93:北の山-2
翌日。
「さて、奉納メイスの出来は……」
プライベートエリアで目を覚ました俺は奉納メイスの出来を確かめる。
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奉納メイス レア度:3 重量:1 種別:メイス 作成者:ヤタ
攻撃力:10
属性攻撃力:光5
耐久度:100%
評価:67/100
奉納用聖石を組み合わせて作られた神へと捧げる神聖なメイス。一応武器としても使えるが罰当たりな上に性能は低い。
何故かビッグクロウによく好まれ、所有中に攻撃を受けると盗まれることがある。
譲渡・売却・棄却不可。
イベントに使用。作成後1日経過or武器として使用するとイベントに用いることは出来なくなる。
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うーん。これは成功でいいのかな?
と言うかあれだな。この時間経過で使えなくなるとか、ビッグクロウに盗まれるとかもユフが面倒だって言っていた理由か。
こりゃあ後回しにしたくもなるわな。
「にしても67点か。」
で、気になるのが他の武器には無い評価の項目。これは恐らく正確に作成できているかの評価なんだろうけど、この微妙な点数。
イベントに使えるのか使えないのか多少不安になるな。
「まっ、何にしても1日しか保たないなら急いで北の山に行きますか。」
そして俺は適当に朝食を済ませると始まりの村のポータル経由で北の山へと向かった。
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さて、久しぶりの北の山である。
向こうが知っているかどうかは知らないが、アステロイドとの二回目の邂逅もここである。
「でまあ、予想通りと言えば予想通りだが……」
でまあ早速山を登り始めたのだが、早速問題発生である。
北の山で出現するのはビッグクロウにストーンアームの二種類。
普段なら今の俺にとっては二種類とも何て事の無いモンスターなのだが、今回に限ってはこの二種類のモンスターは両方とも厄介極まりない。
と言うのもビッグクロウは奉納メイスの説明文に書いてある通り、奉納系アイテムを持っているとそれを盗もうとしてくるし、ストーンアームは突然出現してから石つぶて攻撃によってこちらの動きを止めてくる。
つまりストーンアームの石つぶてで動きが止まったところにビッグクロウの盗み攻撃が当たると言うコンボが想定されるわけだ。エゲツナイ。
そして当の問題であるが……
「明らかに前に来た時よりも数が多いな。」
奉納メイスを持っているせいなのかビッグクロウの探知範囲が明らかに前回より広く、数羽のビッグクロウがリンクして襲い掛かってくるのである。
「「カアアァァ!!」」
二方向からビッグクロウが同時に襲い掛かってくる。
「当たらねえから。【ウルフファング】」
ただまあ、重戦士系のアステロイドとかならともかく軽戦士系でしかも≪嗅覚識別≫で事前察知可能+≪四足機動≫で素早く動ける俺にとってはそこまで問題では無かったりする。
というわけで、≪四足機動≫で横に移動して二羽とも通り過ぎた所で二羽同時に噛み砕けるように【ウルフファング】を発動。二羽のビッグクロウを瞬殺する。
「ゴッ……」
「はいはい。気づいてるから。【サンダースイング】」
で、【ウルフファング】の踏み込みに反応してストーンアームが出現するが、今の俺はそれに加えて≪嗅覚識別≫と≪嗅覚強化≫のレベルが以前に比べてだいぶ上がっているおかげなのか以前は嗅ぎ取れなかったストーンアームの匂いも感知できるようになっているのでさらに隙が無くなっている。
なので、普通に不意打ちを避けて裏拳の様に【サンダースイング】を起動して殴りつけ、一撃で消し飛ばす。
そう言えばあの時の様に発声無しで祝福を使うのは結局あれ以降出来てないな。安定して出来る様になれば色々便利なんだけど。
「さて、一応剥ぎ取りもしておくか。」
なお、以前のエリアのモンスターの素材でも何かに使えるかもしれないのでしっかりとアイテムは剥ぎ取っておく。
「おっ、まさかの技能石。」
と、ここでビッグクロウから運良く技能石が剥ぎ取れる。
うーん。新しいスキルかぁ……。職人系から何かを取ってきてもいいけど、戦闘能力を高めるのも有りだよなぁ……。
というか、最近のボスは掴めないのが多いし別の方法で手数を増やしたい所なんだよな。
というわけで制限解除系から≪蹴り≫を習得。基本は≪掴み≫にしておいて、相手次第で≪蹴り≫に入れ替える……だけじゃないか。≪噛みつき≫はまだしも≪大声≫や≪嗅覚強化≫も相手次第ではいらないし、そういう時には付け替えだな。
さて、≪蹴り≫も習得した所で俺はさらに歩を進めて北の山を登っていく。
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「これがそうか。」
北の山をほぼ常時襲い掛かってくるビッグクロウを撃退し続けながら登る俺の前に祭壇の様なもの……というか角が取れて丸みを帯びているせいで分かりづらいが、岩に松明などを置く場所を掘るような感じで何かが置けるようになっている場所が見えてくる。
あー、というか何となくだけどこの場所には既視感があるな。ちょっと思い出して……ああうん。思い出した。ここアステロイドが敵に攻撃されて身悶えてた場所だ。
あの時はスルーしてたけどこんな所にこんな場所有ったんだな。
「で、当然ながらこれか。」
俺はその祭壇に一歩近づく。すると地面から三体のストーンアームが生えて来て一斉に石つぶてを投げることによって襲い掛かってくる。
うん。アステロイドが
というわけで、普通に石つぶてを回避してレベル上げと武器の耐久度節約も兼ねて≪四足機動≫で接近し、≪蹴り≫でストーンアームたちを制圧していく。
≪蹴り≫は中々良い使い勝手であり、恐らくだが足装備によって威力が変化している面もありそうだ。
「じゃ、奉納と。」
で、ストーンアームたちを倒して剥ぎ取った後に祭壇に奉納メイスを奉納する。
「おおっ!」
すると、祭壇が突然横に動き、その奥に松明で照らされた洞窟が見えてくる。
と、イベント扱いなのか俺の体が勝手に前に進む。
そして岩の有った場所を通り過ぎた所で岩が元の位置に戻り、完全に戻ったところで俺の身体が再び動かせるようになる。
「インスタントポータルか。」
俺は洞窟の奥を見る。するとそこにはいつも通りにインスタントポータルが置かれ、さらにその奥にはボスゲートが見えている。今の色は……赤か。
「さあて、それじゃあ登録を済ませたら早速挑んでみるか。」
そして俺はインスタントポータルにいらないアイテムを預け、登録先を砂浜からこちらに変えた後にボスゲートをくぐった。
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Name:ヤタ
Skill:≪メイスマスタリー≫Lv.17 ≪メイス職人≫Lv.14 ≪握力強化≫Lv.13 ≪掴み≫Lv.14 ≪筋力強化≫Lv.13 ≪嗅覚識別≫Lv.12 ≪嗅覚強化≫Lv.11 ≪方向感覚≫Lv.12 ≪四足機動≫Lv.11 ≪投擲≫Lv.13 ≪噛みつき≫Lv.15 ≪大声≫Lv.15
控え:≪鉄の胃袋≫Lv.11 ≪酒職人≫Lv.14 ≪器用強化≫Lv.7 ≪蹴り≫Lv.2
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新技能来ました。
10/03 誤字訂正