レッツ夜更かし!からの!!
時刻は0時を切った。真夜中です、真夜中。妖怪なんかが表でうろついて、人々を脅かそうと日夜励んでいるに違いない、そんな時間。
いつもなら、もう寝ていてもいいんだが…明日は土曜!つまり休み!そんでもって特に予定とかは無し!遊びまくれるのだ!
そもそも俺ってば、変人とは自負してこそいるけれど、同時に優等生でもあったりするからさ!ある程度のお遊びは許されたりするんだよ!………クスリとか夜の街に遊びに行くとかはしてないからね??
まぁ、それはさておき……。
「……………………」
「いっぱい作ったねぇ、我等が王よ」
…八雲の言った通り、鉄鉱石を使いまくって、俺はひとまずナイフを造り上げた。メジャーだしね、ナイフ。
だが…
『ナイフ×10 品質:悪』
……はい、品質はクソです。攻撃は入るけど、ぶっちゃけダメージ量は期待できない代物。
でも、これなんてまだ良い方。切る事すら出来ない鈍らだったり、そもそもこれナイフ?なんて代物もいっぱい出来た。
ナイフ10本に対して、ゴミがゴロゴロと…。まだまだ練習が必要だなぁこれ…。
でも何が悲しいってさ、頑張って作ってもゴミしか出来なかった事だよね。レベルが低い事、やったことも無い事を一からやったっていうのを加味してもさ。
実用性のない奴がこうもズラリと出来上がると……何というか、悲しいと悔しいが湧き上がってくるよね!!
だが、これでいい!!
「うーん…このゴミは、アイテム屋で売るか」
「売れるのかい?」
「1Aでな。正直そこらの雑草を売った方が高く売れる」
「草の方が高く」
「粗悪品ってね、そんなもんなんだよ…」
悲しい現実だね!でもそうやって現実に打ちのめされるからこそ、逆境を跳ねのけてやるっていう気力が湧いてくるってもんよ!
『テッテレー!レベルアップ!』
ん…?あぁ、そうか。何も戦う事だけがレベルアップじゃない。こういう生産系のスキルを使いながら作業する事もまた、レベルアップの要因になる……ん…?
待て。今俺、レベルアップしたんだよな?てことは…?
ちょ、ステータス!
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PN:雨天決行
Lv:10
メイン職業:召喚士
サブ職業:鍛冶師
種族:唐傘お化け
HP:40
MP:50
力:13
敏捷:19
器用:40
耐久:37
スキル
【召喚術】【翻訳】【鍛冶術:Lv.5】【風妖術:Lv.9】【水妖術:Lv.9】
召喚モンスター枠:残り1
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「やっぱりぃ!!!」
「うおぉ!?きゅ、急にどうしたんだい!?我等が王よ!そんな大声を出して…」
「そうと決まれば、早速買い出しだ!連いてこい八雲!!」
「え?あ、待ってくれよぉ!」
「親方ぁ!ありがとうございましたぁー!!」
工房を貸してくれた親方に礼を言いながらも、俺はすぐさまアイテム屋に向かって粗悪品を売りつけ(文字にすると酷いなこれ)、さらにお札を購入!よしよし、いいぞいいぞ!
「よし、次は噴水広場だ!」
「わ、我等が王よぉ~…!そろそろ説明してくれよぉ~…!」
「着いたらな!」
「えぇ~!?」
あぁ、興奮が止まらない!今回は何が出るかな!何が出るかなぁ!?
よーし、噴水広場に到着!気づけばゲームの世界も夜!街灯が明るく街を照らしてくれている!噴水から出てくる水も、光に照らされて綺麗に湧き出ている!
「王よぉ~…そろそろ説明してくれよぉ~…!急に飛び出してしまったら、迷子になるかもしれないじゃないかあ~…!」
「あぁ、ごめんごめん!なんせこれから、新たな妖怪を召喚するからさ!居ても立ってもいられなかったのさ!」
そう、レベルが10上がる事にやってくる、召喚士にとってのお楽しみイベント!新たなモンスターを召喚出来る!俺の場合は妖怪だけどね!!
「…つまり、私にとっての後輩が出来るって事かい?」
「そういう事ぉ!!」
「へぇ、それは楽しみだ♪どんな子が来るんだろうねえ♪」
さぁ!そうと決まればレッツ準備!!
「まずは魔石!灰熊教官の魔石と、ゴブリン先生の魔石を2つ!そんでラビット先輩!と、グレイウルフとキックバードとかの魔石!合わせて10個用意!!」
アイテムボックスから魔石を取り出して、合成準備に取り掛かる!
