前へ次へ  更新
69/99

炎の猫と雪の軍人

「お義父さん、色々と良い物を見させていただき、ありがとうございました~」

「こっちも、良い体験させてもらった。ありがとな」

「ではお礼として、世海君をお嫁さんに」

「絶対にしない」

「ブー!!!」


色々あったけれど、メリィ達とは別れる事となった。彼女のお陰で強くなれたし、新しい仲間が一気に二人も増えた!喜ばしい事この上ない!

にしても……最後までブレない奴だったなぁ、メリィ…。


……さて。


「初めまして。今日から共に行動する事になった、”冬華”だ。皆の足を引っ張らないよう、精進していくよ」

「俺の名は、今日から”火炎”だ!よろしくな!」

「いいねぇいいねぇ!賑やかになりそうだよ!」

『同じ炎を扱う者同士、気が合いそうだね!』

「にゃーん!」

「き、きれいなかみだねぇ…!」

「おぉー!自分に初めて後輩が出来たっす!感激っす!!」


はい、という訳で。新しいメンバーが二人来ましたー!!わーーー!!!


新メンバーはそれぞれ、火車という猫の妖怪。そして雪女という、メジャー妖怪が来てくれましたー!わぁー!!


で、早速名付けましたとも。

俺ってば最近、名づけセンスが向上したと思わんかね?え、してない?あ、すいません出しゃばりました…。


あ、改めて!


火車の名前は、火炎ひえんと名付けた。そのまま火炎かえんにしなかったのは……ちょっとした反抗心、かな?性格はオラオラ系で、早速アシュラとつるんでる。アシュラもまんざらではなさそう。


対する、雪女の方には冬華とうかと名付けた。雪の結晶の髪留めが、花のように見えたからそう名付けた。軍服姿の割りには、厳格そうには見えない…というか、逆に飄々としているように見える?から、女性陣とは仲良くなれる…はず!


さて、それじゃあ早速二人の性能を確かめに行こう!……の前に。


「二人共。これ食べてちょーだい」


二人の手に、グロウラルクの塩焼きが刺さった串を渡す。さっき、メリィ達から沢山貰ったので、ひとまずはこれで二人のレベルアップを図る。

一人につき一匹!なので、俺達は適用されないが、二人はまだ食べてないので適用される!これで一気にレベルアップじゃ!


「おぉ?良い匂いだね。本当に食べてもいいのかい?」

「おぉ!大将、太っ腹じゃねえの!俺ぁ魚が大好きでよ!いっただっきまーす!!」


おぉ、豪快に食べ始めたなぁ。見ていて気持ちいい。

冬華もそれに便乗する形で、小さな口で食べ始めた。小動物みたいで可愛いね。


「おぉ、美味し……おや?」

「おぉ!?急に力が上がった気がするぜ!!なんじゃこれ!?」


よし、早速効果が出たみたいだな!それじゃあ、二人のステータスを確認してみようか!



===========



個体名:冬華

Lv:1→29

職業:氷撃者

種族:雪女

HP:10→28

MP:20→49

力:5→29

敏捷:13→36

器用:10→39

耐久:1→20


スキル

【冬妖術:Lv.1→30】【指揮術:Lv.1→25】【格闘術:Lv.1→19】【洗脳】【支配】


秘妖術

白花繚乱(びゃっかりょうらん)


個体名:火炎

Lv:1→25

職業:斥候

種族:火車

HP:16→40

MP:12→35

力:17→42

敏捷:20→52

器用:14→38

耐久:10→39


スキル

【炎妖術:Lv.1→25】【弓術:Lv.1→15】【蹴術:Lv.1→20】【罠の心得】【性別変換】【気配感知】


秘妖術

【地獄ヘノ片道切符】



===========



うんうん!無事にパワーアップ成功だな!


見た感じ、冬華は魔力特化の後方支援枠だな。……支配だの洗脳だの、物騒なスキルについては、ちょっと後でお話しようか。

そんで火炎は、素早さを活かした感じだな。あとは、素早さを利用した近接戦闘を主とした感じになるのかな?弓に関しては……火車には常に、数人の美女ならぬ美鬼が乗っていて、火車から逃げようとする奴らを逃がさない為に使うってのを見たから、多分それかな?


というか、奥義名がカッコいいなぁ!


