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学校での新イベント

「ヤホヤッホー」

「殺す」

「開幕から物騒だね」

「怖いねぇ君たちの友情」


学校への通学路にて、俺は稲葉と石森、熊川と戯れていた。稲葉の機嫌が悪いのは、見捨てたからだろうな。だって俺、お前の姉さんに会いたくねぇもん。色んな意味で怖いからなぁ、あの人。


「そういや、今日イベント情報あるって聞いたぞ」

「あぁ、俺も俺も。何なの?」


まぁ、大体予想つくけどね……聞いたら、多分…


「何って……学力テストに決まってるじゃない!詳しい日程と、内容が決まったらしいからね!」

「いっぱい勉強しよー!」

「「……あぁ…」」


やっぱりね………一気にやる気が消え失せたよ。

そうだよな、俺達まだ一年坊だもんな……まだまだ、修学旅行とかは先だもんな…。


「でも、妖真はまだ良い方だろうが……!お前、頭は良い方だもん…!」

「イェイ☆」

「腹立つーーーー!!こっちは勉強しなきゃキツイってのにぃーーー!!」

「じゃ、今度の日曜辺りに勉強会でもする?」

「する!」

「食いつきが早いねぇ」


稲葉は遊ぶこととか料理に関しての情熱は強いけど、それ以外はな……お前らしいからいいんだけど。となれば、馬鹿でも分かるような攻略方法教えてあげなきゃな。あとで色々考えよーっと……



~~~~~~~~~~~~



「突然ですが、転校生を紹介します」

『急にどうした!!?』


SHR(ショートホームルーム)の時間、急に担任がそんな事を言い出した。俺等一同、突然の衝撃発言によって総ツッコミをしました。しない方がおかしいっての!!!


「いやぁ、先生とした事がね。うっかり皆に報告するのを忘れていたよ」

「忘れんなよ先生!?」

「報連相はどうしたんですか先生!?」

「それじゃあ、入っておいでー」

『聞けよ!!?』


そうだった…!俺等の担任、ベテラン先生ではあるんだけど、マイペースな事が多いんだった……!

……しかし、転校生ね。この時期に転校生なんて、ちょっと珍しいような…そうでもない?よく分かんねぇや。


さて、そんな肝心の転校生は――――ぇあ?


「………」


………第一感想、言っていいです?


小っっっっっっっっっっさ!!!?

え、嘘でしょ!?俺より70センチは小さいんじゃないの!?人間版ピ○ミンか!!?


あと、他に感想言っていい?


髪の毛白っっっっっっっろ!!

何その真っ白な髪の毛!?純白じゃんね!?肌も綺麗だし!!目も真っ赤だな!?アルビノって奴?だとしたらなんでサングラスとかしてないの!?


そして……アルビノ風な事と身長小っちゃい事を除けば、八雲と”瓜二つ”な事!!一瞬、本当に出てきたのかと思って腰浮いたわ!!稲葉も同じ感覚を味わったのか、転びそうになったし!ウケる!


「えー、今日から君たちと一緒に生活する事になります。皆さん、仲良くするように。さ、自己紹介どーぞ」

「…………」


……しゃ、喋ろうとしないな。どうしたんだろ?


「……わ」

『……わ?』

「わわ、わっわわわわわわわ私ははは、あ、あのあの……!」


……緊張で固くなってるだけでした。その光景を見て、俺等一同、ホッコリしました。可愛いね。

そして、その様子を見た事で、やはり八雲とは違う存在であることを認識させられた。


「わ、わ……私のな、名前は……よ、夜刀よがたな神無かんなって…い、言います…!………えと…こ、これから……その…よ、よろしくお願いしまひゅっ!?」

(((今噛んだな…)))

「ぅぅ……恥ずかしい……!!」

(可愛い)

(なんだあの天使)

(結婚しよ)


最初から最後まで可愛い転校生がやって来たな。これは……この学校、色んな意味で有名になってくるな。


「じゃあ、席は香月君の隣ね」

「えっ?」


あ、隣なの!?あ、ほんとだ!よく見たら前まで無かった席がある!!なんでこんな簡単なアハ体験に気づかなかったんだ俺!?


「え、えと……こ、これからお願いします…え、と……こーづき…くん?」


俺の隣にやってきて、ペコリと頭を下げる神無ちゃん。礼儀正しいね、嫌いじゃないわ!!


「香月でいいよ、もしくは妖真で。分かんねー事あったら、俺でもいいし委員長にでも聞いてね」

「は、はい!」



~~~~~~~~~~~~



「ねぇねぇ!その髪って地毛なの?めっちゃ可愛いじゃーん!」

「うわすご…!この子の髪の毛、すっごいふわっふわ…!羊みたいなんだけど……!」

「色白~い。肌スベスベ~」

「あ、あうあうあう……!」


昼休みです。

えー、早速、転校生ちゃんは女子ーズの餌食になりました。女子団子が俺の隣で形成されている……。


「すげぇ人気だな、夜刀ちゃん」

「だなぁ。まぁ、見た目のインパクトが強いもん」


で、俺はその女子団子の隣で、稲葉と仲良く飯食ってます。お袋の弁当は今日も美味い。


「ただ……びっくりだよなぁ、夜刀ちゃん。見た目、お前の相棒に瓜二つじゃん?」

「あぁ、それは俺もびっくりだ。身長が小さいのと、髪の毛が違うのを除けば、本当に八雲そっくりだ」


で、話題はそこになる。

俺のゲーム内の相方である八雲。彼女と神無の姿は、細かいとこを除けばマジで瓜二つ。変な声出そうになったもん。出さなかったけど。


「いやぁー……不思議な事ってあるんだな!」

「本当になぁ。あ、そーだ。妖真、今度ウオクアに行くから」

「え?なんでまた?確か姉さんと」

「その姉貴が、操作覚えたから、お前もういいわ~っつって、俺をお払い箱にしたんだよ。殺したい」

「あぁ……どんまい」


弟はいつも、姉にこき使われるみたいで…いや、こいつの家があれなだけかもしれんが。


「まぁ、そういう事なら分かったよ。俺も久々に、おトヨさん見たい」

「決まりだな!じゃあ――」

「あ、あの…!」

「ん?」

「え?」


稲葉とゲームの話になり、さぁどこで合流しようか?ってなった時に、まさかの神無ちゃんから声をかけてきた!え、何事!?


「い、いま……え、【AO】の話、し、してるの…?」

「あ、あぁ。そう、俺も稲葉も、【AO】プレイヤーなんだ。あ、こいつは俺の友達の稲葉だ」

「稲葉だ、よろしく!で、夜刀ちゃん。どして【AO】の話に?もしかして……」

「……う、うん。私も、も、持ってるんだ…!」


なんと、まさかの【AO】プレイヤー!なんか、このゲームやり始めてから、交流が増えてきたな!


「おぉ、マジか!じゃあ、今日一緒に遊ぼうぜ!」

「ひゃっ!」


あ、女子の後ろに隠れた。


「ちょっと稲葉ー。神無さん怖がってるでしょー!」

「優しくしてあげなさいよー!怖かったねぇ、神無さん」

「い、いや違……!」

「諦めろ稲葉……いつの世も、女は強いんだ…」


こうして、俺達のクラスに、新しいメンバーが。同時に、【AO】プレイヤーがやってきたのだった。

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