え、なんで10個必要なのか?5個でいいんじゃないのって?
チッチッチッ。ちゃんと理由があるんですよぉ!
いや、今日の学校の休み時間でね?召喚士関連で色々と調べてた時に知ったんだけど……どうやら、魔石から召喚石を合成する時って、初回は10で次以降は5個必要ってのは、間違いではないんだけどぉ……。
なんと!使う魔石が多ければ多い程、高ランクのモンスターを召喚出来るみたいでね!あと、魔石の持ち主のランクが高い程、高ランクのモンスターも出てくるみたいなんだ!
ならば試してみよう!妖怪好きとしては見逃せない!!
因みにこの技、初心者にはオススメしていないようだ。何故って?
純粋な話さ。ポ○モンで例えたら、バッジを持ってない初心者が、いきなり100レベルの奴を従えられんのか?って事さ。だから推奨していないやり方なんだよ、これは。
だからどうした!!そんな情報を仕入れて、試さない阿呆がいようか!いやいない!!まずは試して、それが本当かどうかを試してみよう!
それに、低ランクの魔石が多いんだ!そんな簡単に高ランクは来ないさ!それに、いざとなれば八雲がいる!!
「てことで、魔石を合成!」
教官の魔石を中心に合成して、召喚石を合成!出来た召喚石は……おや?緑色だ。
あ、そういえば。合成で出来た召喚石の色によって、出てくるモンスターが使える魔法がある程度分かるって、今日調べて知ったんだった。
そう考えると、八雲の時の紫色って、【水妖術】と【火妖術】の、青と赤の混合として紫色が出ていたって事なんだな。納得だよ。
となれば、これは……えーと、緑は黄色と青を混ぜ合わせて出来るから………【水妖術】と【土妖術】?或いは【雷妖術】?いやいや、【回復術】という可能性もあるな。
「おっと、考察するのは後々!次は血とお札!」
「その前に我等が王よ…余った魔石、一つくれないかい?」
「え?あぁ、成程」
そういえば、魔石は召喚モンスターにとってはおやつになるって書いてあったな。試してみよう。
丁度8つ余っているので、八雲と姉妹の分を渡す。
全員、魔石を口の中に頬張り、飴玉のように舐め始めた。……………ちょっとエッチだなんて思ったのは、墓場まで持っていく秘密だ。
さて、折角なので自分の作ったナイフ……で自分を傷つけるのはちょっと怖いので、普通に初心者セットのナイフで傷をつけて、血を召喚石に塗りたくる。
そして、お札に血で文字を……そうだなぁ。
「百鬼夜行、からのー……“癒”って書くか」
今のところ、回復役がいないからなー。そういうのが出てきてほしいというのを願いつつ、“百鬼夜行・癒”とお札に書いていく。
これで下準備は完了だ!!
「あとは、お札の上に召喚石を置いて……準備完了!!」
さぁ、やっていくぞ!!
「『我が声に応え、顕現せよ!召喚!!』」
前回と同じポーズを取りながら、詠唱を開始する。
今回も八雲の時みたく、うんともすんとも言わない状態……ではなく、PVでよく見た、召喚石を中心に光が放たれ、一つのモンスター…いやさ、妖怪の姿へと変貌していく!!
さぁ、現れたのは!!?
「にゃあ~」
………んぇ?ね、猫?
「おおおおお!随分と可愛らしい後輩ちゃんじゃないかぁ~!!」
「にゃ~!」
八雲が魔石を食べながら、現れた猫に近づき、遊びだした。
猫…いや、召喚術は妖怪を呼び出すそれだから、妖怪である事には間違いない。
しかし、尻尾は一つだ。となれば、猫又ではない。化け猫…?にしては、こう………覇気というか、可愛らしすぎるというか…?
うーん………?なん、なんだ…!?
馬鹿な、妖怪好きを自負する俺が、分からないだと…!!?
「にゃ?んにゃあ~♪」
「ん?おぉ、どうしたどうした?足にすり寄ってき、て…?………?……………!!」
俺の事を心配してくれたからどうかは分からないが…急にその猫?は近寄ってきて、俺の足に頭を擦りつけてきた。
その姿を見て、俺は“ある妖怪”を思い出した。
そうだ、居たじゃないか!!猫として描かれる事が多い、足…いやさ、“脛”にすり寄ってくる、まさに“癒し系妖怪”の名に恥じない妖怪の事を!!
「お前、すねこすりか!!」
「にゃう!」
正解!と言わんばかりに、こちらを見て、猫……いや、妖怪すねこすりは元気良く鳴いた。