自分にあった武器を探そう!の会
武器っていうのは、自身の火力を底上げさせてくれるし、何らかの恩恵を与えてくれる、ゲームをプレイするに辺り、欠かせない存在とも言える。
つまり、今日までほぼ素手で戦っていた俺は、相当な変態か、縛りプレイ好きな馬鹿という事になる。
それを払拭すべく、今日はタマモに頼んで、妖狐の里随一の武器屋に来たぞ!頼めば色々とやってくれるんだよね、タマモ。しかも太っ腹でさぁ、お小遣いと称して、大量のお金をくれたんだ!曰く――
『孫が初めて、うちにオネダリしてきたんやでぉ!もぉー嬉しおして嬉しおして、ついつい甘やかしてもうたわぁー!』
…いつの世も、年上は孫をついつい甘やかしてしまう生物のようで。
何はともあれ、まさかのお小遣いを大量ゲット出来たのはとてもありがたい!将来、がしゃどくろを倒す事で、恩返ししよう。
さて、案内された武器屋は、タマモが推薦したとあって、その武器屋はかなり大きく、大小様々な武器を、多く取り揃えていた。
因みに、この武器屋で扱っている武器の素材は、敵妖怪を利用して作られているみたいだ。そんで、海外の……ジャホンとは違う国の武器のアレコレを吸収して扱ってるのも多いみたいだ。だから、モーニングスターとかがあるのね…。
「らっしゃい!色んな得物を取り揃えているよ!」
「さーてと、何を買おうかな…」
武器屋に飾られた武器を眺めながら、俺は自分に合う武器というのを見つけるのに苦戦していた。
なんせ、俺は種族の特性上、常に片手に傘を持っている。傘を使って、一応、盾っぽい事が出来るとはいえ、俺の本体とも言える存在だ。傘がダメージを食らえば、俺にもダメージが通る。一応、傘でダメージを食らうと、食らうダメージは減少するっていう特性があるみたいだけども。
とまぁ、そんな感じで、俺は常に片手が塞がっているような状態だ。オマケに、俺は力ステータスが弱い。レベルが50目前まで来てるから、多少は扱える武器の数も多くなった。だがそれを差し引いたとしても、扱える武器は限られてくる筈だ。
それに、最近の俺は、耐久と敏律、器用ステータスが強くなっている。それを活かせる武器が好ましい。………ってなったら、なんだ?
『おや?八雲先輩は何処に?』
「さっき、この武器屋を出る前に、婆ちゃんが連行していったっす!首根っこ掴まれて、ちょっと微笑ましかったっす!」
『あのnine tailed foxに?………why?』
「そこまでは知らないっす!」
うん、なんでだろうな。……ただ、可能性があるとしたら、九尾の狐と八雲……もとい、ヤマタノオロチ。どっちも、日本を代表する大妖怪と言っても過言ではない。もしかしたら、それ関連で、タマモが連行していったのかな……?
……まぁ、帰ったら分かるだろう。多分。
「これにするー!」
「にゃう~!」
「おぉ……盾…!」
すこちゃん様を頭に乗せた世海が、欲しい玩具を見つけたかのように、眼をシイタケにしながら持ってきたのは、世海と同じサイズの盾だ。熊と鬼をモチーフとされているのだろう装飾がされていて、子供にはガン刺さりしそうな感じの盾だった。
「おぉ!坊主、良いのを見つけたな!そいつは『鬼熊』っつー奴の素材を使って作成された、『鬼神の羆盾』っていう奴よ!!そのお陰で、頑丈さはぬりかべと同様かそれ以上の力があるぜ!」
「ほんとう!?」
「おぉよ!オマケにな、ちょいと耳を貸せ」
「?」
妖狐の店主が、世海に何かコショコショと喋る。すると、世海の目がだんだんとキラキラしていって、さらに興奮し始めた。何を吹き込んだんだ…?まぁ、あの反応から察するに、何か特殊機能が備わっているんだろうな。
あぁ~にしても世海可愛いなぁ~~~!思わずスクショしちゃうよぉ~~!!
「武器……武器なぁ……俺ぁ蹴りさえ出来りゃあ文句言わねぇよ」
「それだと今後厳しいから、何かしらの対策をしようって話なんだよこのバカタレ」
「んだとぉこの白髪女!」
「…………ハッハッハ。よし殺す絶対殺す必ず殺す確実に殺す容赦なく殺す!!」
「ちょいちょいちょーーーーい!!?」
なぁーんで君たちは目を離した隙にすーぐ喧嘩するのかなぁ!?
すぐさま店長さんと協力して、二人を引きはがした。全く、公共の場で暴れないでほしいもんだわ……!
さて、そんな二人なんだが、二人共選ぶもんは選んでた。
冬華がチョイスしたのは、拳銃だ。マグナムタイプの……ガンマンとかがよく愛用してそうな感じのタイプの銃だ。『宝氷霧』という名称だって。……本当は違う読み方らしいけど、冬華が勝手に変えた。貴女、横文字好きね?
そんな宝氷霧だが、このジャホンで屈指の寒さを誇る『白銀寒獄』と呼ばれる場所でしか採れない貴重な鉱物『永凍石』なる鉱物を利用した物だそうで、氷属性の弾を放てるんだとか。
しかも、氷属性持ちの所有者が使う場合、さらに攻撃力がアップしたり、場合によっては『銃剣』にもなれるとか!………設定盛りすぎでは??
「僕は遠くから援護する方が性に合ってるからね」
「へっ、臆病なだけじゃねえか」
「戦わないのと戦えないのとでは、意味が違ってくるんだよ?」
「張り合わないの。で、火炎は何を選んだの?」
「おぉ、俺か?俺はコイツを選んだぜ!」
で、火炎がチョイスしたのは弓矢だ。そういえば君、弓矢スキル持ってたね。でも意外、蹴りにこだわってたように見えたから、ちょっと意外。
そんな火炎が持って来た弓の名称は『虹炎・不知火』。不知火という、炎そのもののような妖怪を使って製作されたこの弓は、名前の通り、七色の炎の矢を放つことが出来る。しかも、それぞれの色に異なる効果があるようで……それはまた後程。
「これで、前衛でも後衛でも、好きに動けるぜぇ!」
「おとーさんは、なににしたのぉー?」
「にゃーん?」
「………そうだなぁ」
拳銃も正直ありかなーと思った。でもなぁ、やっぱりここは違う武器というか……別の拘りが欲しいと言いますかぁー………。
……思い切って言ってみる?
「なぁ店主」
「なんだい?」
「この傘って武器みたいに強化出来る?俺、唐傘お化けなんだけどさ」
「出来るよ?」
「だよねぇ………え?」
……え?出来るの?マジで??