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食欲の秋ですね!!!!!!! Part2

「おぉ、本当にやってるね!」

「ひ、人がい、いっぱい……!きゅうぅ…」

「おっと、大丈夫かい?盟友。無理はするものじゃないぞ」

「あれ、いつの間にか盟友扱いしてるな。蛇同士だから?」


トラベル名物の噴水から、西に向かって少し歩いた先。

そこでは、数多くの人々が、出店を開いて商売をしていた。肉の焼ける香ばしい匂いとか、ソースが焦げる匂いとか、もう嗅いでるだけでお腹が空いてくるなこれ……!


『肉ん焼くっ匂いがないとも美味そうじゃらせんか!』

『……今更なんだが、天使がmeatを食べてもいいのか?』

『祭りを楽しまん方が、逆に神様に怒らるっわ。なに、たもっことへん感謝を忘れんにゃよかだけじゃ』

『ふむ、天使にしてはまともな事を言う』

『喧嘩なら買いとっど?お?』

「もー、二人共!楽しみなのはいいんすけど、祭りで喧嘩はご法度っすよ!!」


アシュラとおトヨさんのやりとり(漫才)を横目にしつつ、俺達は祭り会場の中を散策する事に。


ゲーム時間内では夜だけれど、赤い提灯が明るく光っているから、暗さはそんなに気にならないな。あぁ、にしても良い香りがあちこちから……!


「じゃ、私は仮面セイバ―1号と回るから!」

「では、また会おう!」

「あ、お、おおお疲れさまでした……!」


ここで、二人と二人の連れてる天使が分かれた。うん、まぁ祭りデートって定番だもんね。こういう時には、二人っきりで楽しまないとだよね。


「よし、じゃあお米、ヨル巫女ちゃん。今日はいっぱい楽し……おい、米はどこ行った?」

「ふえ?」


……おい、アイツいないんだけど。どこ行きやがった?


ピコン!


ん?何故このタイミングでチャットが?どれどれ…は?おい、おま、はぁ!??!



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イナバ:想像以上に飯屋が多いから、悪いが俺だけ先に行って食べ進んでいく!お前は神無ちゃんのエスコートよろ!

コウヅキ:おいちょっと待てや

イナバ:実質デートだね!!報告、期待して待ってるぞ!!!

コウヅキ:おい待て、こっち来い

コウヅキ:おい反応しろ

コウヅキ:おい、なぁおい

コウヅキ:不在着信

コウヅキ:不在着信



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「…………」

「ど、どうしましたかぁ…?」

「……デートすっか、ヨル巫女ちゃん!」

「は、はい!………え?ええぇ!!?」


はい、てことで急遽始まりました、俺と愉快な妖怪達+ヨル巫女ちゃんとのデート。稲葉はいつか殺す。主にアイツの作って来た弁当を強奪して、目の前で全部食いきって、「味付けが全体的に濃くてダレそうになる。やり直し」って言ってやる。


で、デートと言われて顔を真っ赤にしているヨル巫女ちゃんは可愛いね。俺が妖怪好きじゃなかったら勢いで告ってたかもしんないね!


まぁ、俺は人に関して、可愛いとか綺麗とかっていう感性はちゃんとあるけど、告ったり結婚しようってなったりはしないけどね!ねー!!

するとしたら妖怪の女の子くらいじゃ!!多分、見た目が異形でも妖怪だったら全力肯定botになる自信があるぞ!相手が男だろうが女だろうが関係なく、妖怪に好きと言われたらそうなる自信がある!!


何かを好きになるって、そういう事だと俺は思っている!!異論なんて認めねぇ!認めさせねぇ!!の精神でお送りします。


「おやおや?我等が王よ、女の子を誘ってでぇととは、中々チョベリグな事をするじゃないかぁ♪これは、MT5(マジで付き合う5秒前)ってヤツだねぇ!」

「……八雲」

「ん?なんだい?」

「今日のご飯抜き」

「っひぃ!?」

「か、可哀想ですよぉ!?」


ただし、それはそれとしてしっかりと怒ったりはする。好きに盲目はいくない事だ。


だからヨル巫女ちゃん。冗談だから安心して、ただの照れ隠しみたいなもんだから。自分で言うのも変だけど、兎に角これはアレよ、仲の良い友人同士だからこそ出来る漫才みたいなもんだから。


だからその握りこぶしを解いてください。そうやって暴力で解決しようとするの、良くないと俺は思いまぁす!!


