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第40話「女子寮食堂にて」

「ぷ、ぷくくくく……アキラ様の聖水で迎撃されるだなんてそんな……面白すぎて……は、腹が捩れて痛いですわ……流石はソラさんと言ったところですわね」

「ぐぬぬぬぬ……ぬれスケのアキラお姉様を見れば穂乃さんだって同じ行動をしたに決まっています……」

「茶が美味い……」

「アキラさん止めた方がいいかと……」

 その後、俺が元の服に着替え終わったところでソラさんも復活し、トキさん含めた三人で討伐班の女子寮食堂へと夕食を摂るために移動、そこへ毎度の様に穂乃さんたちがやって来て……いや、開発班の女子達なんかも来てるか。

 とにかく色んな班の女子たちが集まって簡易の女子会みたいな状況に現在なっています。

 下着の話なんかも普通に出ていて中身男の俺としては微妙に居心地が悪いです。


「それで修行の為にアキラさんがああいう姿になっていたのは分かりましたけど、清めの儀式はともかく塩分けの儀と言う儀式にはどういう意味が有るんですか?」

 と、ここでトキさんが話題を切り替えようとして俺に話を振ってくる。

 そう言えば二人に説明する際に清めの儀式や塩分けの儀と言う名前は出したけど、具体的な効果までは言ってなかったか。

 うん。イースからの受け売りだけど話しておくか。


「塩分けの儀はジャポテラスの儀式で近い物を上げるなら収穫祭に近い物だな。塩と言う命の源を神と人で分け合う事でただの塩に留まらない力を付与する儀式なんだよ」

「ふむふむ」

「で、塩分けの儀では四種類の量が異なる塩が出来るわけだけどその用途はそれぞれ別の物になる」

 俺の周りに居る人たちはいつの間にか真剣に耳を傾けて俺の話を聞いている。

 まあそれはさておいて、塩分けの儀で得られる四種類の塩の効果はイース曰くこんな感じらしい。

 まず一番量が多い塩が捧げ塩と言い、その名の通り神に直接捧げるか、神に捧げるための食べ物を作る際に使われる塩で、祝いの席で振る舞われることで神と人の繋がりを強くするらしい。

 次に量が多い塩は祓い塩と言い、こちらはモンスターを含めた邪悪なものに神力を込めながら振り掛けることによって攻撃することが出来るらしい。相手が邪霊や悪霊の様に実体を持たないものだと特に効果が高いとか。

 三つ目が守り塩と言い、こちらは家屋などの建物の四隅に置くことによってその建物の中に良くないものが入り込もうとするのを防ぐらしい。確かジャポテラスでも盛り塩とか言う似たような物が有ったかな。

 四つ目が清め塩と言い、これは飲食物に混ぜて使う物で、混ぜた物を食べることによって体内にある良くないものや、程度の低いものなら憑りついている悪霊なども祓えるらしい。

 なお、余談ではあるが祓い塩は相手が巨大な場合はかけるより食わせた方がいいのだとか。まあ、そんな巨大なモンスターは滅多に居ないから話さないけど。


「なるほど。それで今はその捧げ塩と言うものを使って塩漬けを作っているんですね」

「そ、尤も完成するのは早くても一週間ぐらい先になるけど」

「それは楽しみですね」

 と、ここまで話が進んで一区切りがついたと判断されたところで俺の周りに居る人たちから順に話が広まっていく。


「一週間後かぁ……どうせなら特務班の活動開始祝いとかに食べたいですよねぇ」

「それは良いですわねぇ……是非とも参加したいですわぁ」

「アキラ様が造った塩漬けですかぁ」

「事前に言ってくれれば糧秣班は食堂を開放しても良いし、料理も作っておくよ」

「祝い事だし人も料理も多い方が良いよな」

「それならウチの実家からちょっとお酒を持ってこようか?」

「書類班の子も誘ってもいいよね」

「どうせなら新人たちの歓迎会にしちゃおっか」

「いいねぇそれ」

「アキラ様ファンクラブの勧誘やっていい?」

「それはむしろ新人の方が中心じゃない?」

「てかさ、ここまでやるなら長官とか各班の総班長にも話を通しておいた方が良くない?」

「じゃあ、明日辺りにでもウチの総班長から他の総班長に話を通しておいてもらおうか」

「「「よろしくー」」」

 その速度は凄まじく、いつの間にか完全に俺の手から離れた所で話が進むようになり、終いには治安維持機構の女子全員で女子の新人たちを歓迎するための場を開くような話になっている。

