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「よし、これで規定量だな」

「あっという間に終わったねぇ」


襲い来る餓鬼を撃退しつつ、突如現れるぬりかべを足払いで倒して、何とか必要な数の素材をゲット。

このまま帰ってもいいんだけど……今度はいつ来れるか分からないジャホン、そこに現れる妖怪は他に何がいるのかがすごい気になる!


という好奇心に従った結果、このまま探索を続ける事にした。


「さてさて、他にはどんな妖怪がいるのかなぁ~っと♪」

「おとーさん、すっごいたのしそ~」

「モチのロンってなぁ!!」


あぁ、次はどんな妖怪に出会えるかなぁ!?というか、一度妖怪にデスペナされるのも手ではあるよな?あぁ、そう考えるとさっきの餓鬼は……いやいや、流石にまだ世海の盾が出来上がってないから、それは避けないと。


「それに、ジャホンでは【大妖怪】が徘徊してるっていうしなぁ」

「?なんだい、それ?」

「災害みたいなもんだ」


【大妖怪】。

モンスター型妖怪の中で最強種の存在につけられた、妖怪の中の妖怪とも言える、災害そのもの。

過去に『噓偽りの温泉旅館(フェイク・ランド)』が討伐したりで数は減っているらしいけども、あの最強ギルドのメンツから


「正直、あんまり関わりたくない!マジで運営トチ狂ってるわ!マラハ並みにイカれてるわ!!」

「えへへ~」

「違う、お前の事を褒めてる訳じゃねえ」


………回想に若干雑音が入ったけど、まぁあのニセモノさんから、関わりたくないという言葉すら出てくる程に、厄介極まりない存在らしい。


今も活動をしている大妖怪は……確か、『雷獣』と『がしゃどくろ』と『九尾』、それに……あぁ、そうそう。『大百足』に『塵塚怪王(ちりづかかいおう)』だ!

いやぁ、どいつもこいつもビッグネームだなぁ。大百足に至っては、竜種すら余裕で餌にするし、塵塚怪王なんて、ゴミの王……もとい、”付喪神の王”みたいなもんだ。攻撃手段、めっちゃ多そぉー……!


過去に存在していた大妖怪として、『夜刀神』っていう蛇神、『橋姫』っていう怨念そのものな妖怪、『ぬらりひょん』という妖怪の総大将的存在だの、『空亡』という太陽そのものと言っても過言ではない妖怪だの………まぁーいっぱいいたそうな。


オマケに、当初はそんな大妖怪に付き従う妖怪もレベルがめっちゃくちゃ高かったようで…実装当初、ジャホンは【大妖境(だいようきょう)】と恐れられていたんだとか。……大魔境でいいじゃねえかよ、昔の人。


でも、そんな地獄か?と思えるような場所を、当時の『噓偽りの温泉旅館』が攻略したお陰で、大妖怪の数も減り、それに付き従っていた妖怪も自然とレベルダウンして、現在の温泉郷が出来上がったとか。


……こうして歴史を学ぶと、マジで『噓偽りの温泉旅館』ってすごいんだなぁって思うわ。


「まぁ、最近は『噓偽りの温泉旅館』の動きで、大妖怪達も滅多に姿を現さないらしい。最後に目撃されたのが、それこそ、ジャホンが実装してから大体……半年後かな?それ以来、目撃情報はないんだって!」

『ほお~、色々と厄介なmonsterがいたもんだ』

「もしかしたら、復讐の為に力を蓄えているのかもねぇ?」

「その線もあるから、『噓偽りの温泉旅館』は万が一を考えて、このジャホンに根を下ろしたんだってさ」


でも…大妖怪かぁー…!くぅー!是非ともこの目で拝んでみたいもんだ!!

デスペナされようとも関係ない!スクショとかしたい!!出来れば仲間に………いや、それは無理か。


テイマーですらないし、そもそもモンスターが自主的にプレイヤーに仕えたいなんていう話、本当に極稀程度に聞くけど、宝くじ一等が当たるより激低いっつーし……。うん、まぁこれはあくまで願望だな!


「っとと。いつの間にかこんな奥地にまで…」


ふと周りを見渡すと、草原地帯に変わり、温泉地帯となっていた。まだ手入れされていない岩肌から、温泉がゴボゴボと…。


どれ、温度を確認。


ジュッ


めっちゃ熱い!!!


「うーん…匂いがすごいねぇ」

「くさーい」

「にゅぐぐ…」

『すこちゃん様にはキツイみたいだね』

「いちち……。ふぅ、ここにいる理由もないしなぁ……あ、でも温泉に浸かってる妖怪いる。スクショしよ」


熱した油並みと錯覚するほどの熱い温泉の中を、気持ちよさそうにしている妖怪の姿をスクショ。うんうん、良い感じの写真が撮れ……ん?


「なんか写ってるな」

「うん?どうしたんだい?我等が王よ」

「んー?いやさ、なーんか奥の方に不思議な物体が…」


先ほど撮ったばかりのスクショを、皆に見せる。


手前に写っているのは、灼熱温泉に心地よさそうに入っている化け猿達。皆、心地よさそうな顔をして、じっくりと温泉を味わっている。

しかし、ここは問題ない。問題なのは、その奥。そこには、【巨大な白い手】のような物体が、ブレてはいるが確かにあって…………うん?


巨大な……白い…手?

…まさか!?


”正体”に気づき、さっき撮った風景を見る為に顔を上げる。




『カカカカカカ』




そこにいたのは……さっきまでいた化け猿を噛み砕きながら、こちらに顔を近づけていた、巨大な骸骨の姿が……。



【大妖怪 がしゃどくろ Lv.500】



……………………はは、マジか。

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