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特殊召喚の成果は如何に?

「えー、という訳で…新たに仲間になりました。忍者で鬼なガンマンの悪魔こと…“鬼銃きが”君です」

『Nice to meet you~♪』

【初めまして~♪】

「英語分かんないッピ!!」


はい、結局こんな名前になりました。

………改めて字にしてみると、俺って本当…パニックで頭馬鹿になってたんだなぁ…てなる。なんだよこのクッソふざけた馬鹿みてぇな名前。なんだよ鬼銃って。俺のネーミングセンス終わってんだろ。


…まぁ、それはそれとして。早速召喚した悪魔を皆に見せようと、トラベラーへと戻り、皆と合流した。案の定稲葉が頭抱えてる。お前、英語大の苦手だもんな。でも定食屋の息子として、外国人観光客なんかの為に覚えておけー?

でもって…


「皆も召喚出来たみたいだな」

「あぁ!心強い正義の味方の誕生だ!」

「すっごいきゃわわなんだよぉ~!!」


仮面セイバー1号とクマ先輩は、どうやら天使陣営にしたみたいだ。


仮面セイバー1号の相方である天使は……えーと…。


「バイク…」

「そう、バイクだ!正義の味方には必要な乗り物だ!これでフィールドを縦横無尽に駆け回る事が出来るな!名前は“マッハ”だ!」


…天使の羽みたいなマフラーの、白いバイク…。それに乗る仮面セイバー1号…。

……絵面が完璧に、例のライダーです。本当にありがとうございました。著作権的にも色々心配になるけど、まぁゲームの世界なので許してくれ…!


そんな仮面セイバー1号とは別に、クマ先輩の方はというと。


「シャチ?」

「シャチだね!めっちゃ可愛くない!?もう最っ高!名前は、アイヌの人達がシャチにつけてた名前から取って、“レプン”って名前にした!」


シャチでした。そう、シャチ。漢字にすると鯱。あの海のギャングって言われている、あのシャチです。

それになんか、天使の羽が小さ~く浮いている感じになっている。

すごい可愛い。


「…一応言っておくが、俺も天使陣営だからな?」

「え、じゃあ悪魔陣営俺だけ?」

「あぁ。そんで俺の天使なんだが…」


ここで、鬼銃に悪戦苦闘していた稲葉が、逃げるように話題を振って来た。どうやら稲葉も天使陣営…俺だけボッチかよクソが!

で、肝心の稲葉の天使なんだが…。


「……いなくね?」


稲葉の後ろを見ても、影の方とか真上とか。いくら探しても、見当たらないんだけど?


「………んだよ」

「え?」

「出てこなかったんだよ!“失敗”したんだよ俺ァ!!」

「はぁ!?」


失敗!?特殊召喚で失敗とかあるのか!?


「うぅ、グスッ…!ほらぁ…!」


といって差し出してきたのは…無残にも砕け散った、特殊召喚石だった。えぇ…?


「む、本当だ。【尚、低確率で召喚に失敗する恐れがあります】と、公式ホームページの一番下に記載されているな!」

「うっそぉ…本当にそんな事があるんだぁ」


あぁー…マジかよ。そんな事ってあるんだな…?


「しかも何が嫌ってさぁ!これ捨てれねぇんだよぉ!なんでぇ!?」

「え?」

「ほらぁ!!」


稲葉がそう言って、『特殊召喚石の残骸を捨てますか?』というウィンドウにYESを押した。

そしたら、確かに『このアイテムは、捨てる事が出来ません』って出てるな。うーん…どういう事だ?


「もしかしたら、何か重要なアイテムになってるんじゃないかな!今回のイベントは、一か月間行われる!そして今は始まったばかり!いうなれば“前半戦”な訳だ!もしかしたら、“後半戦”で何か変化するかもな!」

「おぉ、賢い!」


成程、そういう見方が出来るな。


「という訳だ、稲葉。もしかしたら、ワンチャンあるかもしれないぞ!」

「うぅ…だと良いなぁ…!」


イベントを楽しみにしてたお前だ。きっと神様辺りが、良い感じにやってくれるさ。


「オイてめぇら、どけ!邪魔だよ!」

「ぐぇっ!」

「お、王よ!大丈夫かい?」


痛ったぁー…!急に何!?


