」


 はい、してました。


「上洛するから戦の準備をして岐阜城に集まれって」


 ええ、その場で三回繰り返してました。


 翌日にも同じように。


「日時、間違えたか?」


 だったら、俺もいませんよ。


「だよな。

 よかったよ、岩原がいて。

 でなければ、ワシが間違えたかと思って帰ってたもん」


 あははは。


「で、家臣たちの欠席理由は?

 さすがに理由もなしじゃないよな?」


 えーっと、はい、ちゃんと欠席理由が届いています。


 まず、池田殿ですが……アニメのマラソン中だそうです。


「……」


 アニメのマラソン中です。


「聞こえてる。

 つまり、勝三郎はワシの命令よりもアニメを取ったということか」


 そのようです。


「許さん!

 その首、叩き落としてくれる!」


 お待ちください上総介殿。


 アニメですよアニメ。


 これまで漫画か、漫画の聞き語りだったのが、DVDの再生機を持った未来人が来たのです。


 これまで再生機がなくて役に立たなかったDVDが全て観れるようになったのです!


 これは観るでしょう。


 誰だって観る。


 俺だって観たい。


「ワシも観たいわ!

 だが、上洛を前に我慢しているんだ!

 勝三郎だけ楽しむなど……」


 観ているアニメですが、銀●英雄伝説のようです。


「まさか……旧版か?」


 そのようで。


「ならば仕方があるまい。

 許そう。

 あれはいいものだ」


 時間泥棒ですけどね。



 えーっと、続いて丹羽殿の欠席理由ですが……ドラマの撮影中だそうです。


「……」


 ドラマの撮影中です。


「聞こえておる。

 え?

 なに?

 あいつ、いつの間にか俳優になってたの?」


 未来人の監督にスカウトされたそうです。


「だとしてもだ。

 ワシの命令のほうが優先されるべきじゃないのか?」


 スケジュールでは、三日前にクランクアップの予定だったのですが、ちょっと遅れていまして。


 なんでも、雲待ちだそうで。


「雲待ち?

 雲が求める形になるまで待っているということか?」


 そのようです。


「CGで処理はできんのか?

 撮影期間を伸ばすよりも、予算が削減できるであろう」


 そのあたりは監督のこだわりですから。


「ぐぬぬ……」


 と、とりあえず、撮影が終わり次第、急いでこっちに向かうとのことです。


「上洛って、次の番組みたいなノリで参加するもんじゃないと思うんだけどな!

 あと、なぜワシに話がんのだ!」


 話って、俳優の?


 いや、上総介殿を使うとなれば、それなりの役にしないと駄目でしょうから……


「脇でもいろいろあるだろう。

 敵のボスとか」


 そのあたりは、ベテランに任せないと締まりませんよ。


 一応、上総介殿が参加してもいいぞーと言ってたみたいな感じに、ふんわりと希望を出しておきます。


「セリフがなくてもかまわないと注釈ちゅうしゃくを頼む」


 承知しました。



 えっと……次は滝川殿ですね。


 滝川殿は、か●はめ波の修行中だそうです。


「あいつ、少し前まで影●身と螺●丸の修行をするって言ってなかったか?」


 そっちは習得できたそうです。


「え!

 できたの!

 見たい!」


 俺、見せてもらいましたよ。


 いやー、人間って凄いって思いましたよ。


「いいなー。

 って、修行ならここでもできるだろう。

 なぜ来ない?」


 九尾きゅうびきつねを探すついでの修行だそうで。


「それ、見つけたら見つけたで大問題じゃないか?」


 見つからないことをいのりましょう。



「で、次は権六か」


 はい、柴田殿は愛妻と喧嘩けんか中で、いま家を離れたら戻れなくなるので出かけられないそうです。


「夫婦喧嘩はよくないが、平和な内容でよかった」


 ですね。


「とりあえず、奥方にはワシから手紙を書こう。

 これで明日には権六も来れるであろう。

 場所はどこだ?

 尾張か?」


 上総介殿が岐阜の城下に移住しろって言ったから、岐阜ですよ。


「城下にいるなら、こっちに顔を出せよ!」


 いや、だから家から離れられないんでしょ?


 わかりますよ。


 柴田殿の奥さん、怖いもん。


「ええい、手紙は止めだ。

 ワシが直接行く!」


 頑張ってください。


「ふんっ。

 ほかにも欠席者はいるが……やはり、それなりの理由があるのだろう」


 ですね。


 あ、俺のあるじ覚慶かくけいとの連絡役として、一足先に関ケ原に向かっている。


 サボりではない。


「とりあえず、岩原」


 なんでしょう?


「出発は延期する」


 それしかないですよね。


「それでな、岩原」


 はい。


「十日やるから、全員集めて来い」


 十日?


 全員を?


 さすがに無茶ですよー。


「ワシの代理の書状も持たせる。

 自動車、汽車きしゃ、飛行機の使用も許可する

 生死は問わん。

 連れて来い」


 ……やばい。


 上総介殿、本気だ。




 十日後。


 頑張った。


 俺、超頑張った。


 そして集まった織田家家臣団。


 精強な顔ぶれだ。


 ところで上総介殿。


 なぜ俺が副将の立ち位置なんでしょう?


 家臣団からの視線が痛いのですが?


 ほら、家臣団がひそひそと話して……あ、池田殿が手を上げた。


 代表して上総介殿に意見を言うようだ。


「なんだ?

 言ってみろ」


 上総介殿が池田殿をにらむが、池田殿はひるまない。


 さすが乳兄弟。


「争いはなにも生みません。

 上洛なんてめにしましょう」


 ……


 上総介殿は暴れた。


 家臣団を相手に暴れた。


 一番、上洛に不本意なのは上総介殿だからなぁ。


 まあ、上司が嫌がっているのを感じ取れる、優秀な部下ということで。


 うんうん。


 あと、俺の副将ポジションに文句はないのですか?


 ははは。


 押しつけないでください。


 冗談じゃないですよ。


 ええ、冗談ではありません。


 お願いですから誰か代わって!






乳兄弟       同じ乳で育てられた兄弟。信長の乳母うばが池田勝三郎の母親。


旧版の銀●英雄伝説 名作。時間泥棒。(キ●ヒアイスとロ●エンタールとヤ●で)三回は泣く。



勝三郎  「殿…………天下を手にお入れください……」

信長   「勝三郎……」

勝三郎  「それと、お市さまにお伝えください。勝三郎は昔の誓いを守ったと……」

信長   「駄目だ。それは自分の口で……って、アニメ再現に巻き込むなぁ!」




森、佐久間、河尻、武井、佐々、前田、木下「出番、カットされた……」




食事シーンが入れられなかった……反省。

次回は頑張る。

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