87:技巧神の神殿-6
今回はグロ・カニバリズム・外道的な表現を含みますため、苦手な方はご注意ください。
本話は本日2話目であり、次話とリンク・同時更新をしています。
ブーーーーー!!
「行くぜぇ!!【フルスイング】!」
決闘開始と共に相手プレイヤーたちが一斉に突っ込んでくる。
まあ、この数の差なら当然だな。普通に行けば物量差で押し切れるだろう。だがな、
「【ハウリング】【獣人化:ウルグルプ】『アオオオオオォォォォォン!!』」
俺は【ハウリング】によって≪大声≫を強化した状態で【獣人化:ウルグルプ】を起動。
すぐさま変身が完了して俺は遠吠えを上げる。
「なっ!?」「ひっ!!」「んなっ!?」
そして俺が遠吠えを上げた瞬間。【ハウリング】によって強化されていた≪大声≫がその効果を発揮して周囲の観客をも巻き込んで技巧神の神殿一帯に衝撃波をもたらすと同時に近くに居た敵プレイヤーたちを衝撃波によって弾き飛ばす。
「『行くぞ雑魚どもがぁ!!』」
俺は四つん這いになって≪四足機動≫の発動条件を満たすとすぐさま前方へと駆け出し、敵プレイヤー集団後方に居た杖使いとメイス使いの前にほぼ一瞬で移動する。
「いつの間に!」「どうやってここまで!」
「【ウルフファング】【アイアングラップ】」
「ヒッ!?」
俺はメイス使いの顔面を【アイアングラップ】で強化した≪掴み≫で握りつぶすように掴むと同時に【ウルフファング】で杖使いの方に攻撃を仕掛ける。
一度目の噛み付きで防御しようとした杖使いの右腕が噛み千切られ、二度目の噛み付きで首から上が消滅、即死する。
うむ。やっぱり人間は不味いな。だがまあ、贅沢を言っている暇はないか。
「この化け物がぁ!!」
≪大声≫から復帰した近接戦のプレイヤーたちがそれぞれに武器を持って突っ込んでくる。
ふむ。それならば、
「『化け物良いじゃねえか!』」
俺はアイテムポーチから二種類の酒を取り出すと一瞬で飲み干す。
一本は祝福草から作ったBP回復用の酒。そしてもう一本はSP減少無効の効果をもたらす秘蔵の一本。ナイトサイトカクテル(巨狼肝完漬け)だ。
「『ヒャハハハハハ!ガンガン行くぜえ!!』」
俺はナイトサイトカクテル(巨狼肝完漬け)によってもたらされた空腹を紛らわすとともに、この身に漲っている力を発散するためにメイス使いを掴んでいる方の手に力を込めつつもう片方の手でマンティメイスを抜いて一番手近にいる相手に殴り掛かる。
「この!」
「『効かねえよ!』」
相手の両手剣が俺の肩に入ってくる。が、俺はそれを≪大声≫で止めると剣を無視してメイスで相手の体を雷光と共に跳ね上げ、腹に噛みついて肉を食い千切りながら≪投擲≫で他のプレイヤーに投げつける。
と、ここでメイス使いが力尽きたのか俺の手の中でその体が砕け散る。
まあ、いずれにしてもだ。
「『さあて、残念ながらこの喧嘩にクーリングオフは無しだ。全員、覚悟しとけや!!』」
ここから先はジェノサイドパーティだ。
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「ふ、ふざけんな!!こんな化け……モギャ!?」
「グアッ!」「矢あぁ!?」
俺は相手の頭を噛み砕くとその体を引き裂いて他のプレイヤーに投擲、さらにその肉片に隠れる様に投げ矢を投擲して肉片ごとその先に居るプレイヤーを射抜く。
「糞が糞が糞が!!」
リーダー格の刀使いの男が後ろから切りかかってくる。
「『テメェは最後だよ!雑魚金髪!』」
が、≪嗅覚識別≫を持っている俺にとっては真後ろは死角でもなんでもなく、手に取るようにその動きは分かっているので余裕でその攻撃を避けるとその顔面に【サンダースイング】を叩き込んでやり、男は電撃で全身を痙攣させながら吹っ飛んでいく。
よし、まだ死んでないな。
「リーダーの仇ぃ!!」
と、ここでその影に隠れていた双剣使いの男が切りかかってくる。
「『俺に不意打ちなんざぁ通用するか!【スイングダウン】!』」
が、勿論看破済みなので【スイングダウン】で床に小さな亀裂が入るレベルでメイスを叩きつけて粉砕する。
「『どうした!どいつもこいつも弱すぎて話にならねぇぞ!雑魚なら雑魚らしくもうちょっと気張りやがれ!!』」
俺は満腹度回復に狩猟蜂の蜂蜜酒を呑みつつ≪大声≫で周囲を威圧する。
と、ここで集団の外に居た敵プレイヤーが動き出す。
放たれたのは弩用の弾。その軌道はしっかりと俺の頭に向かっている。
「『だから不意打ちは効かねえっつってんだろ!』」
だが、発射タイミングが分かっているなら回避は容易く。俺は僅かに掠らせつつも攻撃を避けると同時にアイテムポーチから三本の投げ矢を取り出すと狙撃手に向かって投げつける。
「ギャアアアァァァ!!」
投げられた三本の矢は狙撃手の頭、左胸、腹に一本ずつ突き刺さって狙撃手を死亡させる。
「こ、こんなの勝てるわけねえじゃねえかぁ!」
「『逃がすかよお』!!」
「ギャア!」「がっ!」「許してくれえ……グフッ!!」
とっておきだったはずの狙撃手が一撃も攻撃を当てられずに返り討ちにされるのを見てたまらず残っていた敵プレイヤーたちは我先にと逃げ出そうとする。
が、当然それを逃がす俺ではなく逃げようと動き出した奴から投げ矢で地面に縫い付けてやり、その後は≪掴み≫で武器を振れないように抑え込んだうえで一人一人頭に噛み付き、周囲に見せつける様に咀嚼してやる。
観客の数は決闘開始直後に比べるとだいぶ減っている気がするが別に構わないだろう。
「『さて、お前で最後だな。』」
「ヒッ……!?」
現実なら確実に失禁しているような様子で刀使いの男が抜けた腰を必死に動かして逃げようとする。
「た、頼む。見逃して……」
「『嫌がる女を無理やり手籠めにするのは良くねえよなぁ。良くねえよ。』」
俺は周囲に残っている観客たちにもよく聞こえる様に≪大声≫を使いつつ男に接近していく。
「俺が悪かった……だから……」
「『それに最初に言っただろうが。この喧嘩にクーリングオフは無しだってなぁ。』」
男は動こうと思っても動けない。腰が抜けている上に≪大声≫による怯みが常時入り続けているからだ。
「ヒッ……アッ……」
「『これに懲りたら真っ当に生きることを考えるんだな。』」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!」
そして俺は【獣人化:ウルグルプ】によって大きく変化した口を限界まで開くと恐怖で歪み切った男の頭を容赦なく食い千切って殺す。
俺の目の前に勝利メッセージが書かれたウィンドウが浮かび上がる。
「『アオオオオオォォォォォン!!』」
そして、俺はそれを周囲に知らしめるために遠吠えを上げ、決闘は俺の勝利で終わりを迎えた。