契りの唐傘と八雲姉妹
『おぉ!Lord、とても素晴らしい姿になりましたね!』
「進化したからねぇ、これで姿に変化が起きてなきゃおかしいってもんよ」
唐傘少女と別れた俺は、ようやく皆の元に帰る事が出来た。そこで俺は、皆の前で新たな姿をお披露目する事になった。
そう。俺は唐傘少女を倒したことで、一気に進化可能段階へと駆け上がり、【契りの唐傘お化け】と呼ばれる存在に進化した!ステータスはこの通り!
………本当は、唐傘を強化するつもりだったんだけど、進化したことに関しては、その…予想外だったなぁとだけ言っておく。
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PN:雨天決行
Lv:47→50
メイン職業:召喚士
サブ職業:鍛冶師
種族:契りの唐傘お化け
HP:83→100
MP:99→108
力:40→50
敏捷:54→69
器用:88→98
耐久:73→99
スキル
【召喚術】【翻訳】【鍛冶術:Lv.30→35】【風妖術:Lv.39→49】【水妖術:Lv.46→50】【刀術:Lv.21→30】【木工】【《New!!》妖傘術:Lv1】【《New!!》契約の唐傘】
召喚モンスター枠:残り1
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という感じだ!新しい妖術や、契りの唐傘お化けの名に相応しい感じのスキルも加わった!
そして、今の俺の姿は、いつもの姿に、あの唐傘少女の要素が加わった感じの姿になっていた。
どういう所が?っていうと、まず俺の紺色の髪に、あの少女の赤髪が加わった。といっても、メッシュみたいな感じで、俺から見て左側の一部分が赤く変化したって感じだな。
あと、俺はモノアイだったんだけど、進化してからは目が二つになって、オッドアイになった。左目は青紫色で、右目が唐傘少女のような、金色の目になっていた。
また、顔つきも若干幼くなった…かな?って感じ。何というか……少女の面影が見え隠れする感じだ。なんてーのかな…若干色白?って感じ。そして……
「おとーさん、かさふえてるー!」
「そうなんだよねぇ~。いやぁ、まさかこういう増え方するとは……」
はい、唐傘が増えました。二刀流ならぬ、二傘流ってね。やかましいわ!
今俺ね、右手にいつもの傘、左手に紅い傘なんだよね!!唐傘少女には悪いんだけどね、戦闘の時以外だとちょーーー邪魔!!!でもこれね、結構使い勝手が良かったりするんだよね!でもやっぱり両手が塞がるのはダメだわ!
「唐傘お化け、不思議な種族っす!」
「いやぁ、多分俺が特殊なだけ……。はぁー……これ、浮いたりしねぇかなぁ」
そうすれば、色々と助か……る…?
「……おい大将。赤い方の唐傘、浮いてねぇか?」
「クソ猫に同意するのは癪だけど「アァ!?」うるさい。でも、確かに浮いているね。フワフワプカプカ、見ていて微笑ましい景色だ」
……浮いた。傘を開いて、ふわふわ浮いている。………やばい、ちょっと可愛い。
「にゃーん!」
「おぉ、すこちゃん様!久々ぁ!…ところで皆、八雲はどこ?」
今、俺は妖狐御殿の客室にいるんだけど……ここに帰ってきてから、八雲の姿を見ていない。こういう時、真っ先に俺に飛びついてきそうなもんだけど……どうしたんだろ?
「にゃう?」
「そういえば……ぼく、さいきんみてなーい」
「自分もっす!婆ちゃんが先輩を連れて行って以降、姿を見ていないっす!」
「俺もだ!」
「僕も見ていないね」
「全員見てないの?」
んな事ある?誰も八雲の姿を見てな――
「我等が王よ。長旅、ご苦労様です。我等、ただいま見参致しました」
「うわぁお!?」
びびび、びっくりしたぁ!?何、最近皆して、俺の事を驚かせに来すぎじゃない!!?お化け屋敷とかはさ、なんとなくこのタイミングで来るなぁーっていうのが分かるから、大して怖くないんよ!でも、こういうドッキリ系とかはマジで嫌い!!
……ま、まぁ?でも、やっと八雲が来てくれたね。
あ、腰になんか刀を持ってる。それが、八雲の新しい武器かな?
「あ、おねーちゃん!」
「ただいま戻りました、世海”様”。我等もようやく、武器の調整を終えてきた所です」
「……様?」
……八雲って、様付けしねぇよな?それも、年下で後輩である世海になんて…。
『……貴女、八雲じゃないでしょう。何者だ』
いつの間にか俺の隣にいたアシュラが、刀を抜いて八雲の首筋に当てていた。ちょ、気持ちは分かるけど喧嘩やめてよ!?
「何者?それは当然、八雲でございま――」
「嘘くせぇな。付き合い短い俺等でも、違和感感じるぜ」
「クソ猫と同意は本当に嫌だけど、同意する。彼女はもっと、空気のように掴みどころがない方だ。君のように、堅物じゃないよ」
「そうっす!先輩はアンタみたいな奴じゃないっす!」
気づけば、他のメンバーも武器を構えて、八雲(?)を捉えていた。
…多分違うんだろうけど、暗に八雲の事を馬鹿にしてるような………いや、俺の考えすぎか。
「……はぁ。だから言ったじゃないですか”姉上”。私ではすぐにバレると!」
「…ん?」
「え?」
「お?」
「おや?」
「んぇ?」
………なんか、流れ変わったな?というか、姉上?どういう――――あ?!
「お前、まさか『八雲姉妹』!?」
「……お見事です、我等が王。その通りです」
やっぱり!こういう時の勘は冴えてるんだよな、俺!
「改めまして。私は”ヤーちゃん”です。姉妹の中では次女として、皆様の生活を見守っておりました」
あ、それはデフォなんだ。ヤーちゃん改め、とかは存在しないのね。
「それで、えっと……ヤーちゃん。なんで八雲の体で存在しているの?」
「それは、この刀の力に依るものです」
そう言って、ヤーちゃんは腰に下げてた刀を取り出した。柄の部分は蛇の尾のような感じで、刀身は……え、なんか金色に輝いてない?何その武器?
「こちらは、『天叢雲剣』です」
「あぁー…………は?」
今なんてった?天叢雲剣つった?え、あの神剣の?
「タマモ様の話によれば、過去に大妖怪として『八岐大蛇』が存在していたそうです。それを、古の戦士やタマモ様が共闘で倒した際、この剣が出てきたそうです。それ以来、誰にも扱えない代物として保管していたのですが、我等なら扱えるかもしれないという事で、譲り受けたのです。その際に、我等は主導権を変える事が可能になったのです」
「待って、ねぇ待って?ちょっと情報量多くないかい?」
過去に八岐大蛇が存在していて?それをタマモと昔の人が倒して?その際にゲットした?んでそれを譲り受けた結果、八雲の他に姉妹たちが顔を出せるようになった??
………なんか、いきなりエグい強化貰ってません???
「私は剣術が得意なので、この天叢雲剣を使う時は私が出ます。一応、姉上も扱えなくはないのですが、腕は私の方が上です。そして、妹達もまた、何かしらの特出した力を持っています。どう扱うかは我等が王次第です。王のご活躍を、期待しております」
………俺の進化が霞んじゃう…。