83:海底洞窟-4
「さて、今日はどうするよ。」
海底洞窟に俺とアステロイドの二人で入ったところで今日は何をするかを話し合う。
「レベル上げと素材集めは……普通に歩き回っていれば出来ますねぇ。じゃあ、帯気石を使って水中のアイテムを回収しつつボスゲートでも探しますかぁ?」
「まあ、それが適当だよな。」
で、今日やる事は当然と言うべきか素材集めとボスゲート探しになる。
うーん。ボスゲートか。狩猟神の神殿と同じならあの威圧感が多分来るよな。
恐らくだけどアレを感じて戦う気になれるかどうか。それが勝てるかどうかのラインだよな。
「じゃあ行くか。」
「ですねぇ。」
そして俺とアステロイドは海底洞窟の中に潜る。
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「来たな……。」
海底洞窟で膝まで水が来ている通路を歩いていると俺の≪嗅覚識別≫がモンスターの接近を知らせる。
位置は前回と同じように水面よりも下側で、数は4。
「種類は分かりますか?」
「この前のウツボが3に未識別が1だな。とりあえず帯気石を口に含んで武器を構えとけ。」
俺とアステロイドはアイテムポーチから帯気石を取り出すと口に含んで使用する。これでペナルティはほぼ無しだ。
なお、帯気石の使い方には二種類あってそれぞれにメリットとデメリットが存在している。
使い方の一つは今俺たちがしている口に含む使い方で、この場合発音して祝福を使用することは出来なくなるデメリットが存在するが、代わりに口の中で帯気石が反応しているのが分かるため、効果時間が切れるのを事前に察知できるというメリットがある。
もう一つの使い方は握りつぶす使い方で、この場合のメリットデメリットは先のものとは真逆の物になる。
でまあ、今回はどうせこの先水深が深くなっていて泳ぐことになる事。それに水中では発音による祝福使用が出来ないので、今回は口に含む。
とりあえず喋れないのでこの先はハンドサインで意思疎通を図る。
まず、アステロイドが俺の前に出る。
「「「キシャアアアァァァ!」」」
三匹のウツボがアステロイドに噛みつこうとする。
アステロイドはその内の2匹を請け負ってその身で抑え、最後の一匹が噛み付く直前に俺が≪四足機動≫で水を切るように割り込んでメイスを顔面に叩き込んでやる。
「ギシャ!?」
で、この前の様に電撃を喰らわないために水中に叩き落されたウツボを掴んで壁に≪投擲≫で投げつけ、サハギンリーダー戦で余っていた投げ矢を追加で飛ばして壁に縫い付けてやる。
それにしても口が使えないと俺は≪噛みつき≫も≪大声≫も使えないから攻め手の数と種類が極端に減るな。
これは≪泳ぎ≫関連のスキルを取得するか≪蹴り≫とか別の攻撃に使えるスキルを取得することを考えた方が良さそうだ。
「!?」
と、ここで俺は自分の体に向かって何かが飛来するのを嗅ぎ取って咄嗟に身を翻して避ける。
肩が浅く切られるのを感じつつ俺は飛んできたものを確認する。
飛んできたそれは口が剣の様に細く鋭い魚の様なモンスター。とりあえず剣魚とでも呼んでおこうか。
そして推定剣魚はある程度飛んだところで自然法則を完全に無視して進路変更し、水中に戻っていく。
むう。面妖な動きをしおってからに。
「「ギシャアアァァァ!?」」
と、ここでアステロイドがウツボたちを倒したのかウツボたちの断末魔と共に匂いの感じが変わる。
これで残りは剣魚のみか。
剣魚が水中で方向転換をしてから再び俺に向かって突撃してくる。
が、先程と違って正面から剣魚は突撃してきたため俺は後ろに居るアステロイドにハンドサインを出しつつ、特に問題なく少しだけ体を動かして回避する。
剣魚は俺に攻撃を回避されてもそのまま飛んでいって俺の後ろに居たアステロイドに襲い掛かる。
が、予め敵が来るのを俺から伝えられていたアステロイドは金属製である鎧の一部を使って剣魚の攻撃を受け止める。
で、そこに俺が剣魚の体を掴んで壁に磔になっているウツボに向かって投擲し、トドメとして俺とアステロイドが全力で攻撃を放って二匹とも倒す。
さて、仕留めた所でいつも通りの剥ぎ取りタイムである。
が、帯気石が口の中にあるせいで強制的に無言である。話が出来ないって意外とつらいな。
で、剥ぎ取り結果としてはウツボからはシビレウツボの皮やシビレウツボの電気袋が、剣魚からはソードフィッシュの鱗が手に入った。
うーん。シビレウツボの発電器官は雷属性の武器で、皮は雷耐性の防具に使えそうかな。ソードフィッシュの鱗は……分からん。口とかなら斬撃系の武器に使えそうではあるな。
「~♪」
と、剥ぎ取りが一通り終わったところでアステロイドが道を進んで水深が腰を越えた所で遊泳状態に入る。
金属鎧のため多少泳ぎ辛そうだが、帯気石の効果のおかげで問題なく泳げるようだ。
さて、俺も水中の採取ポイントでアイテムを回収しつつ進むか。
俺はアステロイドを追い抜かすように泳ぎ始める。ふむ。どうやら≪四足機動≫は泳ぎでも両手両足を使うように泳げば有効らしい。
と、ここで俺は水中に採取ポイントを発見したので潜って回収してくる。
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技巧蟹の塩 レア度:3 重量:1
技巧蟹と言う技巧神の神殿近くに住む固有種の蟹が排出する塩の結晶。普通の浜塩よりも旨味成分がたっぷりと入っている。
食べると満腹度+5%
食事効果:5分間器用上昇(微弱)
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どうやら狩猟神の神殿で言う所の狩猟蜂の蜜相当のアイテムのようだ。これはその内技巧神の○○というアイテムも出てくるかもな。
と、俺が一人で推察をしている間にもアステロイドはどんどん奥へと進んでいってしまうため、俺はそれを慌てて追いかけるのであった。
台詞が……少ない!
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