唐突なる変化
前回の軽いあらすじ!
守護獣が暴走!上空にいる相手をどうやって引きずり下ろす?答えは皆で力を合わせて叩き落とす!
つまりはパワー!力!暴力!暴力は全てを解決するのだー!フーッハッハッハッハッハ!!
「我等が王?なにをそんなにニヤニヤしているのだい?」
「ん?あ、あぁー……ちょっと妄想してただけ。そんでお帰り、八雲」
「あぁ、戻ったとも!マーちゃんは思う存分動けた事に満足したらしくてねぇ。さっきの大岩を投げた後、すぐに私に主導権を返したのさ」
はい、軽い茶番は捨てといて。
マーちゃんが投げた大岩はモビーディックに直撃し、それをもろに食らったモビーディックは現在、力なく地面へと向かって落ちてきている最中だ。俺含むプレイヤーの皆々様は、モビーディックが落ちてきた瞬間にボッコボコにしてやろうと、各々の得物を構えて、眼をギラつかせながら待機している状況だ。
餌待ち状態の肉食動物かな??
「やりましたねぇ、お義父さん!あの技はなんですか!?合わせ技ですか!?面白そうなので、やり方を教えてください!私一人でも出来るようになりたいです!」
「盟友!なんだあの技は!合体技とはロマンがあるじゃないか!今度俺達の必殺技作りの時にも手伝え盟友!」
「はいはい、詳しい内容は後で!今は…!」
さっき別れた二人に、すごい勢いで質問攻めされた。嬉しいけど、今はそれより大事な事があるんじゃーねーのかなぁ!!
ズ ズーン!!
突然鳴り響く地響きと轟音。その正体は、マーちゃんの攻撃でダウンしたモビーディックが、ついに大地へと堕ちた音だった。
「今だ!総員、殺せぇーーーーーーー!!!」
『おおおおおおおおおおおお!!!!』
と同時に、さっきまで待機していたプレイヤー達が、我先にと、ダウン中のモビーディックに向かって突撃していき、攻撃を食らわせていた。
おぉ、さっきまでの微妙な削れ具合が嘘のように効いている!状態異常の効果とかも一緒に入ってるからかな?みるみるうちに体力が削れていくぜ!
「我等も続くぞー!」
「おー!」
『HAHA!!It's FURUBOCCO time!!!』
と言い出して、うちの妖怪連中も駆け出していった。うんうん、彼等も自主的に動いてくれて嬉しい……待てよ?
「……モビーディックって、守護獣だよな」
「ん?そう聞いているぞ!」
「そうですねぇ。それがどうかしましたかぁ?」
「……レベル、高いよね?」
「……ふむ、国の守護という使命を課せられてるという事を考えたら、高い感じはするな!」
「かもですねぇ~?それがどうし………はっ」
突然浮上してきた疑問を解消すべく、二人に問いてみた。で、ダイノキングの考えに、少し思いついたのが……。
「……もしかして、モビーディックに限らず守護獣って………『レベリングに最適』なのでは…?」
基本、どのゲームも自分よりレベルが高い相手を倒したら、ちょっと多めに経験値が貰える。んで、今戦ってるモビーディックなんかは、レイドバトルを行うくらいにHPが高いし、攻撃力が半端ない。
つまり、レベルが俺等よりかーなり高いのは確かだから………。
「お義父さんの言いたい事が分かりました。モビーディックを倒せば、ちょっとどころじゃない、大量の経験値を獲得する事が出来るはず!という事ですね!」
「そういう事!だから……急いで攻撃にしに行かねば!!」
「成程、理解したぞ盟友!しかし同時に、貴様がその疑問を解消するために足を止めた事で、俺等の分の取り分が減りつつあることに気づいたから怒るぞ盟友ぅ!!」
「ごめんってぇ!!」
マジでごめん!あとで色々素材上げるから!今は俺に文句言うより、急いでモビーディックの所に―――!