「よし、じゃあ見せてもらおうか!二人の実力を!」

「成程。分かった、頑張るとしよう」

「おぉよ!俺達の活躍、しっかり見ていきやがれ!」



~~~~~~~~~~~~



ここは、ウオクアの最寄りにある、初心者向けのステージ『ウオクリバー』。

ウオクアへと向かう川には、モンスターが寄って来たりする。そこで二人の実力を測る事にする。


「ほんじゃ二人共、それぞれ一人ずつ戦闘をしていってね」

「お任せを、マスター」

「おぉ!んじゃ、最初は俺が行くぜぇ!」


という事で、最初に戦うのは火炎だ。丁度、モンスターも出現した所だ。


モンスターの名前は、ブルーボア。名前の通り、青い体色をしたイノシシだ。突進攻撃には水属性が付与されているから……正直、火炎だと苦戦しそうな気がしなくもない。


基本的に、このゲームの魔法は、四属性を中心にしている。だから、火炎は本来、風属性の相手には有利だけど、水属性には弱いんだ。ま、そこは召喚主である俺の力量で、頑張るしかないな!


「火炎!あいつは突進攻撃が得意だけど、その分急には止まれなかったりする。そこを狙え!」

「へっ!アドバイスどーも!けど、俺にはそんなの関係ねぇーぜ!!それじゃ、行くぜ行くぜ行くぜェーーー!!!」


ブルーボアがこちらに気づいて、戦闘態勢に入った。

それよりも前に、火炎の行動が開始していた。彼は、足に装着されていたタイヤを回転させると、それを着火。そして、一気に加速した!


「プギッ!?」

「遅せぇんだよ、ノロマ豚め!!」


炎で燃えるタイヤ痕を生み出しながら、気づけばブルーボアの眼前にいた火炎。ブルーボアが、火炎を認識する頃には…その顔に、火炎の強烈な炎の蹴りが炸裂していた!


「俺の必殺技……!『紅蓮蹴ぐれんげ』!!」

「プギィイイイイ!!?」


炎妖術で強化した蹴りを、ブルーボアに放った火炎。そのままブルーボアを蹴り飛ばして、その身を燃え上がらせ、遠くまで飛んでいった!……ちょっと肉の焼ける香ばしい匂いがする……。あ、素材が落ちた。


『ほほぉ。炎の力を使った加速だね?何とも面白い力じゃないか!』


あぁ、そういう感じのやり方なんだね?でも、かなりカッコイイなぁ……!


「っしゃあ!決まったぜ!!」

「まったく、僕の同僚は暑苦しくて敵わないねぇ」

「あぁ!?んだとヘラヘラ野郎!」

「ヘラヘラ野郎とは失礼な。僕は女の子だよ?」

「こーら、喧嘩するなー?」


……どうやら、二人は仲が悪そうに見える。やっぱり、相反する属性持ちだからかな?


「では、次は僕の番だ。君はそこで黙ってみてなよ」

「んだとぉ!?」

「さて、相手になるモンスターは……アレだね?」


冬華が指す場所には、ウオクリバーの水を飲もうとやって来る奴らを捕食しようとする、複数のモンスターが現れた。

そいつ等の名前は、アクアスパイダー。粘着性のある水の糸を放って、一度掴まれたら、土属性か水属性の魔法を使わないと、離す事すら出来ないっていう、初心者相手にはちょっと厳しくね?ってなる奴だ。


それが、計5体。集団戦も得意とする蜘蛛だから、一人で相手するのは厳しいと思うんだけど…?


「安心してよ。僕の冬妖術は、対人戦より、こういう集団戦の方が得意なんだ。だから、はいこれ」

「んぇ?」


冬華が渡してきたのは……アイスキャンディ?


「それでも食べて、僕の活躍を期待しててくれ♪」


そう言い残して、冬華はアクアスパイダーへと向かって走り出す。


「SYASYASYA!!」

「CYASYAー!!」


冬華に気づいたアクアスパイダー達が、一斉に口から、水の糸を放って、冬華を拘束しようと仕掛けてくる。

だけど、冬華は逃げる事すらせず、妖術を発動した。


「『冬妖術:喰氷柱くいつらら』」


冬華の周りに、氷の棘が複数生成され、向かってくる糸に向かって射出。氷が当たった糸は、あっという間に凍結していった……だけに留まらず、糸を出した本蜘蛛たちをも凍らせようと、襲っていく。


「SYAAA!?」


まさか糸を凍らされた挙句、自分達に向かってくるとは想像していなかったのだろう。アクアスパイダーは顎の牙を動かして、糸を切断。何とか氷漬けにされるのを阻止したかと思ったら……。


「残念無念、また来世♪」


アクアスパイダー達が、冬華を襲おうと動き出した、次の瞬間には……アクアスパイダー達は、綺麗な雪の塊となって、動きを封じられていた。


「『冬妖術:雪まつり』。さぁ、愉しい時間はこれで終わり。ゆっくり……お休み♪」


冬華は、動けなくなったアクアスパイダー達を一体ずつ、拳で殴っていく。それだけで、アクアスパイダー達は粉々に砕け散っていった。


………うーん、おっかない!

でもなんか、すごいカッコイイね!!仲間に出来て良かった!!

前へ次へ目次  更新