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トラベラー→ウオクアへの最中にて

「うわあぁーー……!はやいはやーい!」


えー、現在、トラベラー発ウオクア行きの馬車があったので、それに乗って、ウオクアへ向かってる最中でございまーす。

利用客は俺以外にいなく、実質貸し切りみたいになってるぜ。すっごい快適!


「ウオクアまで、どれくらいかかるんだい?」

「トラベラーからはそう遠くはないから、夜になる前には着くよ」


馬車って、結構早いからね。いやー、でも本当に丁度良く馬車があって助かった!トラベラーからウオクアにまで行くのって、徒歩だと結構歩くからねー。


以前行ったことがある場所とかだったら、国のどっかこっかにある指定ポータルを利用する事で、あっという間にたどり着くことが出来るんだけど……行ったことが無い場所だったら、自分の足だったり、こーして乗り物を利用して移動するのがいいのだ。


ただ、このゲーム内に置いて、馬車を利用するという事は……


「ガオオオオ!!」

「そら、おいでなすった!」


【AO】内での馬車は、必ずと言っていいほど、モンスターに襲われる。もはや、全ての馬車はモンスターを引き寄せる呪いでも貰っているんじゃないか?と疑う程だ。


まるで、ゾンビゲームに出てくるヘリコプターは必ずと言っていいほど墜落するくらいのレベルで、まぁー遭遇する。一度も遭遇しない事なんて、皆して真っ先にバグを疑う程だ。どんな特殊イベントが来ようと、取り合えずモンスターは馬車を襲ってくる。そういうもんなのだ。


まぁ、そんな馬車の謎の呪いを利用して、レベリングをすることはよくある事だ。ある意味、馬車はポケ○ンで言う、がく○ゅう○うちだ。


さて、それでは今回、俺達の前に現れたモンスターはー?


「ブヒッブヒッ!ゼンブ、ウバウ!」

「ガアア!」

「ブルルル…!」


えーっと、全部で10体。そのリーダー格は……オークか。豚の頭を持ってて、体はぽっちゃり人間なメジャーモンスター。武器は、基本的には棍棒と斧の二刀流だ。

そんで、オークが率いているのは、牛型モンスターのブルーブル。青い角が特徴的だ。しかも美味しいらしい。それプラス、いつものグレイウルフだな。


「肉とか皮はともかく、ブルーブルの角とか欲しいなぁ…頑張れば武器の素材に使えそうで」

「では、我等が対処するとしよう!我等が王は、馬車の中から、我等の活躍を見ているといいよ♪」

『そうですとも!たまには、私達の活躍を見ながら、お休みになってるといいよ』


戦う気マンマンだったんだけど、皆がゆっくりしてけっつーんで、じゃあ遠慮なくと、馬車の中から戦いを見守る事に。

幸い、モンスターは馬車の後方に集中しているから、全体を見渡しやすい。俺は馬車の中から、指揮を執る事にしよう。


「さぁーお前たち!やっておしまい!」

「あぁ!」

『Yes, sir!』

「いってきまーす!」

「にゃーん!」

「頑張ってくるっすー!!」



~~~~~~~~~~~~



「片付いたっすー!」

「はやぁーい…!」


指揮を執る必要すらなかった。瞬殺だったよ?可笑しいな、オークって少なくとも30レベルはあるから、皆でかかれば、勝てなくはねーだろとは思ってたけど……えぇ?


何が起こったのかを説明すると…まず、世海がいきなり泣いた。


勿論、本当に泣いた訳じゃない。スキル【ウソ泣き】の効果の一つだ。これは、ある種のヘイト稼ぎのスキルなんだと。

しかもこの【ウソ泣き】、追加効果で『”心配”状態を付与』とある。……何それ?って思っただろ。俺も思った。なんか、一時的に敵の思考を『あ、泣いてる!泣き止ませないと!』という考えに、強制的にさせるみたい。しかも、泣き声を聞いた敵は、一定時間、防御力と魔法攻撃耐性をダウンさせちゃうんだと。割と強い効果持ってるなぁ…。


とまぁそんな訳で、世海は自分のスキルの力で、一時的に視線を世海に集中させた後、すかさずココノがブルーブルの方へと駆け寄り、ブルーブルの角を破壊していった。ブルーブルは角が武器だから、それさえ破壊してしまえば、木偶の坊になる。


グレイウルフの方は、アシュラがすこちゃん様のステータス強化妖術の力を貰い、パワーアップした状態で飛び掛かり、あっという間に首を斬り捨てた。あっという間に終わって、一瞬目を疑った。


そんで最後に、オーク。八雲が妹たちに指示を出して、全身に噛みつき、離れる。するとオークの全身から、紫色の痣のようなものが次々と浮き出てきて、オークを苦しめた。後に、オークは泡吹いて倒れて死んだ。……八雲の新スキル【王毒】、こっわ!?


とまぁ……こういう感じで、八雲達は襲ってきたモンスター軍団を、あっという間にねじ伏せたのだ。

…うん、強い!!


「って、思考放棄してる場合じゃねえ!えーっと……ウ゛ッウ゛ン!取り合えず、ドロップアイテムの回収おねがーい…」

「はーい!えとえと……これと、これ?」

『これもそうですね。特に、このキラキラしたstoneは必ずですよ』

「おぉ、これは中々大きな武器だねぇ!」


倒したモンスターの素材を回収させて、全員馬車へと乗り込む。特に怪我とかをした様子はなく、無事に終わって何よりだ。


「どうだい?我等が王よ!素材がこんなに集まったよ!」

「おぉー!魔石も沢山!あ、これ食べていいよー」

「わーい!」

「にゃーん!」

「え、それ美味しいんすか?」

『さぁ?八雲先輩達には、とても美味しいらしいですが』


八雲とすこちゃん様と世海は、召喚獣だからねぇ。召喚獣は魔石を食べるのが好きとあるから、まぁご褒美って感じでね。まだ魔石には余裕があるから、新しい召喚分には事足りるのよ!


「さぁ、出発しよ!運転手さーん!出発していいっすよー!」


次なる目的地、ウオクア。そこでちょいとレベリングして、新しい妖怪を召喚するとしよう!………次は土属性の妖怪とか、空を飛ぶ系の奴にしようかな?それともまた、水系の……うーん、悩むなー!

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