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妖怪二体同時召喚!

「と、いう訳でぇ~。今からお義父さんの召喚の儀式を、生中継でお送りしま~す♪」

「待って?ねぇ待って?俺そんなの許可した覚えないんだけど??」

「うるせぇなァ、黙って準備しろォ」

「早くしなさい、潰すわよ」

「何を!!?」


『ミステリアオブザボール』。


ウオクア名物であるこのオブジェクトがある場所には陸地があるので、キャリザウラーの休憩スポットとしても活用されている。


そんな場所で、妖怪を召喚する事にした。それも二体!いやぁ、楽しみだねぇ!


でもって、そんな儀式の見学をさせようと、メリィを誘った。彼女のお陰で、二体同時召喚が出来たようなもんだしね。

当然、兄さんと姉さんも一緒にやってきた。


ただ……。


『お義父さんキター!!』

『シークレット召喚を成功させた人の召喚だって!?笹食ってる場合じゃねえ!!』

『メリィちゃん可愛いよメリィちゃん』

『召喚する所なんて、普段見ないから楽しみだよ』


「うふふ、沢山の人が見に来ましたねぇ~♪」

「あの、ちょっと?メリィ?メリィさん?」

「?は~ぁ~いぃ?」

「俺、生放送を許可した覚えはないんですけど???」


この毛玉、突然カメラを取り出して、生放送を開始しやがった。さっきから俺の横を、コメントがスライドしていくのが見えるんだよ……!nic○○nic○のアレじゃねえんだからさぁ!!

というか、俺そこまでしろって、一言も言ってねぇからな!!?


「大丈夫ですよぉ。こういうのはちゃんと記録しておかないとじゃないですかぁ!」

「いや、あのだからね?俺がメリィに言ったのはそういう目的じゃなくてだね?」

「さぁ、召喚してください!このカメラで、細部までしっかりと映しますので!!」

「話を聞いてくれ!!?」


『振り回されてて草』

『おかしいな?俺は召喚シーンを見に来た筈なのに、漫才が始まってるんだが?』

『うーん、これは夫婦漫才!』

「は?」

「ア゛?」

『ひぇっ』


ああああカオス!こんな事になるなんて、予想できなかったぞ俺ぇ!!


「大丈夫だよ、我等が王。我等がついてるとも!」

『ほぉ~、これがcamera……初めて見たよ』

「きんちょうするぅ…」

「だっだだだ大丈夫っすよよよ!じじ自分がついてるっす!」

「にゃうぅー」


…妖怪組は、一人を除いて気にしてない感じだな。つかココノ……お前、カメラを向けられると緊張するタイプなんだな…。


……あぁーもう!ここまで来たら、やってやろうじゃないの!!


「あ、そうだお義父さん」

「何ですかねぇ!?」

「息子さんを私にください!」

「何故それを今、このタイミングで!?却下します!!」


「「はぁ??」」


ッッッ!!!?

いいいいきなり殺気を放つな!?ONOFFの差が激しすぎますよお兄さんたち!?


「妹の頼みを断ったか?テメェ……?」

「有罪、死刑ね」

「本当に過激だなぁ!?」


流れてくるコメントも、『あぁ、終わった…』『眠れお義父さん、安らかに……』『家族は私が預かりますのでそのまま死んでもろて』だので流れてきてる。こいつ等ホンマ……!!


だがしかし!!ここで引く俺ではないのだよ!俺の妖怪愛は、殺気を充てられてすぐに意見を変えれるものですらないんだぞ!!


「いいか!俺は妖怪が好きだ!愛してると言っても過言ではない!!絶対にお前等の好きにはさせない!!シールキープ!アマルスラウ!アンタらがメリィを愛してるのと同じだ!!」

「…だからァ?」

「俺は妖怪が大好きだから手放したくない!お前等はメリィが大好きで、誰にも渡そうと微塵も思っちゃいない!!そこに何の違いもありゃしないのだ!!!」

「違うわよ!!」


いや違わねぇだろうが!!


「……お兄…お姉…………そろそろ怒るよ…?」

「ごめん許してくれ」

「ごめんなさい悪かったわ」

「手のひらドリルすぎて怖い…」


『いや草ァ!!』

『結論 メリィちゃんが最強』

『異議なし』

『異議なし』

『というか、お義父さんの愛がすげぇよ』

『流石お義父さん!お義父さん、お義父さんを僕にください!』


あぁー疲れた……!!

よし、気を取りなおして、召喚の準備に取り掛かろう!


「まずは魔石を用意しまして…。召喚石を生成。ここまではオッケー。この作業も慣れてきたな」


『うわ、痛そう』

『冷静に考えて、召喚の為に自分を傷つけるのはおかしい(戦慄)』

『覚悟キメてんだろうなぁ』

『覚悟を違法薬みたいな言い方すんのやめやメロン』

『どれ、召喚石の色はどんな感じ?』


そんで色は………赤、と水色?

