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66:王都ミナカタ-11

新章開幕となります。今後ともよろしくお願いします。

あ、章タイトルは今回は最初から公開しておきますね。

 マンティドレイク討伐の翌朝。フレンドコールが鳴り響いて誰かと思って取ったらユフだった。


『ようヤタ。こっちは技巧神の神殿の攻略を完遂したんだが、そっちの狩猟神の神殿はどうだ?なんか掲示板を見た限りでは妙な噂が立っていたんだが、』

 随分と速い攻略である。技巧神の神殿が開かれてからまだあまり日は経っていなかったと思うのだが。

 というか噂?なんだそれ。うーん。


「とりあえず直接会って色々話したいこともあるし、王都の神殿前広場に来てもらっていいか?」

 俺はユフにそう提案する。するとユフも色々と話したい事があるのか俺の提案を受け入れる。


「じゃあ、昼に広場で。」

『おう。分かったわ。』

 そして俺はユフとの通信を切る。

 さて、昼までは消耗したメイスの耐久度回復とマンティドレイクの素材で何が出来るのかの確認だけしておくか。



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 昼。王都ミナカタ神殿前広場。


「ようヤタ。こっちだ。」

 ユフが俺に向かって手を上げつつ声をかける。

 久しぶりに会ったユフの装備は前回会った時よりも鉱石と鱗がふんだんに使われた物に変わっている。


「ようユフ。久しぶりだな。」

 俺も手を上げつつゆっくりとユフに近づく。


「とりあえず飯でも食いながら話すか。」

「だな。」

 そして合流した所で俺とユフは食事街へと歩いていく。



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「で、単刀直入に聞くがお前とミカヅキの二人で狩猟神の神殿のボスを倒したのか?」

「本当に単刀直入だな。おまけに耳も早い。」

 俺とユフは昼食のうどんを食べながら会話を始める。


「実際どうなんだよ。」

「倒した。まさかいきなり狩猟神の神殿のど真ん中に送られるとは思わなかったけどな。」

 俺は辟易とした様子で当時の状況を語る。

 その答えにユフは自分の中の情報と俺の話を組み合わせて思案しているようだ。


「で、逆にこっちから質問。噂って何だよ。」

「ああそれな。」

 俺はユフに俺に関して掲示板で流れていると言う噂を聞く。


 曰く。狩猟神の神殿にポータル以外の場所から突然2人のプレイヤーが現れた。

 突然ポータル外の場所に現れたという事はこの2人は何かしらのイベントを起こしたと考えられる。

 では起こしたイベントとは?ボス討伐だろう。


「とまあ、ここまでは別におかしな話の流れではないんだが、ここで妙な馬鹿が出てな。」

「ん?」

「『二人であんな無茶苦茶なボスを討伐できるはずが無い。あいつらはチートを使っているに違いない。』だとさ。」

「はあ?」

 思わず俺は呆れを多分に含んだ声を出してしまう。


「気持ちはわかる。まあ、心配しなくてもお前らがチートを使っている可能性はすぐさま完全に否定された上に電子の女帝からそいつは警告をされたよ。次に同じような事をやったら掲示板のアカウントを消されるそうだ。」

 とりあえずこの話を聞いた感想としてはそのチート疑惑を出した奴は嫉妬心に駆られた馬鹿だと思うが、電子の女帝も暇人なんだろうなと思う。

 ちなみにユフによると電子の女帝はあらゆる外部ツールを用いたチートを封じているそうなので、どれだけチートに見える動きを他のプレイヤーがしていてもシステムハックを伴ったチートはありえず、スキルとPSによるリアルチートでしかないとのこと。


「まあそう言う意味ではお前の言ったインファイト戦法はリアルチート必須だと思うけどな。」

 ユフが苦笑いをしながらそう言う。

 失礼な。あの程度の動きならきちんと相手の動きを把握すればできるだろうが。

 そう言ったら全力でユフには普通の人間には無理だからと否定された。うーむ。


「で、今後はどうするんだ?確実にお前とミカヅキをPTに入れようとしつこい勧誘をしてくる奴は出るぞ。」

「どうもしねえよ。俺は俺のプレイを続けるだけだ。」

 ぶっちゃけ合わない相手とのPTプレイは面倒以外の何物でもない。だから俺はこのまま俺のやりたいようにソロプレイを続けるだけである。

 ミカヅキに関しては……あの隠密能力はリアルチートだよなぁ……たぶん、本気で隠れたミカヅキを見つけられるプレイヤーはほとんど居ないと思う。だから心配はしない。


「でまあ、攻略先と言う意味での予定なら技巧神の神殿を目指す予定だ。東の海岸と砂浜を繋ぐゲートのボスも一度ぐらいは倒しておくけどな。」

「なるほどな。なら軍曹……攻略組のまとめ役をしている人にはそう伝えておくよ。」

 ユフは納得顔をしながら頷く。


「ところで一ついいか?」

「何だ?」

「北の山の攻略はどうなってるんだ?」

「う……それか。」

 ユフが思いっきり聞かれたくない事を聞かれたというような表情を浮かべる。


「まさか未だに手掛かりなしか?」

「いや、それっぽい場所は見つかってるし必要そうな道具の目途もついている……が、その先でちょっと時間がかかりそうだったからな。先に狩猟神の神殿を終わらせようと言う話になってる。」

 ユフが目を泳がせながらそう言う。

 まあ、訊かれたくないなら訊かないでおくがな。


「ま、何だっていいけどな。」

 俺は席を立つ。


「何処へ行くんだ?」

「とりあえずガントレットとアーマさんに会ってくる。マンティドレイク含めて色々と素材も有り余っているしな。」

「そうか。」

 ユフもうどんを食べ終わったのか立ち上がる。


「それじゃあお互い、」

「攻略頑張るとしよう。」

 そして俺とユフはハイタッチを交わすとお互いにやるべきことをやるために動き出した。

09/14ちょっと文章追加

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