妖狐御殿、再び
「おやおや。マスター、とても可愛らしい姿になってるねぇ」
「……一応言っておくけど、お前等もこうなるからな?」
「えっ?」
はい、やってきました妖狐御殿!
イベントが終了する前日に修行して以降、全くと言っていいほど顔を出してなかった!が、本来の目的を忘れた訳じゃあない!
がしゃどくろの討伐!それを目標に、今日はここで特訓じゃい!
「ギャーッハハハハハハ!似合わねぇでやんの!」
「……色々と渋滞している君に言われたくはないね」
で、この妖狐御殿に入るには、狐耳と尻尾の着用が強制されている。ので、当然俺もそうだけど、他メンツも装着している。
……そんで、今回は新メンバーである、冬華と火炎もしているんだけど……正直言って…。
「火炎、お前……色々と酷いな」
「あぁ!?大将、そりゃねえだろうが!?こっちだって恥ずかしいんだぞこの野郎!」
「アッハハハハハハ!言われてやーんの!」
「殺すぞクソアマぁ!!」
…いや本当に仲がクソ悪いね君ら?やっぱ熱血系とクール系って、相容れない感じだったりするのかね…。
「久々の実家っす!」
「うーむ、この姿はやはり慣れないねぇ」
「みんな、にあってる!」
「にゃん!」
『世海、貴方はvery cuteだね!』
で、ココノ除く他メンツもまた、狐姿となっている。……やっぱ、アレだな。可愛いんだけど、すこちゃん様の渋滞具合が強い…!
やっぱさぁ、元からケモ耳ある人にはキチくない!?これ!
『あらあら?えらい懐かしい顔ぶれがおるねぇ』
「お、九尾」
「婆ちゃん!久々っ、お久しぶりです!」
と、ここで妖狐御殿、そしてこの狐だけが暮らす世界、『妖狐の里』を統治する大妖怪、九尾のタマモが現れた。いつもの九尾姿を見たけど、本当に久々に見た気がする。最後に見たのが人間体だったからかな?
ココノは久々に出会う家族に、砕けた口調で行こうとしたけど、一瞬言葉を詰まらせてから、口調を変えて接した。タマモの教育具合が分かるな……。
『ココノ、いつもの明るい感じでいけるで。なんか特別な用事があるわけとちがうしやがな』
「それ聞いて安心したっす!」
あ、戻った。やっぱり、いつものっす!をつけてるココノの方が安心するわ。
『それで?あんたがここにおるっちゅう事は、修行しに来たって事でええのよね?』
「そーでーす。あと、新メンバーも加わったので、色々と」
「やぁ、妖狐の主よ」
「ババア無理すんじゃねえよ」
「ちょ、バカバカバカ!?」
なんでいきなり喧嘩売るような事言ってるのこの馬鹿猫!?不良でももうちょっと空気読むぞ!?
『アッハッハッハ!えらい元気があってええ子ぉやなぁ!いけるよ、私気にしいひんさかい。実際、もうお婆ちゃんな訳だせん』
「……うちのバカ猫がすいません」
「おい大将!?」
「実際馬鹿だよ君。とても馬鹿」
「うるせぇ!」
『待っとってな。今センコを呼んでくるさかい。先に訓練場で待っとってや』
そう言い残して、タマモが去っていった。
さて、今日はどんな厳しい特訓が待っているのやら……。
~~~~~~~~~~~~
「では、これより耐久訓練に入る」
「………”アレ”で?」
「うむ」
俺達を鍛えてくれる妖狐、センコがやってきて、俺達にやるべきことを教えた。それは、耐久訓練。なんでも、今からやる攻撃を耐えるのが目的なのだそうだが……。
……俺達の目の前にあるの……何?絡繰人形?
のっぺりとした顔に、九つの尻尾みたいなのと……蜘蛛みてぇな手だな。
「変だと思うだろ」
「キメェな!」
「俺もそう思う」
「おいコラ」
良いんか?持ってきた張本人が、それを認めていいんか?
「あれは、我等が造り上げた戦闘用絡繰人形だ。その名も『白面金毛』。タマモ様のご先祖に当たる九尾様で、過去の文献を読み漁り、完璧とまではいかずとも、力を再現させた絡繰人形だ」
「うで、いっぱいあるー」
「そうでもしないと、文献の中の実力に釣り合わないと判断したからだ」
………あれぇー?その設定、過去に流行った漫画で見た事あるぞぉ?運営にファンでもいるのかなー??
「今回は、物理攻撃のみ与える事を可とする。妖術は禁止。10分の間、一度も攻撃を受けずにいる事が出来たら、合格とする。では、始めぇ!」
「いや急に始まルォオア!?」
びび、びっくりしたぁ!!始まると同時に、首筋に手刀がかすったんだけどぉ!!
「王!この、どきたまえ!」
八雲がすぐに動いて、人形を蹴り飛ばしてくれた。人形はすぐに態勢を整え、こちらに向かってくる!
「総員、行くぞ!」
『おう!』
「にゃーん!」
ええい、こうなりゃ全力でやってやる!一発合格目指してやらぁ!!!