おぉ、そう来るかぁ……炎系統か、水系統って事だな!……そろそろ、土属性が来ても良い気がするんだけど…ま、まぁ?あくまで召喚石の色は”予想図”な訳だし!確定って訳じゃないからな!


「よし次!お札!」

「では、我等が王よ。今回は何を召喚するんだい?」

「そーさなー……」


一度、チラっと皆を見る。


八雲は物理+妖術の近距離アタッカー。

すこちゃん様は回復+支援&弱体化サポーター。

アシュラは近距離アタッカー。

世海はタンク。

ココノも近距離アタッカー。


……あらやだ。遠距離要因が少ないわね。あと、稲葉のような斥候というか…スピードアタッカーみたいなのもいないな。


うん、決めた。それに準ずる妖怪を召喚するとしよう!!

となるとぉー……うーん……何がいいかね?


速い妖怪……って考えたら、まぁ…鎌鼬か天狗だわな。あとは、動物系の妖怪?

ほーんでほんで、遠距離要因……ってなったら、なんだ?…パッと思いついたのは、砂かけ婆?あと……あ、提灯お化けとかもそうかな?そー考えたら、不知火もそんな感じ?


……うーむ。お札にはなんて書こうか……どの妖怪も、言葉で表すには難しい…!

こーなったら……!『遠』と『速』って書いておこう!よしこれで決まり!!


「よぉーし!準備は整った!早速やってくぞ!」

「頑張ってください、お義父さ~ん!」


お札の上に、召喚石を乗せて……いざ!!


「『我が声に応え、顕現せよ!召喚!!』」


詠唱を唱え、召喚を開始させる!


『キタキタ!!』

『いいねぇ、召喚の儀式!ガチャみたいで興奮する!』

『爆死と出るか、勝ち確となるか!』

『お、変化してきたぞ!』


召喚石はお札を吸い込んでいき、それぞれの色に光り輝いていく。

そして、形を整えていき…!


「へっへっへぇー…!!俺、参上ッッ!!」

「やれやれ、私の同僚は暑苦しいね。こうも熱いと、溶けそうだよ」


『キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』

『うぉ、暑苦しい!』

『見た目違うのに、なんで赤い方は鬼の桃の方が連想されるんだ??』

『逆に女の子の方……アー!いけません!エッチすぎます!』

『メカクレ!メカクレちゃんだ!』


えーっと、紅い方召喚石の方は……赤髪をオールバックにしていて、猫耳が生えていて、二本の尻尾が生えていて…ん?足の木製のタイヤみたいなのがある、いかにも不良のような熱血漢だな。常に勝ち誇った感じの笑みをしてるし、頬には三本の切傷みたいなのがある。


水色の方は…あぇ?軍服?を着てるな…着物じゃなくて?似合ってるけど。水色の髪に、所々白のメッシュが入っていて雪の結晶の髪留めをしている、片目隠れの少女だ。ずっと笑顔なんだけど…せせら笑いをしてるって感じの笑顔だな。余裕の表情とも言えるけど。


さて、ここから推測される妖怪は……ふむふむ…あぁーはいはいはい!これはすーぐに分かりましたよ!分かりましたとも!


「おぉー!出ましたね、お義父さん!今回、召喚した妖怪はズバリ、何でしょうか!」

「すぐに分かったぜーこれは。赤い方は火車!水色の方が皆もよく知ってるであろう、雪女だ!」


『おぉ!メジャー妖怪!と、知ってるような知らないような妖怪!』

『…なんか、思てたんと違う』

『男の猫耳とか誰得?』

『なんでやカッコイイの中にある可愛いがいいんじゃろがい!!』

『妖怪も軍服を着る時代かぁ』

『着物をずっと着てるイメージ強かったけど、そういう訳でもないんだな?』

『あの笑顔、いいなぁ…踏まれながらあの笑みで見下されて、罵られたい』

『へ、変態でちー!!?』


「アァ?なんださっきからこの白い文字!鬱陶しいぜ!」

「そうだね、少し気になる。でも、今は挨拶が先だと思うけどね」

「おぉ、そうだな!よう!これからよろしくな!」

「やぁ、マスター。君が僕らを喚んだんだね?」

「応。これからよろしく!」


雪女の方が、握手を求めてきたので、それに答え―――うわ、冷たい!やっぱり雪女、肌も雪みたいな冷たさだ。


「さて、名前を決めないとな!」

「ヘッヘー!カッコイイのにしろよ!」

「期待してるよ、マスター」


さて、名前なぁ……うーん、色々とムズいんだよなぁー………あ、そーだ。


「決めた!じゃあ今からお前たちの名前は―――!」

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