『ブオオオオオオ!!!』
おぉ、吠えた!?まだなんかあるのかって………お、おい待て?ちょ、おい!?
「な、なんか……大きくなっていってない?」
「ぜ、全員退却!退却ー!!」
「ふざけんなそんな話聞いてねぇぞー!!?」
HPが半分くらいまで来たところで、変化が訪れた。
突如、モビーディックが元々大きかった体を、さらに巨大化させやがった!!おいふざけんな的はデカくなったけど、その分攻撃力とか攻撃範囲が広くなった奴じゃねーか!!!その上そのまま上から攻撃仕掛けてくるパターンのやつじゃねーか!ふざけんな!?
「おぉ!デカくなりがやがったぜ!燃えてきたぜこの野郎!」
「馬鹿猫に同意するのは癪だけど、僕もだよ。もう少し楽しめそうだね!」
「うおぉー!やってやるっすー!」
あ、でも皆やる気満々だね……なら、こっちも存分にやってやろうじゃないか!
「フハハハハハ!成程、こう来たか!このまま終わりを迎えるかと思ってたが、杞憂だったみたいだな!」
「よーし、やってやりましょ~!」
二人もやる気十分みたいです。んじゃ、勢いこのままで、さっきとは違う作戦を――――
「よーい、撃ぇー!!」
ドォーンッ!
…ん?今なんか聞こえたような………
ヒュルルルルル…
………いや、気のせいじゃない。何か来る!?
ズドォォォン!!
『ブオオオオオオオ!!?』
「「「んん!?」」」
な、なんだ!?急にモビーディックが爆発したぞ!?でも、奴の特殊能力って訳じゃないみたいだな…本人、てか本鯨が驚いてるし。
だとしたら、誰がやった?
『フハハハハハハー!どうだ見たか!我等が開発した【モンス・バズーカ】の威力はー!すごいだろー!!』
『正確に言うと、俺が作ったんだけどなぁ…』
『黙りなさい。貴様の功績は全てお嬢様の功績です。分かったらさっさと働きなさいこの愚か者め』
『本当に酷い!俺泣いちゃうよ!?』
おや?どこからかスピーカー越しに声が……後ろから?ってなんじゃありゃ!?
『フハハハハハ!愚民共がざわめいておる!流石は我だな!』
『あぁ、お嬢様!素敵です!』
『だから俺が頑張って……分かった、分かりましたから睨むのをやめてくださーい』
後ろを振り返ってみれば……怪獣がいた。正確に言うなら、怪獣の姿をした40mサイズのロボットがいた。このゲームあんなのも作れるの!?
見た目は、怪獣と言われたら真っ先に思いつくような、恐竜みたいなタイプの奴だ。それを紅いロボットにした感じと言えば伝わってくるだろう。武装として、頭には二本の角、両腕に籠手みたいな感じでバズーカがあって、背中にジェットパック、尻尾はチェーンソーみたいな形となっている。
正直言って、俺の中の小学生が目をキラッキラにさせてる。うおお沈まれ俺…!俺が好きなのは妖怪だろーがぁ……!!
『聞けぃ愚民共!』
誰が愚民だおいコラ!?
突然の罵倒にびっくりしてたら、いつの間にかロボット怪獣の頭の上に、3人くらいの男女が、俺達を見下ろしていた。
一人は貴族みたいな黒のドレスを、一人はモダンなメイド服を、一人は如何にも科学者って感じの白衣とか、機械を背負っていた。
「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!我が名はソドム!」
「ソドム様の従者、ブルークイーン!」
「科学者のエーアでござーぃ。そんで、俺が開発した機械獣、その名も『アルティロード』でござーぃ」
『GARORORORORORORO!!』
「我等、天下無敵の『ウルトモンス団』!!守護獣モビーディック!貴様を我等の下僕としてやろう!」
……登場早々、キャラ濃すぎない!?
久々の更新です。そしてまだ亀更新になります。ご迷惑をおかけします。次回はなるべく早く更新出来るよう頑張ります…!!