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イベント後半戦開始

爺ちゃん家に滞在してから、あっという間に時間は経過した。

ある時は農作業を手伝ったり、皆で釣りに行ったり、料理に挑戦してみたり。稲葉みたいに上手くはいかんもんだなぁ…。


そんなこんなで、いつの間にか8月に突入。それを意味するのは即ち…。


「イベント後半戦、じゃーい!!」

「イェーーーーーーーーーーイ!」

「っしゃーーーーーーーーー!!」

「うわ、お米君とダイノ君の熱量エグ」

「待ちに待った後半戦だからな!仕方ない!」

「今日も賑やかだねぇ」

「にゃう~」


という訳で、【天獄戦争】イベントも後半戦に突入。

噴水広場に限らず、トラベラーには沢山のプレイヤーでごった返しになっていた。


ダイノキングとも合流して、俺達は逃げるようにトラベル鉱山へと避難。ここ、人があんまり来ないから人避けに便利だし、鉱石も採掘できるから最高の場所なんよ。


「それじゃ、早速追加情報を見ていくとしますか!」



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・イベント情報!


本日より、【天使と悪魔の天獄戦争】の後半戦を開始致します!

新たなアップデートにより、以下の機能が追加されました!


・天使、悪魔の”進化”

・天使、悪魔のランク表記追加

・悪魔の魔術、天使の詩術の強化

・天使、悪魔のAIレベルの大幅上方


また、前半戦にて召喚が出来なかったプレイヤーの皆様には、”強化特殊召喚石”としてアップデートする事が出来ます。

こちらは、天使もしくは悪魔の召喚を100%成功する事ができ、さらにランクの高い存在を召喚する事が出来ます!


また、その他に新たな職業、新たなスキル、新たなステージ等が追加されます!


詳細に関しては、以下のURLを参照にしてください。


今後とも、【Alternative Online】をお楽しみください。



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と、いう事で…


「召喚の時間だオラアアアアアアア!!」

「うおおおおおおああああああああ!!」

「うるっさ!?ちょっと、洞窟の中で騒がないでよ!音が反響するでしょ!?」


こちら、ようやっと召喚出来るという事で嬉しさのあまり獣となったふた…二匹がいます。真面目にうるせぇな。


「ドキがムネムネの時間という訳だ。楽しそうな雰囲気が伝わってくるとも♪」

「…死語以前の問題だぞそれ」

「えっ」


八雲の語彙ボキャブラリーを若干心配しつつ、肝心の二匹に本題を聞いてみる。


「で?二人は結局何を召喚するんだ?」

「…散々悩んだけど、やっぱ天使にするわ」

「俺はやはり悪魔だな!」


裏切りやがったあの野郎!!この前愚痴ってた時、悪魔召喚してやるー!!って嘆いてたくせに!!

俺の盟友はやはりダイノキングしかいないのか!!


「にしても、ランクの高い悪魔か天使を召喚できるなんてねぇ。ねぇ、鬼銃君ってランクどんくらいなの?」

『Is it about me?』

【私の事ですか?】

「鬼銃の?確か…」


鬼銃のステータスを改めて確認。えーっと…確か☆の数で決まるんだったかな?で、鬼銃はってーと…。


「最高が☆の数が10らしいが……あ、あった。☆…”4”だな」

「そうなんだぁ。意外と低いって思ったのは私だけ?あ、私のレプンは☆2だった!」

「俺のマッハは、☆3だ!だが、☆の数なんて関係ない!正義の為に戦うだけだ!」

「うーん、とても大事」


実際、このランクはPvPで勝利していくことで、だんだんと上がっていくみたいだし…例え最初は☆1だとしても、諦めずに戦えば最高ランク10も夢ではないって事だな。


「そういやお二人さん、準備は出来たのけ?」

「おう!もう強化は施した!後は実行するのみ!」

「因みに強化方法は、魔石を取り込ませる事だった!簡単だな!」


さぁ、という訳で始まりました!稲葉とダイノキングによる、天使と悪魔の特殊召喚の時間が!


「お二人共、意気込みをどうぞ!」

「ぜってぇ仲間にして雨天をボコる」

「どうしてだろう、今応援の気持ちから一気に遠ざかった!ダイノキングの方は!」

「竜系の悪魔が出てくれたら何でもいい!が、誰でも歓迎はしてやろう!」

通常運転(いつもの)!さぁ、早速召喚と行こう!」


因みに俺とクマ先輩と仮面セイバー1号とで、簡易実況席から生放送でお送りいたしております。


さぁ、早速二人は強化特殊召喚を地面に置き…あ、ダイノキングが同時になんか置いた!


「ダイノキング、それは?」

「翼竜と思しき存在の化石だ!これも触媒にしよう!」

「え、いいなー!俺もそういう触媒系欲しかった!!」

「…俺のお札ならあげようか?」

「助かる!!」


いいのかそれでお前。まぁ、あげる俺も俺だけど。

因みに俺が常に持ってるお札には、百鬼夜行の文字が既に書かれている。つまり…そういう事だ。


「さぁ、二人の準備が整った所で、召喚の時間といこう!二人共、声高らかに叫べ!変、身!」

「違うわよバカ!普通にYesかNoを選ぶだけよ!何を無理してボケようとしてんのよ!」

「しょ、召喚を開始せよ!」

「終始ぐだぐだだねぇ」

「ま~ぅ」

『Isn't it nice to have something like a normal everyday life?』

【いつもの日常らしくていいじゃないか!】


外野(俺等)がうるさい中、二人はさっさと特殊召喚を開始してた。ツッコミ入れてもよくないかぁ~??


強化特殊召喚石は、俺の時みたく、別の触媒としてあったお札と化石を吸収し始め、一人でに浮き始める。そして、白と黒の魔法陣を展開し、それぞれの色に輝き始めた!


そして…!!


『キシャー!!』

『………』


黒い魔法陣からは、蝙蝠っぽい翼をした翼竜が。

そして白い魔法陣からは……刀を携えた、シスター姿の天使が現れた!


「うおおおおおおおお!?!?」

「きゃわわな子きたーーーーーー!!!」

「悪魔と天使とのギャップが激しいな!面白い!」

「ほお、綺麗じゃないか」

『Oh, I thought someone from my hometown would come...but was it a monster type demon? disappointing』

【あらら、同郷が来るかと思ったけど…魔物系の悪魔でしたか。残念。】


外野(俺等)がまた騒ぐ中、二人の反応は…?


「うむ、見た目はまさしくプテラノドン!……いや、ランフォリンクスか?まぁいい!今日から貴様の名は”アーラ”だ!よろしく頼むぞ!」

『クアァー!』


ダイノキングはいつも通りだ。肝心なのは稲葉の方だ。


「お、おぉ…!あ、俺はおい米食わねぇか?だ!これからよろしくな、相棒!」

『……』


天使シスターは稲葉の全体像を見るかのように視線を動かした後、口を開いた。


『わいがあたいんあっじけ?なら、わいん未来みれはあたいが守ってやろう。安心しっせぇ、神ん為に祈っがよかど』


…………ん、ん?


「「「…………何語?」」」

「というか、今のって本当に知ってる言葉なのかい?」


「………え、え?」

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