「おとーさんおとーさん!あれたべたい!」

「にゃう!にゃーん!」

「ん?」


世海とすこちゃん様が、同時に指した場所にある屋台は……あれは、焼きそばか。いいよね焼きそば。お祭りの焼きそばって、何故か普段家で食べる時とか、店で食べる時とかと比べて、何故か数倍美味しく感じるらしいしね。


「よし、買おう!他の皆はどう……」

「こっちの方が絶対うめぇに決まってるだろうがよ…!」

「いいや、あっちの方が断然美味しいに決まっているよ」


……火炎はたこ焼き、冬華はかき氷を所望ね。了解。


「シロカネ姐さんは?」

「………」

「…姐さん?」

「ハッ!?な、なんか言ったか!?ああ別に俺は何でもいいぞ!」

「……わたあめ食べたいんだ」

「うぐっ」


さっきから何をジーっと見つめているのかと思えば、わたあめ、それもピンク色でハート型のわたあめを見ていたよ。俺と会話してる時も、ずっとそればっかり見てるし。

……もしかしてコガネ兄さんも、可愛い物好きだったりするのか?あ、それはそれで脳がバグりそうというか焼かれそうでアババババババ。


……オーケー、ちょっと落ち着いた。


「じゃあはい、皆にお小遣いあげるからね。自分で好きなの買っていいし、遊んでいいからねー」

「おぉ、太っ腹っすね!!」

「お祭りというのは、ついつい財布の紐が緩くなってしまうものなのよ」


全員にお金を渡して、解散させた。勿論、グループ行動は絶対としてね。


で、残ったのは俺とヨル巫女ちゃん、八雲にすこちゃん様と世海、そしてアシュラだけになった。


「行かなくていいの?」

『Lordと共にいる方がいいのでね』

「し、慕われてますね……!」


うーん、なんだか少し恥ずかしい気がしなくもないが、悪い気もしないな!


「さて、じゃあおっちゃん。焼きそばプリーズ」

「あいよぉ!」


取り合えず、人数分の焼きそばを購入して、全員に渡す。あ、世海とすこちゃん様は、一つの焼きそばを一緒に食べてねー。多分それで足りる……と勝手に思ってるから。足りなかったら遠慮なく言っていいから。


勿論、ヨル巫女ちゃんの分も買って、彼女に渡す。


「え、わ、私の分は私が……!」

「いーのいーの、こういう時は素直に甘えるのが一番なんだぜ?」

「…あ、あああ、ありがとうございます……!」

「いえいえ~。それじゃ早速」


貰った焼きそばのパッケージの蓋を開くと、ソースの匂いがガツンとやって来る。いいなぁこれ……匂いで分かるこれ絶対旨いやつ…!


じゃ、いただきまーす!


焼きそばを啜り、堪能する。

うんうん、ソースの味もいいし、野菜や肉の味付けも申し分なし。青のりもいい風味になってるし、紅ショウガの味変も中々美味しい。


つまり、最高!

…いかん、妖怪に関しての語彙力なら豊富といえば豊富なのに、それ以外の事の感想とかになると、一気に語彙力がゴミカスになる。


でも、美味しいのは事実だから!本当にこれ美味しいからね!!?


「おぉ!美味しいねぇこれ!我等が王よ、こんな美味しいものを食べるのは初めてだよ!」

『おぉ、このnoodlesは面白い味をしている!魔界でもこんなfoodは無かったぜ!』

「おいしー!」

「にゃーん!」


ほら、皆もこう言ってるし!俺の言い方がバカすぎるだけで、美味しいのは事実だからね!!!


「ほ、ほいひい……!」


……あの、ヨル巫女ちゃん。思った以上に豪快にがっつくね?頬袋パンパンじゃん?可愛いけどもさ。


「まぁ、美味しいのが悪いわな!よし、じゃあ次の屋台目指してレッツゴー!」

「おー!」


さて、次の屋台はどーしよっかなー!!!

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