背中に強い衝撃を食らって、振り返ってみると…いかにもザ☆ワル!みたいな感じの…世紀末的な連中がいた。その数7名。その後ろには、動物系の天使たちの姿が。


…治安悪そうな奴らが天使を召喚してんのって、なんの冗談?笑えないんだが。


「ケッ!いかにも弱そうな連中がよぉ…!」

「お前らみたいな雑魚がたむろってるせいで、こっちは迷惑してんだよ!!」


……ほらー、ツッコミ待ちでもしてんの?って言いたくなるくらいにさぁ、ガラの悪い事言ってくるじゃーん。天使側はそれ、咎めなくていいわけ?

それに、そっちもなんか、弱いから見た目をイカつくしてオラついて、徒党を組んでる感が否めないんですが?


「こら!君たち、そんな言い方はよくない!そもそも、そちらからぶつかって来たのにその態度はよろしくないぞ!」

「んだとぉ?コスプレ野郎がイキってんじゃねえぞ!」

「コスプレではない!それにそんな事を言ってしまったら、君たちだってコスプレじゃないか!今時流行らないぞ!そんな大昔の世紀末みたいな服装は!」

「アァ!?」


おぉー…我等が仮面セイバー1号、レスバ強い…。


「…我等が王よ、彼らは何故あんな恰好をしているんだい?」

「さぁ。阿呆の考える事は分からん」

『They are such a strange bunch! Well, for me, it's funny and interesting to watch, so I hope it continues!』

【とても不思議な連中だね!まぁ私としては、見ていて滑稽で面白いから、もっと続けてくれてもいいんだけどね!】

「やーめなさいって」


悪魔は基本的に、面白おかしいのが大好きだってのは、トラベラーに戻る途中で、イベント詳細を見ていて知ったけどもさぁ。煽るのは辞めろって。


「けっ!そこのキモイ筋肉女に、一つ目のキモイ男が仲間で災難だなぁ!」

「そこの爬虫類女も、勘違い文化悪魔なんかもな!ギャッハハハハハハ!」

「いやいや、あそこのダークエルフ系のメンヘラっぽい奴も、変態ヒーローも中々だぜ!アッハハハハ!」



……………………は?

…今、友達を侮辱したのか?


八雲達を、貶したのか?


……………………フ、フフ。フフフフフフフフフフフフフフフフ…!



「……!」

「え?ぐふっ!?」


気づいたら、体が動いていた。

リーダー格の男を殴り飛ばし、その首に唐傘を突き刺していた。


「お、おい!?雨天!?」

「…我等が王の動きに、我等が出遅れた…?」


すまん、二人共。だがしかし、こいつは俺の越えちゃあいけねぇラインっつーのを、思いっきり跨いできちまった。


だから、ここで後悔させてやんねぇとな…!!


「げ、あぁ…!」

「おい、勘違い帝」


唐傘をさらに突き立てながら、俺は怒りを込める。


「俺の事を貶すのはまぁ、寛大な心で許してやる。だがなぁ…友達を貶したり、俺の愛する妖怪達に下劣で低俗な言葉を吐いたその瞬間!俺ン中でテメェは敵だ!ぶっ殺すべき対象だ!!」

「ぐはっ!」


唐傘を離すと同時に、その不良を蹴り飛ばす。正直痛かったが、そんなのを気にしてる余裕はない。すぐさま俺は、そいつにある“申し込み”をした。




『プレイヤー“超絶最強神”に、PvPを申し込みますか?』



「立てよ、ゴミクズ。俺の怒りと、友達の絆。そんで妖怪へのビックラブっつーのを、骨の髄にまで染み込ませて、夜の街を歩けなくさせてやるどころか、永遠に外へ出歩けねぇようにしてやるからよぉ……!!」

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