 ……。うん。こうなったらもう俺には止められないな。


「ところで一つ気になったんですけど……」

「ん?」

 と、ここで俺と同じように周囲の状況について行けてなさそうなトキさんから俺に声が掛けられる。


「塩分けの儀も捧げ塩を使って作った食べ物もグレイシアンの神様に関わる物ですよね。果たしてそれを食べても怒られないんでしょうか?」

「あー、言われてみれば確かに……(どうなんだ?イース)」

 トキさんの疑問は尤もだったので、そこら辺どうなのかを俺はイースに確認する。


『我としては問題ないな。グレイシアンの神はヒムロノユミル様を筆頭にそれが共有できる喜ばしい事なら、信仰している神も国も関係なしに喜び、楽しくやるべきだと考えていた。問題はスサノオ様たちがどう思うかだが……たぶん大丈夫だと思うが、我が判断していいことではないし、今夜にでも確認しておこう』

「(分かった。よろしく頼む)」

「どうでしたか?」

「イース曰くグレイシアン側としては問題ないそうだ。後、近い内にスサノオ様にも聞いてみるってさ」

「そうですか。ならたぶん大丈夫ですね」

 で、イースに確認した所グレイシアン側として特に問題ないらしい。

 まあ、グレイシアン側と言っても以前聞いた話通りならイース以外はもう居ないのかもしれないが。

 後はスサノオ様たちジャポテラス側の神だけど……まあ、きちんと話を通してお供え物もすれば許してもらえる気がする。

 違う国の神だったイースを難なく受け入れる様な国だし。


「なンか盛り上がってンなぁ……」

「な、茉波!?アンタ何でここに居んのよ!!」

「ここ女子寮よ!何を考えてんのよ!!」

「ん?」

「茉波さんのようですね」

 と、ここで周囲の雰囲気がいきなり変わったので、騒ぎの中心の方に目をやると片手で鞄を提げた茉波さんが俺たちの方に向かっているのが見えた。


「ちょっくら特務班の御姫様に用事があってね。ほいっと」

「っ!?な、なんだこれ?結構重いぞ」

 そして俺の近くにまで来た茉波さんは俺に向かって鞄のような物を投げ、俺はその重量に驚きつつも受け取り、中身を改める。

 中に入っていたのは……分厚い本に工具一式?


「いやさ。バイクを特務班にやるのは良いんだが、いざって言う時の応急処置ぐらいは出来ないと困るだろ。と言うわけで一通りのマニュアルと工具な」

「へ、へー……(イース?)」

『何だアキラ?』

「じゃ、俺は帰るな」

 茉波さんは渡す物は渡したと言わんばかりに俺たちに背を向けると、主に開発班の女子から非難の声を向けられつつ女子寮の食堂を後にした。

 で、俺はその間に『バイクマニュアル』と書かれた本の中身を軽く見てみたのだが……うん。


「(オレ、分カラナイ。コノ本。お願いします読んでください……)」

『何故最初カタコトなのかは分からないが、まあ我の方が興味も有るし読ませてもらおう』

「(ありがとうございます!)」

 まったく分からないのでイースに丸投げすることにした。

 いや本当にこういう時のイース様々である。


 その後、イースがスサノオ様に確認した所、新人歓迎女子会の許可は難なく下りた。

 やっぱりジャポテラスの神はお祭りなら大小問わず好きらしい。

薄々感付かれているいらっしゃる方もいるでしょうが、アキラちゃんは割とお馬鹿です。

てか頭いいなら最初から見回り班じゃなくて討伐班に居るっての!


08/07誤字訂正

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