前へ次へ
77/99

契りの唐傘と八雲姉妹

『おぉ!Lord、とても素晴らしい姿になりましたね!』

「進化したからねぇ、これで姿に変化が起きてなきゃおかしいってもんよ」


唐傘少女と別れた俺は、ようやく皆の元に帰る事が出来た。そこで俺は、皆の前で新たな姿をお披露目する事になった。


そう。俺は唐傘少女を倒したことで、一気に進化可能段階へと駆け上がり、【契りの唐傘お化け】と呼ばれる存在に進化した!ステータスはこの通り!


………本当は、唐傘を強化するつもりだったんだけど、進化したことに関しては、その…予想外だったなぁとだけ言っておく。



===========



PN:雨天決行

Lv:47→50

メイン職業:召喚士

サブ職業:鍛冶師

種族:契りの唐傘お化け

HP:83→100

MP:99→108

力:40→50

敏捷:54→69

器用:88→98

耐久:73→99


スキル

【召喚術】【翻訳】【鍛冶術:Lv.30→35】【風妖術:Lv.39→49】【水妖術:Lv.46→50】【刀術:Lv.21→30】【木工】【《New!!》妖傘術:Lv1】【《New!!》契約の唐傘】


召喚モンスター枠:残り1



===========


という感じだ!新しい妖術や、契りの唐傘お化けの名に相応しい感じのスキルも加わった!

そして、今の俺の姿は、いつもの姿に、あの唐傘少女の要素が加わった感じの姿になっていた。


どういう所が?っていうと、まず俺の紺色の髪に、あの少女の赤髪が加わった。といっても、メッシュみたいな感じで、俺から見て左側の一部分が赤く変化したって感じだな。


あと、俺はモノアイだったんだけど、進化してからは目が二つになって、オッドアイになった。左目は青紫色で、右目が唐傘少女のような、金色の目になっていた。


また、顔つきも若干幼くなった…かな?って感じ。何というか……少女の面影が見え隠れする感じだ。なんてーのかな…若干色白?って感じ。そして……


「おとーさん、かさふえてるー!」

「そうなんだよねぇ~。いやぁ、まさかこういう増え方するとは……」


はい、唐傘が増えました。二刀流ならぬ、二傘流にさんりゅうってね。やかましいわ!

今俺ね、右手にいつもの傘、左手に紅い傘なんだよね!!唐傘少女には悪いんだけどね、戦闘の時以外だとちょーーー邪魔!!!でもこれね、結構使い勝手が良かったりするんだよね!でもやっぱり両手が塞がるのはダメだわ!


「唐傘お化け、不思議な種族っす!」

「いやぁ、多分俺が特殊なだけ……。はぁー……これ、浮いたりしねぇかなぁ」


そうすれば、色々と助か……る…?


「……おい大将。赤い方の唐傘、浮いてねぇか?」

「クソ猫に同意するのは癪だけど「アァ!?」うるさい。でも、確かに浮いているね。フワフワプカプカ、見ていて微笑ましい景色だ」


……浮いた。傘を開いて、ふわふわ浮いている。………やばい、ちょっと可愛い。


「にゃーん!」

「おぉ、すこちゃん様!久々ぁ!…ところで皆、八雲はどこ?」


今、俺は妖狐御殿の客室にいるんだけど……ここに帰ってきてから、八雲の姿を見ていない。こういう時、真っ先に俺に飛びついてきそうなもんだけど……どうしたんだろ?


「にゃう?」

「そういえば……ぼく、さいきんみてなーい」

「自分もっす!婆ちゃんが先輩を連れて行って以降、姿を見ていないっす!」

「俺もだ!」

「僕も見ていないね」

「全員見てないの?」


んな事ある?誰も八雲の姿を見てな――


「我等が王よ。長旅、ご苦労様です。我等、ただいま見参致しました」

「うわぁお!?」


びびび、びっくりしたぁ!?何、最近皆して、俺の事を驚かせに来すぎじゃない!!?お化け屋敷とかはさ、なんとなくこのタイミングで来るなぁーっていうのが分かるから、大して怖くないんよ!でも、こういうドッキリ系とかはマジで嫌い!!


……ま、まぁ?でも、やっと八雲が来てくれたね。

あ、腰になんか刀を持ってる。それが、八雲の新しい武器かな?


「あ、おねーちゃん!」

「ただいま戻りました、世海”様”。我等もようやく、武器の調整を終えてきた所です」

「……様?」


……八雲って、様付けしねぇよな?それも、年下で後輩である世海になんて…。


『……貴女、八雲じゃないでしょう。何者だ』


いつの間にか俺の隣にいたアシュラが、刀を抜いて八雲の首筋に当てていた。ちょ、気持ちは分かるけど喧嘩やめてよ!?


「何者?それは当然、八雲でございま――」

「嘘くせぇな。付き合い短い俺等でも、違和感感じるぜ」

「クソ猫と同意は本当に嫌だけど、同意する。彼女はもっと、空気のように掴みどころがない方だ。君のように、堅物じゃないよ」

「そうっす!先輩はアンタみたいな奴じゃないっす!」


気づけば、他のメンバーも武器を構えて、八雲(?)を捉えていた。

…多分違うんだろうけど、暗に八雲の事を馬鹿にしてるような………いや、俺の考えすぎか。


「……はぁ。だから言ったじゃないですか”姉上”。私ではすぐにバレると!」

「…ん?」

「え?」

「お?」

「おや?」

「んぇ?」


………なんか、流れ変わったな?というか、姉上?どういう――――あ?!


「お前、まさか『八雲姉妹(シスターズ)』!?」

「……お見事です、我等が王。その通りです」


やっぱり!こういう時の勘は冴えてるんだよな、俺!


「改めまして。私は”ヤーちゃん”です。姉妹の中では次女として、皆様の生活を見守っておりました」


あ、それはデフォなんだ。ヤーちゃん改め、とかは存在しないのね。


「それで、えっと……ヤーちゃん。なんで八雲の体で存在しているの?」

「それは、この刀の力に依るものです」


そう言って、ヤーちゃんは腰に下げてた刀を取り出した。柄の部分は蛇の尾のような感じで、刀身は……え、なんか金色に輝いてない?何その武器?


「こちらは、『天叢雲剣あまのむらくものつるぎ』です」

「あぁー…………は?」


今なんてった?天叢雲剣つった?え、あの神剣の?


「タマモ様の話によれば、過去に大妖怪として『八岐大蛇』が存在していたそうです。それを、古の戦士やタマモ様が共闘で倒した際、この剣が出てきたそうです。それ以来、誰にも扱えない代物として保管していたのですが、我等なら扱えるかもしれないという事で、譲り受けたのです。その際に、我等は主導権を変える事が可能になったのです」

「待って、ねぇ待って?ちょっと情報量多くないかい?」


過去に八岐大蛇が存在していて?それをタマモと昔の人が倒して?その際にゲットした?んでそれを譲り受けた結果、八雲の他に姉妹たちが顔を出せるようになった??


………なんか、いきなりエグい強化貰ってません???


「私は剣術が得意なので、この天叢雲剣を使う時は私が出ます。一応、姉上も扱えなくはないのですが、腕は私の方が上です。そして、妹達もまた、何かしらの特出した力を持っています。どう扱うかは我等が王次第です。王のご活躍を、期待しております」


………俺の進化が霞んじゃう…。

前へ次へ目次